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四谷トリローで唐揚げ4種を食べ比べつつ、食べ放題

外食産業において、鶏の唐揚げがブームになってる。
原価の安い料理を主力商品にしたい。
ご飯がおいしく食べられて、酒のつまみにもおやつにもなるような料理だったらありがたい。
イートインでもテイクアウトでも利用でき、好きな人が多い大衆料理で新しいコンセプトを作ってみたい…、という人、会社は多くって、そんな人たちの気持ちにピトッとマッチしたのが唐揚げだったという次第。

ただ昔からある料理です。
だから料理としては枯れた料理で、アレンジすることはできるけどどこにもないオリジナリティーの高い料理は作りづらい。
そこでみんな苦労して、大きさだったり値段だったりでしか工夫ができない。結局、どこも同じな料理になっちゃった…、って状況。
それが今。

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鶏の唐揚げを使って、こんなたのしいコンセプトを作ることができるんだなぁ…、って感心したのが家の近所の荒木町にある「からあげ屋トリロー」っていう店。
飲食店が並ぶ路地。どの店もどちらかといえば夜に酒を供するお店。昼からやっているのはこの店だけで、ポツンと感が漂う立地。
入ると中はまるでスナック。
居抜き店舗をそのまま使っているんでしょうね…、一番奥に小さな厨房。カウンターにテーブル。カウンターの後ろ側にはキープボトルがずらりと並ぶと様になるような棚がある。元気でゴキゲンなご主人が飛び出してきてメニューの説明。
売りは「唐揚げ食べ放題」の定食だという。

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このシステムが面白くって、食べ放題になるのは4種類。ここの一番の売りの「ざんぎ」。辛味を加えた鶏ももに、胸肉、その胸肉にスパイスをまぶして揚げたもの。それらをザンギは2個、それ以外は一個ずつ試しに食べて、それ以降は好みのものを食べたい数だけ追加注文…、というスタイル。
お店の片隅にご飯が入ったジャーにサラダ、それからスープ。スイートチリや醤油にレモン酢、マヨネーズ。わさびや練り芥子と調味料がズラッとならんで、自分の好みの味を作ってたのしんで…、という提案。たのしい。
しかもやってきたお皿のかたわらに小さな紙切れ。4種類の唐揚げがどれがどれだかわかりやすいよう図解されててなかなか親切。

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唐揚げはちょっと小さめ。
おそらく揚げ時間と口の中での存在感のバランスをとった結果なのでしょう。注文してから粉を叩いて5分かからず揚げ上がる。
どれもがほぼ二口サイズ。
そしてどれもがひと目で違って見えるところがたのしい。
食べる。旨いです!
もも肉系は味がしっかり染み込んで表面さっくり。
皮の部分がサクサク揚がって、口の中に入れた途端に砕けてちらかる。肉はしっとり。そしてネットリ。ジュワッと脂の甘みとタレの風味が広がる。
胸肉はさっぱりとして、口の中を若干乾かす。けれど揚げた油と混じってゆっくりとろけて消えていく。
これそのもので味がしっかりついているのに、なぜだか調味料をつけて味の変化を楽しみたくなっちゃうのが唐揚げという料理の罪なところでしょうね。特にマヨネーズなんて唐揚げの油っこさが油でなだまりさっぱりしたように舌が勘違いするほどの相性。
追加でミニカレーをたのんでご飯と一緒に食べる。唐揚げとご飯、カレーとご飯とどちらも抜群のパートナー。それらが口の中に一緒にあって三角関係にならないところがまたオモシロイ。

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唐揚げを沢山食べようと思えばただただそれだけ食べることが望ましい。ご飯なんかを食べちゃ損…、ということがわかっちゃいるのにご飯を食べずにはおれなくなっちゃう。まずご飯が固めでパラッとおいしくて、しかも唐揚げを食べた口にご飯がおいしい。ご飯で油をぬぐわれた舌に次の唐揚げのひとくちがまたおいしかったりするのであります。たまらない。
最初のおかわりはザンギと胸肉。ふっくらとした胸肉のさっぱりとした食感が重厚なザンギをおいしくしてくれる。二回目のお替りはそのザンギだけ。
実はあんまりもも肉は好きじゃないのです…、皮の存在や脂がちょっと重てくてだから唐揚げは胸を好んで食べるのだけど、ここのザンギの味は格別。揚がりきれてて皮がサクサク。余分な脂が油に逃げ出し不思議なほどにさっぱりしてる。

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食べ終えてわたされたのが次に来たらあと2種類、食べ比べできる唐揚げが増えるという「おなじみさんカード」というのがまた気が利いている。感心しました、オキニイリ。


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