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謙虚な自信に銀座ウエストで出会う!

お店のテーブルの上に、こんなメッセージが置かれていたらどう感じるでしょう。

「紅茶・珈琲のお代わりはご遠慮無くお申し付けください。味加減が、お好みに合わないときは淹れ直しいたします。」と書いてある。
これって本当に大丈夫なんだろうか…、って普通は思う。
だって、お客様に親切であることは客商売において大切なコトではあるけど、ありきたりのお店がこう宣言したらどうなるか。
お客様がどう思っているか、心配でしょうがない店なんだろうなぁ…、って思う。だからなにか言われると、お客様の言いなりになってしまう自信も主体性もないお店。
…、ってそんなふうに思ってしまう。

ちなみにこのプレートを発見したのは、銀座のウエスト。

50席ちょっとという小さな空間。にぎやかな表通りとドアをひとつ隔てただけでまるで違った空気を感じる。
うつくしく整えられた椅子やテーブル。
新しいものはほとんどない。昔から使い続けられたものでありつつ、古臭さを感じさせることないように見事にメンテナンスされたものが整然と並んでやさしく出迎える。
どの椅子に座ろうがホッとすること間違いなくて、今日もひととき、ホッとしにくる。
予想以上ににぎやかでした。ゆったりできる壁際のテーブルで残っていたのは二人がけのテーブル。しかも二人が横に並んで座れるアベックシートのような場所。向かい側に席はなく、目の前にあるのは隣のテーブルのソファの背板。プライバシーがうれしい小さなボクの場所。

いつもここには凛とした空気がある。
お客様のためにできることはなんでもしようという覚悟と、私たちはお客様の喜ばせ方を知っているという確固たる自信があって、はじめて「お客様のわがままはなんで聞いて差し上げましょう」というメッセージが活きるのでしょう。感心です。

アイスコーヒーをもらってお供にハムのトーストサンドイッチ。
トーストはよく焼いてくださいね…、ってお願いをした。
入念に作られたサンドイッチです。
まずハムを焼く。
むっちりとした食感の上等なハム。
焼くとツヤツヤ、溶けて滲んだ自分の脂をまとって仕上がる。
トマトソースをアクセントにし、カサカサ焼けたトーストで挟んで4つに切って出来上がり。断面をみるとハムの存在感に圧倒される。ほどよい厚さのハムをいくつも重ねて挟んでいるから、パンの厚さに匹敵するがごとき贅沢。色あざやかなパセリとキラキラの搾り器の中に皮取り除いたレモンがそえられひと揃え。

食べると見た目以上にハムを感じる。
最初はカサッとトーストブレッドが前歯に当たる。焦げた小麦の香りも香ばしく、あぁ、サンドイッチだと当然思う。けれどパンの食感が終わるとそこからハムの独壇場。ひんやりハムの脂が唇ぬらし、バサっと歯切れてむっちりとした歯ごたえと共に旨味が広がる。
ハムを焼いて手づかみで食べる。そんなご馳走感にウットリします。

アイスコーヒーにミルクを落とす。乳脂肪分多めの濃厚ミルク。だからしばらく氷にまとわりついて沈まない。それがゆっくり、マーブル模様を描きつつ沈んで溶ける。急いで氷を舐めるようにしてコーヒー味のミルクをたのしむ。気持ちが豊かになっていく。


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