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白いオムレツ

白身だけを使って作るオムレツで、アメリカではよく出会う。
玉子の黄身のコレステロールをなんとかしたい。
高タンパク質な白身だけで作れば健康的なオムレツになるはずだ…、と1980年代の後半あたりに一時流行った。
ただ健康的な理由だけでなく、正しく作られたホワイトエッグオムレツは普通のオムレツとまるで違った食感、おいしさをもった料理でファンがいる。
ボクもファンのひとりでけれど、日本でこれを上手に作ってくれる店が少ないく苦労する。

白いオムレツを食べたいなぁ…、と思うとやってくるのが西新宿の昼とホテルのロビーラウンジ。
朝食のバフェで作ってもらえる。
ただ、これ、時間がかかる。
全卵を使って作るときはフライパンに流して手早くかき混ぜて形を作ればいいだけです。
あっという間に…、というのは言い過ぎだけど2分くらいで完成します。

オムレツの外側だけが固まれば中は半熟でもいいので短時間でできるし、むしろ時間をかけすぎるとふんわりトロトロとしたオムレツならではのおいしさを損なってしまう。
ただそれも黄身があればこそ。
白身だけを鍋に流してかき混ぜると、ほろほろの炒り卵状態になってオムレツ状にはなってくれない。
徐々に熱を入れ水気を追い出し、固まったところを折り返しゆっくり形を整える。時間もかかるし目もはなせない。
5分くらいはかかりますか…。

お待たせしましたとお皿にのせられた白いオムレツは中の具材が透けてみえ、焦げた玉子の香りが甘い。
入念に、入念に仕上げたホワイトオムレツは丁寧な味がします。
細かく刻んだハムやピーマン、ほうれん草。パプリカ、チーズにマッシュルームと具だくさん。
あらかじめソテして味を強めにつけた具材の味でオムレツ自体の味が整う。
フォークで表面を叩くとポンポン、乾いた音をたてて震える。
ざっくり切れて口に含むとおどろくほどにみずみずしくて、プルンとほどける。玉子の白身って水分をたっぷり含んだ食材なんだとしみじみ感じる。オキニイリ。

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