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どこにでもありそうでどこにもないオリジナル・イノダコーヒのクラブハウス

みんなが知らない料理を作って威張る高級な店もあれば、誰もが知っていてどこにでもある料理を小さなインスピレーションをくわえて丁寧に作る上等な店もある。ボクは後者の店が好き。
例えばイノダコーヒ。
今日に本店があり、その上等なること空気や時間までもが特別に感じてしまう今日にいけば行かずにおれぬお店のひとつ。

コーヒーだけでなく軽食類も充実していて、クラブハウスサンドイッチを食べると、どこにでもある料理が特別なものになることのステキをしみじみ感じることができる。

クラブハウスサンドイッチ。
ハムにきゅうり、グリルドベーコン、トマトにグリルドチキンとたっぷりの具材を挟んで仕上げる、この店のメニューにも「サンドイッチの王様」と評されているゴチソウサンドイッチ。サンドイッチ界の定番中の定番です。
ところがここのクラブハウスはひねりのきいたオリジナル。
まずサンドイッチの上にグリルドベーコンがふた切れのっかる。焼けた脂の匂いがおいしい。断面をみると3種類のサンドイッチが積み重なってる。キュウリとハム、トマトとベーコン、チキングリルと3種類。定番クラブハウスを分解し再構築してみましたって感じがオモシロイうえ、まず食べやすい。

しかもそれぞれ別個のサンドイッチとして味わうこともできる。
ひと齧りづつ続けて食べると、口の中でいわゆるクラブハウスになっていくのも面白く、なによりひとつひとつがしっかりおいしい。
キュウリの存在感に上等なハム。
トマトとグリルベーコンの味わい深さは特筆もの。
ちょっと甘めのパンのカサッとサックリ焼けたところもおいしい。堪能す。

ちなみに東京駅前の大丸百貨店の中にお店があって、紳士服売り場の奥に小さな入り口。中に入ると別世界。マホガニーの重厚な壁、床、仕切りと造りは重厚。赤い別珍のソファの張り地にカーテンと豪奢なムードに背筋が伸びます。
襟元の小さな白い朝のジャケット、黒い蝶ネクタイをしめたギャルソン、赤いベストも凛々しい女性スタッフがキビキビ働く様も優雅で特別な朝がはじまる予感にワクワクできます。

甘くて苦く生クリームの風味濃厚なアイスコーヒーをお供に味わい、そして今日のメインが到着。
イタリアンという名前のナポリタン。蓋付きの銀の器が到着し、おまたせしましたと眼の前でサッと蓋があくうやうやしさ。蓋の下から顔を覗かすスパゲッティも居心地良さげ。熱々のできたてで器もあっためられているから、ほどよき温度が持続する。おゴチソウです。

太い麺から出たデンプンがケチャップを見事なほどに乳化させ、麺にぽってりからみつく。銀の器にうやうやしくもおさまって、麺はやわらか。けれど歯ごたえはしっかり残り、アルデンテとは違った奥歯を叩く感じが心地よい。

ネットリとしたケチャップの酸味に旨味。具材は玉ねぎ、マッシュルームに上等なハム。粉チーズとタバスコをパラパラチャッチャとかけて風味を加え、途中でクラブハウスを彩っていたベーコン乗っけて脂の香りをたのしみ、味わう。食べるたびに感心しちゃうおゴチソウ。


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