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炭で焼く肉、ガスで焼く肉

焼肉店の肉を焼く場所…、ロースターと業界的には呼ばれる場所ですが、大きく分けて「網型」「鉄板型」の二種類がある。

昔は鉄板型がほとんどだった。
鉄板と言っても鉄板焼きの鉄板のようでなく、金属の四角いプレートに縦型のスリットが入ったものをガス台の上において使用する。
ガス台の内部に水を張っておけば、焼いてる間に滴り落ちる肉の脂が熱源にあたって煙を出す確率は最小限。仰々しい排煙設備を必要としなかったところも便利な焼き方。

ところが炭で焼くとおいしくなるからと、ガスではなくて炭で焼く店が増えてきた。
炭の火力では鉄板をアツアツにすることはできないから、炭+網が主流になった。
網は脂を受け止めることはできないから、直接炭を直撃し煙になって噴き上がる。その煙が肉を燻して風味がついてくれるから鉄板で焼くのとは違ったおいしさがたのしめる。
そしてなんだか最近では炭で焼くのは本物で、ガスと鉄板で焼くのは偽物…、みたいに受け止める風潮がある。

でも炭にも欠点はあるし、ガスにも利点があったりする。どういう肉をどのように焼くかで炭がいいときもあれば、ガスで焼くほうが良いことがある。

脂ののった肉を焼くなら炭と網。
赤身の強い肉を網にのせると貼り付いてうまく焼けない。霜降り肉は乗せた瞬間に脂がとけて網をカバーしてくれるから、貼り付くことなくキレイに焼ける。
滴り落ちた脂が作る煙もおいしい。
タレを漬けたり揉み込んだりした肉を焼くと、それがかたまり炭になってこびりつくのが網の欠点。
だから塩味。あるいは何もつけずに肉を焼いてあとからタレを絡ませ食べるというのが炭焼肉のおいしい食べ方。最近流行りの高級焼肉のスタイルがこのタイプになるんでしょう。

鉄板で焼いておいしい肉、焼き方はその真逆です。
脂控えめの肉そのものがおいしい赤肉。それにしっかりタレをからめて焼くときは、鉄板にガスという組み合わせに限ると思う。
タレがずっと鉄板の上でフツフツ焼かれて香ばしくなる。
脂がなくても鉄板ならば貼り付くことなくキレイに焼けるし、ガスの炎は水分を持っているから肉もしっとり、ふっくら焼ける。
最近、脂の強い肉はたくさん食べるとお腹が重たくなるお年頃。だからガス、鉄板の店に出会うと贔屓にしたくなったりもする。温故知新なオキニイリ。

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