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Hootersは日本でどうしていればよかったんだろう…。

日本でフーターズを運営していた会社が経営破綻してしまいました。

チアリーダーの格好をしたセクシーな女性がサービススタッフ。
料理はカジュアルなアメリカ料理。
健康的な明るいムードが売り物のアメリカで人気のチェーンストアです。
外食産業の人たちがロサンゼルスやハワイの研修旅行に行くと、必ずといっていいほどチェーンのどこかのお店に行く。
半分勉強。
半分息抜き。

業界の人がアメリカで店をみるとき、だいたい次の3つのカテゴリに分けて見る。

① 日本に持ってきても駄目な店
② 日本に持ってきたら成功するに違いない店
③ 日本に持ってきたいけどむつかしい店

日本に持ってきたら成功するに違いないと思って提携したり真似したりして、それでも成功できない店があるのはしょうがないこと。
食生活も生活習慣も日本とアメリカは違っているから、そのままで成功するほうが少ないくらい。
ちなみにフーターズといえば「持ってきたいけどむつかしい店」の代表的な事例のひとつ。

あの女の子をどうやって揃えるのか。
アメリカ流の健康的なセクシーをどう日本の女性に教育するのかと、課題が山積。
だから日本には永遠にこないに違いない…、とみんなほとんどあきらめていた。
それが日本に開業する。
しかもロイヤルホストがかつて旗艦店を営業していた赤坂見附の一等地を一号店のロケーションに選んだというので業界は色めきたったものでした。
業界の人たち以上に色めき立ったのは、セクシーなおねぇさんたちの接客を受けてみたいと思う男性たちで連日繁盛。
順調にお店を増やした。

ところが徐々に人気は陰った。
取れなかった予約がいつもとれるようになり、予約なんかしなくてもよくなり空席が目立つようになる。
先日、バッファローチキンウィングが猛烈に食べたいと思って、フーターズに行ったとき。
くしくも年に一度のフーターズガール日本代表を選出するキャノペーンをやっているというにもかかわらず、大きな店にフーターズガールはたった1人と寂しい状況。
バッファローチキンを辛めのソース「ファイアーで」とお願いするも、なんとそれはないという。
それよりちょっとだけ辛味控えめのソースなら?って聞くもそれも欠品で、あるのは下がバカになるほど辛いのか、辛くないのの数種類。全20種類中なんと10種類以上が欠品でした。
それってどういう状況かといえば、日本料理店に入ったら、今日は醤油がないからケチャップでいいか?と聞かれているようなものであって、普通ならば店を開店できぬ惨状。
しかも肝心のフーターズガールも欠品まじかという状況で、しょうがないから店を出た。

ソースをアメリカから仕入れる金にも苦労していたんだろうなぁ…、と今となっては気づいた次第。
なぜそんなことになっちゃったのか。
ボクはおそらく、彼らがフーターズというブランドの「売り物」を間違ってしまったからなんだろうと思う。
フーターズは女の子が売り物のライトなキャバクラだったのか、それとも飲食店だったのか…、という問題です。

フーターズという店は業態カテゴリとしては「スポーツバー&レストラン」ということになっている。
店には大きなモニターが置かれていてNBAだとか、NFLだとかの試合動画が流されていて、それを見ながら仲間同士で酒を飲み、気軽に食べることができる料理が揃ってる。

つまり飲食店であるのだから、料理がしっかりしていなくちゃいかん。
品質は悪くなかった。
日本で楽しむことができるアメリカ料理の最高峰のひとつといってもいいほどで、けれど料理提供が絶望的に遅かった。
遅いだけでなくオーダーミスも頻発したし、それを指摘しても悪びれることなく「あら、ごめんなさい」と笑っておしまい。
飲食店の基本ができていなかった。
…、というコトになる。

飲食店の売り物は「おいしい料理とよいサービス、キレイなお店」。
つまり「QSC」のよし悪し。
料理、サービス、お店の雰囲気のバランスをどうメリハリを付けて特徴づけるか。
それが付加価値。
つまりフーターズにおいてセクシーなおねぇちゃんはあくまで付加価値であって、それを売り物にしてしまうことは非常に危険。
そう言えば、丈の短い浴衣姿のサービススタッフで話題をとった塚田農場もその付加価値ゆえにすっかり伸びがとまってしまった。
こういう減少。
「フーターズシンドローム」って名付けてもいいんじゃないかとボクは思ってる。

さて、フーターズ。
どうしていれば日本の市場に上手に溶け込むことができたのだろう。
キーワードは「応援しにいきたくなるお店」。

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