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僕のロスタのこれまでと、これから。

NAロードスターの話をしましょう。

あのクルマはとてつもないクルマです。

カスタムの選択肢が異常に広いのです。

何ですかね、あれ。


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ぱっと思いついたカスタムを4つあげただけでこの振れ幅。60'sのイギリス車のようなカスタムから、イマ車に引けを取らないようなボディラインを意識したstance的なカスタムまで、この車のポテンシャルの底知れなさに驚くばかり。

豊富すぎるアフターパーツ。多種多様なデモカー。一つ一つが目指す「理想のロードスター」の姿はまちまち。なんでもパーツを入れればいいってもんでもありませんし、高いパーツを入れればカッコよくなるものでもありません。具体例は今回は差し控えますが......
NAロードスターのオーナーは、そんな「理想のロードスター」の姿を、日々、あぁでもないこうでもないと模索しながら生きているのです。ロドいじりの沼は底なしです。

話は変わりますが、車いじりで最も大切な要素は何でしょうか。お金、という答えは別として。

僕はこれは「見分」ではなかろうかと思っています。実際に自分の目で見た「かっこいい」クルマのイメージが、地層のように重なっていくことで、自分なりの理想形が完成するのだと思う訳です。勿論それ以外の要素、例えば知識や感覚も大切です。当たり前です。でも、今回は「見分」から僕の「理想のロードスター」の話をさせてください。

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僕は幼少期からクルマが好きでした。というより、乗用車にまつわるVHSやら父親のカーマガやらプラモやらミニカーやらに囲まれて過ごす英才教育を施されていた、というのが正しいかもしれません。

そんな僕に転機が訪れたのは4歳の頃で、みどりの日に親父にパンダで連れられて行った伊那のフィアットフェスタでした。これがすべての始まりであり、また終わりでもありました。

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会場であったラリーキッズ伊那を攻め立てるフィアット・パンダやアルファロメオ156、アウトビアンキA112、ベルトーネX1/9、ランチア・デルタたちにそこで僕は初めて出会いました。見たこともないけど小さくてカッコいいクルマたちが、ポップなカラーリングに身を纏い、サーキットで跋扈する。これは衝撃的な体験でした。

とにかく僕はここでイタリアの大衆車が大好きになりました。当時の落書き帳は1冊すべてレーシングカラーが施された156で埋まったこともありました。(特徴的で書きやすい形だったんですね。)
そんなわけで僕の車好きの原点は間違いなくイタリアの大衆車です。「見分」の一番根っこの部分です。

しかしここで疑問に思う方もいるのではないでしょうか。この見分が積み重なって、何故"ロードスター"なのでしょうか。同じ価格でフィアット・バルケッタが買えるし、あの時親父に乗せられたパンダも、辿っていけば(朽ちかけらしいが)手に入れることもできます。ここでは言えませんが、かなり自分の近いところに「イタ車に乗る」という数多の選択肢がありました。

それでも尚、ロードスターに拘ったのは、このクルマが先述のフィアットフェスタと同じくらいの強烈なインパクトを僕に与えた存在だからなのです。今でも忘れられない小学校3年の秋、父親の友達が乗っていたGリミが一時的に僕の家にやってきました。

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夜、屋根を空けたNAの助手席に乗っていた僕は、夜のとばりを切り裂くような鋭い加速、強烈なG、そして未だかつてないほどの爽やかな風に包まれ、完全にこの車の虜になってしまったのです。知れば知るほど面白い存在。中学の時の先生が乗っていたM2-1001によってその憧れは強烈に増大していきました。これが、僕の「見分」のもう一つの核となる部分だと思います。

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そんなわけで、僕の中のクルマの見分は、「イタリア車」と「ロードスター」がその根幹を担っているわけです。であれば、この2つの要素のいいとこどりをしたクルマを作りたい。

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それは決して「コスプレ」ではなく、僕の考える「イタリア車」の持つ美しさの本質的な要素を抜き出して、それをロードスターが本来持つ美しさと融合させたカスタム、となるわけです。

そこで今回はいくつかのイタリア車の例を挙げながら、僕の「理想のロードスター像」を考えていきます。勿論輸出仕様のMX-5を作るという話でもありませんよ!?

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1.コンペティツィオーネ路線 
―fiat cinquecento torofeo―

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この車を見て車種が分かった人、相当なイタ車フリークです。

この車、フィアットが93年より実施したワンメイクレースの車両。元になったのは「cinquecento(チンクエチェント)」という小型車。日本でいう所のアルト、ミラのような小僧向けの小さなハッチバックです。900ccのOHV。

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これをアバルト(厳密には違う)がチューンし、キットカーという形で発売がなされていました。

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純正のカタチを継承しつつも、好戦性がむき出しになったデザイン。あの日伊那のサーキットで見た小さなイタリア車たちの姿がありありと浮かんでくるようです。コンペティツィオーネ(competizione)とは、イタリア語で「競技グレード」を指す言葉。

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ロードスターで言えば、ドンガラにダッシュ貫通ロールバー、スパルコのスプリント、4点ベルト、IRPのシフター等でこの雰囲気にはグッと近づけられるのではないでしょうか。STACKの追加メーターでも入れば気分はアマチュアレーサーです。ホイールは出方にはこだわらずワタナベやグラムライツ57V、クラゲ、CR01R等でしょうか。とにかく純正のデザインを大切にしつつバトルマシンを作っていけばいいわけです。

言うだけなら簡単なのですが、これを実際にやる男気は正直言ってありません。僕のロスタは通勤車でデートカーでお買い物車ですからね。もう1台ロードスターを生やせば話は変わってきますけど、今の環境ではちょっと厳しそうです。

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2.ストラダーレ路線
─LANCIA Delta S4 Stradale─

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この車は結構有名ですね。そう、ランチアデルタS4。「狂気の時代」とも揶揄されたWRCのグループB規格に乗っ取って作られた、純度100パーセントのラリーカー。車体後方に1.8リッターエンジンを積み、ターボとスーチャーの2種の過給機でブーストさせ、600PSのまで膨れたパワーを890kgの車体が4輪駆動で受け止める。書いててアホかと思うような車です。

そんなデルタS4にも、ホモロゲ(市販車としての年間生産ノルマ)取得用のロードゴーイングモデルが存在します。それが「S4 Stradale(ストラダーレ)」。Stradale、英訳するならStreetといったところでしょうか。
メーカー公認のストリートチューンモデル、に近いかもしれません。

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内に秘めたる闘争心を真っ赤なヴェールで包んだような、何とも言えない妖しさを感じます。とても一目で「普通の車だ」とは感じられません。

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内装もこれまた絶妙で、先述のトロフェオのようなそぎ落とされたイメージは感じられず、あくまで「ちょっと洒落た車」の体をとります。

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しかし、スウェードがふんだんに奢られたダッシュボードやステアリング、オレンジ色に光る計器類、アルミのフットレストからはそれでも包み隠しきれていない「サソリの毒」を感じずにはいられません。

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先述のトロフェオとは違って、「後付け感」の感じられない仕上がりになっていることがわかりますでしょうか。ロードスターでこれがやりたい。アルカンターラ地のダッシュや、アバルトステア、ジュラコンシフト等、S4ストラダーレに使われているちょっとした小技をさりげなく織り交ぜつつ、例えば1001バンパーや社外ハードトップ、CMC-03やスーパーラップで「違和感」を演出したいところです。

ボンネットを開ければそこは...というところまで踏み込めれば大満足です。

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3.グランツーリズモ路線
─AlfaRomeo Junior Zagato─

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1960~70年代にアルファロメオが生産したクーペに、ジュリアという車が居ます。これはそのジュリアをカロッツェリア・ザガートっていうデザイン屋(適当)が純粋なグランドツアラー、即ちGranTurismo(グランツーリズモ)として生み出したのがこの車。特徴的なグリル故にすぐ覚えられるイタリア車の一つですね。

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内装のこの雰囲気、といって伝わるでしょうか。ロードスターでクラシカルな雰囲気を出すと確実にロータス・エラン風な英国車に近づいて行ってしまいます。そうではなく、黒を基調とした革張りの内装や、樹脂で作られたやや頼りない感じのインパネを合わせていきたいわけです。

外装も過剰なメッキにはこだわらず、ミラーや灯火類といった2~3か所にキラリと光る何かがあればそれで十分な気がします。日本の旧車のニュアンスとやや似ているかもしれません。「丸っぽさ」と「角っぽさ」のバランスが大切になると思っています。

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グランツーリズモ。あくまで長距離をゆったりと走れる仕様なわけですので、単純なマシンパワーや重量よりも、静粛性や快適性が先に着ます。ジュニアザガートもオリジナルのジュリアより重く仕上がっていますからね。街乗りもしやく、助手席に誰か乗せても文句が出ない、かなり現実的な路線だと思っています。

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4.ネオ・クラシケ路線
─FIAT UnoTurbo i.e─

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この、ゴルフにも初代マーチにも似たようなハッチバック。フィアット・ウーノと言います。83年に登場した車です。これは85年に追加されたIHI製タービンを積むモデル。

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どこをどう切り取っても、なんとなくやる気がないように見える顔つき。それでいて妙に端正に見えるのはデザインしたジウジアーロの技でしょうか。車高は気持ち高めですが、どことなく垢ぬけた印象があります。

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80年代のネオ・クラシック車らしく、樹脂の多く使われたインパネ。一見しておとなしい印象を受けますが、僕が狙っているのはそこ。

いくら手に入れやすいクルマとは言え、NAロードスターも産まれて4半世紀。立派なヤングタイマーと言えるでしょう。だからこそ、あえてオリジナルの姿に近い状態を目指してみる、という弄り方です。

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ここで大切なのは、「どノーマルにする」ではないということです。ステアをMOMOのCOBRAに変えてみるだとか、シフトノブを他車種の流用にしてみるだとか、SRリミのシートを流用するとか。樹脂にまみれたネオクラ車らしい要素をふんだんに意識しつつ、「一見して弄ったと思わせない」カスタムを大切にするのがこの路線です。

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ホイールだけは別で、6Jくらいの「定番」とは少し離れたチョイスにすると面白そうです。手前味噌ですが、私が少し前に入れていたATSのType Eとか結構いい線行ってた気がします。オーディオに手を入れてみても楽しいかもしれません。このカスタムも結局、快適性が大切になってくると思っています。

このカスタムのいい所は、一番実行に移しやすく、維持管理の面でもかなり楽できるってことです。問題は本当に気付かれないことです。

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さて、いくつかの案を考えてみました。現実とのせめぎあいの中で、僕がどのような車いじりをするのか、この4つの中から1つ選べと言われても果てしない時間がかかりそうな気がします。どうなるかこうご期待、ってことで。

さて、皆さんの車好きの根源って何でしょうか。考えてみると意外なヒントがあるかもしれませんよ。

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