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オンライン秘書サービス「My Assistant」 を作るためにチームでやったこと

こんにちは。のっちです。

先月、株式会社キャスターさんのMy Assistant(マイアシスタント)というサービスをリリースしました。

このサービスにプロダクトマネージャーとデザイナーを兼務する形で昨年9月くらいから携わり、今年の1月にリリースを迎えました。

今回は、このプロジェクトのなかでチームで取り組んだことと、プロジェクトで気をつけたことをまとめていきたいと思います。

マイアシスタントとは

マイアシスタントは、「忙しいあなたの時間、増やします。」をキーワードに、日常業務を優秀なアシスタントにチャットで依頼できるサービスです。

「飲み会のお店探しや予約」「新規事業の競合リサーチ」「領収書の転記」など、自分でやっているが他の人がやってもいいような仕事、ありますよね。それを500円〜という格安価格で外部に委託できるサービスです。
元々優秀なアシスタントが集まっているキャスターなので、安価ですがクオリティも一定のものを担保できます。

これまでオンライン秘書サービスは多くありましたが、どれも月額制で手が出せなかった個人事業主の方や会社員の方が多くいました。そんな方々にも使ってもらえるよう、単発で安価に素早く依頼できるというのが利点となっています。

これからの時代、任せられる仕事はどんどん他に任せ、より付加価値の高い仕事に集中するという時代が来ると思うので、とても時代にあっているサービスだと思っています。

スタート:作ったものを細かく共有して決定する

プロジェクトは2-3ヶ月の開発期間でプレリリース、そこから1ヶ月ブラッシュアップして本リリースを行うというものでした。

全体的に時間は少なく、かつリモートワークなので、お互いが密に連携を取り合う必要がありました。

そのため、お互いがどんな作業をしているのかどんなことに課題を持って進めているのかを共有しながら進めていきました。

毎日何かしらの作業がひと段落したら共有し、方向性が違う時はその場で指摘して軌道修正する、という空気感で進められたので、無駄な工数なく進めることができました。

エンジニアの皆さんはかなり細かい頻度で今やっていることや懸念点などを共有して、全員が進捗を確認できる環境を作ってくれました。

進捗共有→決定 を細かく繰り返したので、定例ミーティングは先週やったことと抱えている課題の共有、来週やることの決定のみ。会議の時間を使わずに、作業の時間を最大化しました。ミーティングは平均して週で30分くらいだったのではないかと思います。

キャスターさんは自社オフィスを無くしてしまうくらいリモートワークを推進している企業なのですが、レスの速さやオンラインでのディスカッションの濃度など、リモートワークに大切な意識がとても高く、流石リモートワーク第一人者だと感じることが多々ありました。

議論は全てオープンにする

チームメンバー全員が集まっていない場で議論をすると、そこに参加していない人はその議論の過程を知ることができません。
当然そこに参加していない人のモチベーションは下がりますし、情報差を埋めるために別の工数を割かなければいけません。
結果としてプロジェクトの透明性が失われ、進行が遅くなってしまいます。

マイアシスタントでは、チーム全体で、個人情報を取り扱うもの以外はすべてオープンな場(全員が参加しているch)で議論をしました。

チャンネルへの送信の仕方は基本的には返信機能を使わずにできる限りオープンにして「探せばわかる」ではなく「みんなが見える」状態で進めました。返信を使う場合は「チャンネルにも送る」を選択してチャンネルにも投稿されるようにしました。

対面やオンラインミーティングを行った時はその内容をslackに残しました。

アウトプットを共有し、全員が同じ情報量を持つことで、無駄な工数を割くことなくプロジェクトを進めていくことができました。

テーマを持って意思決定する

プロジェクトの途中では、色々やりたいことや解決が必要そうな課題が増えてきます。それをどのようにやる・やらないを決めていくのか、それによって進行スピードは大きく違ってくると思います。

マイアシスタントでは2-3週間スパンでプロジェクトを見て、それぞれでテーマを持って進めていきました。
そしてそのテーマの実現に意味があるものはやり、そうでないものは貯めていくようにしました。

例えば
「チャットで業務を依頼する一連の流れを問題なくこなせるようにする」「それぞれの業務の満足度を高める」
「アシスタントさんの使いやすさを高める」
など。
リリース後は
「致命的なサービスの穴を埋める」
「一度来たユーザーが帰ってきてくれる仕組みを作る」
など、チーム全体が今って何する時期だっけ?の共通認識が取れている状況にしました。

これによって、たくさんのアイデアが出た中で、今やるべきことが明確になり、進む方向に迷いが生まれなかったように思います。

もちろん今やるべきことでなくてもアイデアは大切なので、「アイデア(No Status)」「次のテーマでするもの(次にやるか考えていること)」「今のテーマでやること(やること)」「今週やること(今スプリントでやること)」のように分け、進めていきました。

運用が重要なサービスであることを意識する

マイアシスタントは、色々な業務を依頼することができるサービスなので、今後毎週のように業務が追加されることが予測されます。
そのため、チーム全体として、業務を追加しやすく、変更が効きやすいようなサービスを作ることを意識しました。

システムとしては、使い回しのきくコンポーネントの作成やチャットの流用で新規メニューを作ることができる仕組みをエンジニアの皆さんに作成してもらいました。

デザインに関していうと、試作段階でメニュー一覧では画像を使った画面を考えていました。

しかし今後の運用を考えた時、画像の選別コストが高く、また選択を間違うとユーザーに不利益を与えてしまうと考えたため、結果としてシンプルなテキストベースの表示に変更しました。

現在はオペレーションを統括している佐藤さんがシートにテキストを入力するだけで、メニュー追加に必要な情報が全て揃うようにすることができました。
これによって運用のタスクを大きく減らすことができました。

課題をひとつひとつ着実に潰していく

10月前には大枠のデザインが完成し、本格的な実装フェーズへ。
このフェーズでは正常系以外の状態変化の課題を潰しながら進んでいきました。
今回のような業務サポートサービスでいうと、
- クレジットカードの認証が途中で切れた場合
- アシスタントが業務を実行したあと、業務に不満がある場合
- アシスタントが業務を実行したあと、ユーザーから返信がなくなった場合
など、色々な状態が考えられます。

ユーザー体験を損なわずに最小工数で行けるように、チームでひとつひとつ課題を潰していきました。

デザインに関する変更は、その場でデザインを作成して進めました。フロントエンドエンジニアの加藤さんは作業が早く工数がかかりそうなところはすぐに共有いただいたので、スムーズに一緒に解決策を見つけていくことができました。

検討が複数案になり議論の余地が大きい時は、Notionに案をまとめ、それをベースに話すようにしました。

潰した課題は忘れないように、その場で仕様に付け加えていきました。

仕様は、
- システム表示
- ユーザーのアクション
- システムが実行すること
- エラー時のエラーメッセージ
に分けています。

これによって、過去の決定を忘れたり同じことを何度も話すことなく、一歩一歩ゴールに向かっていけたと思います。

プレリリース

10月末にキャスター代表の中川さんに確認してもらい、正式にGOが出たので、プレリリースの予定を決めました。
プレリリースは、どのユーザーも触れる段階にあるが、告知はしないステルス状態です。
今回のサービスでは、実際にステージング環境で動いたとしても、ユーザーとアシスタントとのやり取りやアシスタント同士の連携が大事なサービスなので、このようなリリースが必要でした。

プレリリースにおいても実際にはリリースと一緒なので、リリースに必要な要素をリストアップし、時間のかかりそうなところから全員でひとつひとつ埋めていきました。

11月の頭に準備が完了したので、プレリリース。

当初の想定の1週半遅れだったので、ある程度チームの予想通りにプロダクトづくりを進めることができました。

リリースに必要なことをチームで判断して進める

プレリリースが終わった後は、リリースに向けた準備を行いました。プロダクトの他にも、広報やアナリティクスなどもリリース時は必要なので、時間のかかるものから詰めていきました。

プロダクトのブラッシュアップは、使ってみた感想から課題や要望を話し合ってリストアップし、ひとつひとつ潰していきました。

やるべきこととやりたいことがたくさん出るので、
「簡単に素早く依頼できる」ために必要なことだけをやるというテーマの元、やるべきことを決めました。
例えば以下のようなことは「やらない」とチームで決めたことです。

- チャットでワードやエクセルを送れた方がいいのでは? →実装工数がかかる割に効果が不明瞭。Gmailで代替できる。- チャットにURLを貼った時、OGP画像が表示された方がいいのでは? →確かにあった方がいいが「簡単に素早く依頼できる」という体験を高めるものではない- メニューの数が少ないのでもっと増やした方がいいのでは?  →まずはコアな体験を高めることの方が重要。メニューの数は後からでも増やせる

一方「PCからもスマホと同様に使えるようにする」などは少し時間がかかったとしてもこの段階で実装しました。(当初はスマホからのみを想定していた)

リリース日は12月中旬を予定していましたが、業務で利用してもらうツールにも関わらずすぐに長期休暇に入ってしまうのはよくないので、1月中旬に変更。
媒体にアプローチしてもらい、掲載されやすそうな日にリリース日を決めました。

PCが追加されたことでUIも変更を入れることとなり、年が明けても直前まで修正を行いました(チームの皆さんギリギリまですみませんでした...🙇‍♂️🙇‍♂️)。

最終的に1月21日に正式リリースを迎えることができました。

リリース後にやっていること

ありがたいことに日経に掲載され、キャスターCOO石倉さんのツイートでも多くの人が話題にしてくれました。

使った方からの反応もたくさん見ることができて本当に嬉しい限り...!

一方で本番環境じゃないとわからないようなバグ(登録できるのに決済できないカード会社とか)も見つかったので、リリース後1週間は判明したバグを逐次報告しあい、すぐに決めて修正するということを繰り返しました。
ここから会話量が増えるので、チームのチャンネルの数を増やしました。

アイデアをとりあえず投げ込むところとそこから決まったことを別のチャンネルに決めるのはかなりよかったように思います。

リリース後はやりたいことがたくさんあるのですが、
- きてくれたユーザーが不備を感じず満足させられること
- その後にそのユーザーが帰ってきてくれる仕組みを作ること
- その後にたくさんのユーザーが来てくれる仕組みを作ること

テーマを持って順番に進めています。今はまだひとつ目です。詳しくはこちらに書いてあります。

表出していない課題を掴むために、リリース後1週間が過ぎたくらいから、初期のユーザーにインタビューを開始しました。

結果として10名以上の方とインタビューを実施しました。皆さま熱量高くて本当にありがたかったです...!

インタビューの内容をディスカッションしてこれからやっていくことを決めていきました。

現在は、ここから生まれた課題を改善に活かしているところです。この段階が終わったら、次は「どうやったらユーザーに戻ってきてもらえるか」というテーマでインタビューをするのが良いかと考えています。

気をつけたこと

ここまで、My Assistant を作る上でチームで取り組んできたことでした。

最後に、PMとデザイナーを兼務する上で悩んだことと自分なりの解決策について少し書きたいと思います。

①即座に意思決定するPMとじっくり考えるデザイナーの脳を分けること

PMとデザイナーを兼ねると、デザインを作りながら意思決定できるのでとても効率が良いです。
一方でデザインを作っている時、どうしてもまとまった時間が欲しくなる時があります。

課題に対しては即時で意思決定する必要があり、デザインはまとまった時間を取りたいその時間と脳をうまく分けるのが、この役割をする上では大切なことだと思い、気をつけていました。でもそれが意外と難しい。

個人的な解決策としては、チームの議論が盛り上がってくる時間帯を把握して、その時間までデザインを作るまとまった時間と決めました。(僕の場合は11時まで)
そしてその後はコミュニケーションをとることをメインに、空いた時間でデザインを作っていく、とすることで、どちらかがどちらかに引っ張られることなく進められるようになりました。

②自分が自分の良いPMになってるか?と自分に質問すること

自分が意思決定者でデザイナーだと、ついつい「ここは気合いで徹夜でデザイン作ればいける」とか「他の案は週末作ろう」など、ヘビーな労働を強いてしまいがちです。
けれど大体そういう時はうまくいかず、結果としてPMとしてもデザイナーとしても中途半端なアウトプットになり、周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。

そんな時は意識してPMだけの立場になって考えてみるようにしました。
客観的に見ると「無理なスケジュールを引いてない?」「大切でないところに時間を使ってない?」などを感じることができ、自分にとって無理のないスケジュール感で進めることができました。

自分がデザイナーであるときの良いPM、自分がPMである時の良いデザイナーを心がけることが、この役割で良い働きをし続けるために必要かなと思いました。

他にも色々あるのですが長くなってしまうので続きは需要があれば...。
今後同じような役割を担う人が増えると思うので、その方々に知見をお伺いしたいところです。

まとめ

長くなってしまいましたが、今回のプロジェクトのまとめでした。
フルリモートにも関わらずしっかりプロダクトのリリースができたのは、チームメンバーそれぞれが高い責任感を持って仕事に取り組んだからだと思います。ありがとうございました!

これからも請け負える業務がどんどん増えてくるので、ぜひ一度のぞいてみてください!

それでは、またよろしくお願いします。

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