ウォークマンにさして自転車通学していた高校時代から、イヤホンは私の必需品だった。
　ワイヤレスは人生初だ。

　テレビを観ながら何かをするというのが苦手で、私はもっぱら音楽を聴きながら家事をする。
　朝起きたらエプロンのポケットにスマホを入れ、イヤホンをさして音楽を流しながら家事を始める。
　私の一日は音楽と共に始まるのに、スマホの機種変更をしたら、イヤホンをさすところがなかったのだ。

 　息子がイヤホンが欲しいと言ってきた時に、「なんでそんなにイヤホンが高いの、ワイヤレスじゃないといけないの？」とひと悶着やったので、最近のスマホにイヤホンはさせないのを知ってはいた。
　とうとうこの時が来てしまった…。

　だいたいイヤホンが必需品といっても、耳に入れるのが苦手なので（動くと耳から落ちる）耳に引っかけるタイプを愛用しているのだが、ワイヤレスでもあるのかなあ。息子には高いの買わされたけど、そんなにいいものじゃなくていいんだけどなあ。
　あんまり気乗りもしないけど、ネットで検索したらたくさんありすぎて選べなかったので、息子の運転で、夫と三人買い物に行くことにした。

　家電量販店にもいっぱいあるなあ…。
　やっぱり耳に入れるイヤホンは憧れ。
　息子が入れてみせ「落ちんで？」隣で私が首を傾けるとやっぱりポロッ。
ダメじゃ！ひっかけるやつにする！

　耳に入れるイヤホンはたくさんあって、色もよりどりみどりなのに、耳に引っかけるタイプで、お手頃価格なのは白と黒しかなかった。
　散々迷ったあげく、黒を買った。全然かわいくないけど。

　家に帰って設定する。できるかなあと心配していたけど、すぐ設定できた。
　こんなに簡単でいいの？と驚いていると夫に「最近は何でも簡単にできるようになっとるんじゃ」と諭された。
　「だってこんなに簡単だと他のひとも設定して聞けそうじゃん」
バスに乗って隣のひとが聴いてたらどうしよう、懐メロばっかりきいてるから恥ずかしいなあ…くだらない想像をする。

　しかししかし…ワイヤレスイヤホンて、なんて快適なんだ！
新しい世界がひらけてしまった。
　動いてもポケットからスマホが落ちない、イヤホンのコードがドアにひっかかって転びそうになることがない。
　そもそも家のなかでスマホを持ち歩く必要がない！
　そのままトイレにも行けるので、何だってできる。

　うれしくなって踊りながらイヤホンをつけている。こんなことならもっと早く買えばよかったぜ…いつも思うことだ。

　私は、新しいものや知らないものへの警戒が強くて、取り入れたり、受け入れるのに時間がかかるタイプだ。
　そして、納得したら喜んで使い倒すタイプでもある。

　わかってるんだけど、いつも同じことを繰り返す。
　これも、今年の”牛に引かれて善光寺参り”体験。
　いつもながら、これは楽しい。