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フットボールのダイヤモンド・オフェンス における攻撃サポートの構造化 26 エントリーパス 〜バスケットボール6〜

エントリーパス

ファイナルゾーン(ゾーン3)で「セットオフェンス」を開始するにあたり、「セットオフェンス」を始めますという合図となるパスが必要であり、それがエントリーパスである。

チームで「セットオフェンス」を開始するには、このポジションのプレーヤーにボールが入ったら「セットオフェンス」を開始するという、プレーヤーなり、ポジションを決め、そのプレーヤーにボールが入ったら、ボール保持者の近くのプレーヤー(相互扶助:Ayuda mutua)がボールを受けるために、もしくはスペースを作るため、埋めるため、おとりになるために動き出す。それが「最初の入りだけは決めておく」ということだろう。その他のボール保持者から遠いプレーヤー(協力:Cooperación)は、ボール保持者の近くのプレーヤーが空けたスペースを埋め、次のプレーのためにボールを受ける準備をすることが大切だ。

ディレーク・シェリダン(2010)は攻撃のエントリーパスについてこのように説明している:

エントリーの始まりは、常に3番(フォワード、ウイング)にボールがあることが望ましいです。3番がパスをもらうことができないのであれば、3番とは逆サイドの選手にパスをするだけにしてください。もし3番にパスをすることができなかったら、チームは別のエントリーを実行しなければなりません。また、3番がウイングの高い位置にいるのであれば、次にポスト・プレーヤーへパスをすることが難しくなるので、パスをしないほうがよいでしょう。

フットボールに置き換えて考えてみると、ハーフラインを超えたらファイナルゾーン(ゾーン3)の外側レーンにいるウイングにパスをする。それが「セットオフェンス 」開始の合図となるエントリーパスだ。もし、ウイングにパスをすることができなければ、サイドチェンジをして、逆サイドのウイングにパスをして、そこから「セットオフェンス 」を開始する。

※エントリーパス:セットオフェンス を開始する最初のパス。


ガードからフォワード(ウイング)のエントリーパス:

バスケットボールの場合は、ガード(1番)がフロントコートに入ったら、素早くフォワード(3番)にパスをすることが大切である。それがエントリーパスであり、ボールを受けたフォワード(ウイング)の3番から「セットオフェンス」が開始される。

フォワード(ウイング)のエントリーパス:

ここでいくつか、フォワード(ウイング)がエントリーパスを受けるためのマークを外す動きを紹介する。エントリーパスは、フォワード(ウイング)プレーヤーがどのようにして、相手のマークを外してガードからできるけ前を向いた状態でボールを受けることができるかが鍵である。

I カット、V カットの名前はマークを外すときの動き方である。

図40:I Cut と V Cut


佐久本智(2010)はエントリーパスを受けるウイングプレーヤーのカットの動きについてこのように説明している(図40、41参照):

LカットやVカットからボールをもらうときに大切なことは、タイミングを計って、スピードに強弱をつけながら、ボールにミートすることです。

図41:L Cut

このような様々なカットはフットボールを始め、その他のボールを使う集団スポーツにも応用することができるだろう。フットボールの場合のエントリーパスとは、ウイングが内側レーンにポジションを取るMFラインのプレーヤーから受ける斜め前方へのパスのことである。ウイングはファイナルゾーン(ゾーン3)外側レーンにポジションを取り、できるだけ前(ゴール方向)を向いた状態でパスを受けることが大事であるので、ここにあげた様々なカットを利用して、相手ディフェンスのマークを外すことが重要である。

もちろん、ウイングでなくとも、チームによってはサイドバックがファイナルゾーン(ゾーン3)外側レーンにポジションを取り、サイドバックへのエントリーパスから攻撃を開始するチームもあることだろう。


ガードからガードのエントリーパス:

ガードからガードのエントリーパスとは、ガードからフォワード(ウイング)へのパスコースがない場合、逆サイドにボールを展開する必要がある。その場合ガードからガードへパスを回し、そこから逆サイドのフォワード(ウイング)へパスを回すのだ。

ダイヤモンド・オフェンスは、ウイングがMFラインのプレーヤーからエントリーパスを受け、ポストプレーヤーへのポストプレーを第1のオプションとすることである。

もし、相手ディフェンスが下がっており、ポストへのパスコースがない、更に背後へのパスコースもない場合、第2のオプションとしてサイドチェンジが有効である。逆サイドのウイングにパスを送るためにMFラインのプレーヤー間でパスを繋いで逆サイドにつなぐ。

このようにエントリーパスは攻撃のプレーヤーが、相手ディフェンスの動き、ディフェンスの仕方を観察し、相手のプレーの読み、予測して、素早くプレーを実行することが大切である。


引用・参考文献:

バスケットボール用語辞典. 監修:小野秀二、小谷究. 廣済堂出版. (2017). 29.

Derek Sheridan (ディレーク・シェリダン). プリンストン スタイル オフェンス. 編訳:塚本鋼平. 監修:佐久本智. グローバル教育出版. (2013). 17-21.


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