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ドールクエスト小説版 3話 リンちゃん三姉妹の逆襲


3話 リンちゃん三姉妹の逆転

りんちゃん三姉妹は、YouTube主人公の座レースは候補にすら入っていなかった。

ここは黒い不気味なクマのキャラクターで有名な、くまモン県人形町、一体いつから走っているかわからないようなレトロな市電が走り回る通りから程近いリンちゃんの店。

リンちゃんの店 中姉さん

リンちゃんの店では、昼はリンちゃん姉妹長女が料理する中華ランチ(出前あり)。ティータイムには三女のスエコお手製のおいしいスイーツとお茶やコーヒーを、夜は主に次女がカウンターに立ち、アルコールをメインに振る舞う店になる。

今はランチタイムが終わり、ティータイムまでの休憩時間。


『姉さん見てよ。この人形町で始まったこのドールクエストって話の一枚絵。私たち姉妹入っていないわよ。まぁもともと人形魔々によく思われていなかったものね。私たちってスタイルよすぎ。あの人は自分と同じようなちびっこ体型の人形がお好みなのよ。』

りんちゃん3姉妹次女、通称中姉さんは、スエコが入れたアップルティーを飲みながら人形魔々への不満を言い始めた。

人形魔々とは、人形たちを召喚し、この人形世界を作り上げた魔女、ウクレレ歌人さかなちゃんと呼ばれる怪しいおばちゃんだ。

もともと、人形遊びに興味があったわけではなかったのだが、自分のYouTubeに、自分の醜い姿を晒すわけにはいかないと、ダイソーのえりちゃんと言う人形を召喚してしまい、それがきっかけで、何らかの魔法、呪い、もしくは、化学変化を起こし、人形魔々となったのだとか。


『その割にはちび人形ちゃんたちに冷たいよね。一番似てるのに。不思議よね。』

ちび人形ちゃんとは、エリーちゃんたちが来る前から、存在した百均人形だ。名前もまだない。

『それにしても、どうして人形ママが、私たちをナイスバディー人形をお迎えしようと思ったのかしらね』

姉妹の中で、1番おとなしく見えるスエコが、姉たちに紅茶のおかわりを入れながらつぶやいた。

『さぁ、あの人のやる事はよくわからないわ。私も体操のインストラクターとして召喚されたみたいなんだけど、あんまり出番もないものね。スエコ、このチョコケーキ美味しい。今度は、もう少しプロテイン多めでお願い。ジムの仲間にも食べさせたいから。』

『OKよ大姐さん。それにしても、やっぱりリカちゃんみたいなメーカーの人形とか可動式ボディじゃないと、人形YouTubeとしてブレイクできないと思っているんじゃない?』

『私たちだってCan Doで有名な美人人形なのにね。値段が安いからって差別してんじゃないわよ。』次女中姉さんは次第にヒートアップ気味。

『SNSに露出とかはどうでもいいんだけど、用が済んだから、ゴミ箱行きって言うのは勘弁してほしいよね』長女リン大姐さんは甘いチョコケーキを冷めて苦くなってしまった紅茶で飲み下した。


その時、郵便ポストに何かが届いた。
封をあけると中国から400円の可動式ボディが送られてきた。

『人形魔々からだわ。』
『どう言う風の吹き回しかしら?』

3人は顔を見合わせた。

ボディーは一体しか入っていなかったので、体操のインストラクターを任せられていた長女のリン大姉さんがそれを使うことで、3姉妹の意見は一致した。

これで私たち主役もありかも。少なくとも捨てられるのはなくなったよね。多分だけど。



(続く)


YouTube動画 全話まとめリンクhttps://youtube.com/playlist?list=PLHoJHvjxjNWfZhtO1q_cvobAn7rxkNJIT  

作品についての情報はこちら。

人形劇】doll quest YouTube主人公争奪戦 2021ー2022|ウクレレ歌人さかなちゃん @sakana20001 #note https://note.com/sakana20001/n/n16f0d757dbf1?sub_rt=share_sb



























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