見出し画像

【ライブレポ】「ムクフェス2022」2022.12.17

池袋手刀にて開催された「ムクフェス2022」。
共同主催である世界システムと、空想革命に"ムク"を名に持つメンバーがいることから、白塗りの祭典として開催されたイベント。
「ムクフェス2023」が開催されるかは未知数だが、なんというか、この"イベントとして成功した感じ"が出演者にもオーディエンスにも共有されていた気がして、またやってほしいというのが率直な感想である。

ヴィジュアル系のメインストリームではなくても、バンカラかつアングラな世界観とテクノやチップチューンとの親和性を高めた独自の文化圏を形成している白塗り界隈。
池袋手刀という独自色の強いライブハウスとの相性も良くて、30代、40代、あるいはそれ以上の年代でも居心地の良いハコというイメージは従来から持っていたのだが、自分の認識よりも更に時間は先に進んでいたようで、(ヘッドホンで大音量のケアをした)ちびっこが何組か来ていて、既に親子二世代で楽しめるイベントになっていたかと驚かされた。
白塗りの未来は明るいぞ。

入場特典として、世界システムのGt.中村椋と、空想革命のDr.ムク・アイスジャンキーをモデルにしたイラストデザインのステッカーを配布。
主催の両バンドによる、イベントを記念したカップリングCDも販売されるという気合いの入りようだ。
残念ながらトップバッターのイビルキックには間に合わなかったので、2組目の便所の草から。



便所の草


ツインヴォーカル体制に加え、ドラムも前に出てくることがあるので、最大でフロントに5人並ぶという大迫力。
コミカル路線に全振りしているが、何気に曲も良い、というのが音源を聴いていた時点での印象だったのだけれど、ライブパフォーマンスが加わって完成するのだな、と改めて衝撃を受けた。
MCはネイティブ栃木弁。
地方シーンではニッチすぎるスタイルであり、普段出演しているイベントでは、白塗りというだけでインパクトを発することができる、とのこと。
その意味では、アドバンテージがない中での立ち振る舞いという点で、やや探り探りではあったのだろうが、そうとは思えない清々しいほどの熱量と吹っ切れっぷり。
B'zモチーフの楽曲をふたつ畳み掛けてくるのも勇気ある。


ロボガエル


インパクトだけなら、こちらも負けてはいないロボガエル。
こちらも先に音源を聴いていて、どんな音楽をやっているかはわかっていたのだけど、生で見る衝撃が薄れるものではなかったな。
古式ゆかしいネット用語に置き換えるなら、電波ゆんゆん。
ギターの弦が切れているのに気にしないでステージがどんどん進行していくサイコパスっぷりに、MC中に背後で流れる「ロボロボ1」の中毒性。
NightingeiLのDr.ハクヤがサポートしていることもあって、リズムは安定しているからこそ、この不安を煽るリズムやフレーズが狙っているものであることが確定するので、その前衛的すぎるセンスにトリップしそうになる。

1. はらぺこドクロ
2. 光
3. 月蝕世界
4. 電波少女
5. タコ
6. 覚醒‼闇イカん。


世界システム


レーザーハープがあると、特殊効果のない小さなライブハウスでも、セットが出来たようなゴージャス感が出て視覚的にも良いな。
体調不良でドラマー不在だったのは残念だが、フロントにずらっとメンバーが並んだシルエットも格好良い。
音楽性としては、正統派のバンド+テクノでの真っ向勝負。
歌モノあり、カヴァー曲あり、短い時間の中で世界システムの様々な表情を見せつつ、ステージ上でチェキを撮るなど、崩すところは崩してライブの魅力を創出していた。
MCでは、ちびっこをステージに上げて、突発的にレーザーハープ体験教室を開催するという自由度の高さにも度肝を抜かれる。
光に手をかざすとプログラミングされた音が鳴る仕組みなので、子供でも簡単に音を鳴らせるし、アトラクションとしても面白く、そりゃ男の子は大喜びだろうよ。
新規層の取り込みが課題となっているシーンにおいて、子供に目を付けて囲い込むとは、世界システム、先見性があるのかもしれない。

  1. コスモパラレル

  2. continue

  3. snow

  4. variant

  5. 奇想天外大冒険(空想革命Cover)

  6. kythera 2


侍NEWWAVE


もともと、いじられて活きるタイプのキャラクターなのだと思うのだけれど、尽く準備が裏目に出ていて、とても美味しい塩梅になっていた侍NEWWAVE。
最前列に未就学児がいる、しかもノリは超優良、という想定外の状況に、池袋手刀のディープな客層向けのセットリストが滑り倒したうえ、最後にはド下ネタをぶち込むことになってしまい、事故が発生していた(良い意味で)。
ただし、ピコピコ系エレクトロとしては良質な楽曲だったなと。
空想革命の「うすのろ」のカヴァーも、テクノ調にアレンジして披露。
結果的に強烈な印象を残してはいたのは間違いなく、客層とハマった感じの時の彼も見てみたい。


空想革命

白塗り界隈の中でも、中華コンセプトとなるとニッチ度がマシマシ。
こちら、リズム体が親子ということで、ムクフェスの裏テーマは親子だったのでは、と思ってしまうのは僕だけか。
スポットライトが当たることに慣れてしないのか、スティックを飛ばして瞬間的にドラムレスになる等のハプニングはあったものの、それで演奏を止めずにリカバリーできるのが実力の高さを物語っているのだろう。
世界システムで予習できたこともあって、スタートダッシュを決める「奇想天外大冒険」のキラーチューンっぷりが凄かったな。
共演者からのヤジも、ライブを盛り上げる要素になっているのが目から鱗で、アットホームだけど内輪ノリということでもない、独特な空気感に満たされていた。

そして、本編ラストのタイミング。
アンコールも含めた「残り2曲」宣言をしてしまったせいで、アンコールがグダグダになってしまった部分はあるが、Vo.シンガヤがドラムに座り、ムク・アイスジャンキーをフロントに送り出すと、更には中村椋をステージに呼び入れ、Wムクのヴォーカルによる「うすのろ」を演奏。
このサプライズに、アンコールまでのくだりは帳消しということで良いだろう。

1. 奇想天外大冒険
2. ひとりぼっち
3. まばたき
4. W
5. 嫌いなんだもの

en1. うすのろ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?