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【アルバム解説】さよならまでのあまやどり③ ~カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)~

フルアルバム「さよならまでのあまやどり」。
2曲目となる「カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)」についても解説していきます。



時系列的には物語のはじまりとなる1曲



「さよならまでのあまやどり」は曲順と時系列が異なるのですが、時系列順に並べたときに、最初の1曲になるのが「カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)」です。
ラストシーンで離れ離れになることを暗示してしまったからには、ふたりのはじまりのシーンも必要だよね、ということで作詞しました。
5月なので日差しはそこまで強くないけれど、"暖かい"から"暑い"に切り替わりはじめる時期の浜辺をイメージしています。
浜辺だから、風が吹くと砂が舞うのです。

「カゼハレ」というタイトルは、その場限りで適当につけた魔法の名前。
出来るだけ安易なネーミングが良いと思っていたので、そのときの仮タイトル「風が強く、よく晴れた日」を略しただけという雑なつけかたをあえてしました。
もちろん、"僕"は魔法なんて使えないのですけれど、おまじないの一種。
心の中で魔法を唱えたタイミングで都合の良い風が吹いたので、これは風を吹かせる魔法だ、ということにしたのです。
結果的に伏線が多い楽曲に。
アルバムを最後まで聴いてから、もう1度歌詞を見ながら聴いてもらえるといくつか発見があると思います。


もともとは別々に作った3曲をひとつに合体


咲花-サカナ。-の楽曲は、20歳前後のタイミングで組んでいたバンドで演奏していた楽曲のリメイクが中心なのですが、アルバムのコンセプトや好みの変化等を反映させて、歌詞や構成は手直ししています。

もっとも、そのバンドはヴィジュアル系とは切り離してやっていた経緯もあって、ポップすぎて世界観に合わないな、と選外になってきた楽曲もまだまだある。
それらの中から改めて、ポップで爽やかさのある曲を1曲だけ選ぼうとしたのですが、Aメロはこっちが良いけどサビはこっちかな、テーマ的にはこのフレーズも捨てがたいよな、と迷った結果、別々の3曲の良いところだけをくっつけて再構築することにしました。
イントロ・アウトロでの大サビ、通常サビ、Cメロが、それぞれのサビとなります。
ちなみに、BメロとCメロの元となった曲のタイトルが「風が強く、よく晴れた日」。
残り2曲は、別の形でリサイクルできるかもしれないので、内緒にしておきましょう。

いずれにしても、僕のHysteric Blueからの影響が詰まった1曲。
メロディだったり、コード感だったり、ポップな中に切れ味鋭いバンドサウンドや切ないフレーズを織り交ぜるアプローチだったり、ヴィジュアル系以外の引き出しから持ってこようとしたとき、いかにヒスブルに依存していたかがわかるのではないかと。
新橋さんのアレンジによってソフトヴィジュアル系っぽさが強まったことで、何故だかヒスブル感が増したこともあって、Tamaちゃんに歌ってほしいな、と今でも思ってしまいます。


(ネタバレ注意)君は"雨"、僕は"風"


他の楽曲との繋がりがある解説については、ネタバレ注意のフラグをつけることにします。
見るも見ないもご自由ですが、できれば未聴の方は、読む前に聴いていただいたほうが音小説の意義を感じ取ってもらえるのではないかと。
ここでは、聴いていただいた方がもっと楽しめるようになるTipsを綴っていければ、と思います。

言霊という言葉があるように、名前を付けたことで「カゼハレ」という魔法は力を持ちます。
前述のとおり、"僕"は別に魔法が使えるわけではないのですが、風が吹いた偶然に、意味を見出しやすくなったということ。
風が吹いて砂が舞った、という出来事に対して、普通の人は"砂が目に入って嫌だな"と感じるだけのところを、"僕"は"自分にとってチャンスが訪れた"と捉えることができるのです。
この後の楽曲でも、やたらと都合の良い風が吹くシーンが登場しますけれど、それはただの偶然である一方で、"僕"の魔法でもありました。

ただし、ここで唱えた「カゼハレ」は、数年後、もうひとつ大きな意味を持ちます。
それは、「魔法が解ける、その日まで」の歌詞の裏面を読んでいただければ解説が書いてあるので割愛しますが、記載外の設定を補足すると、"僕"は魔法は使えないものの、その方法は別の魔法と合致していました。
そこに魔女が介入したことで魔法の効果が解放された、というのが数年前に唱えた「カゼハレ」が「魔法が解ける、その日まで」での発動に至った背景です。
青春ポップな歌詞に見えて、実は核心に迫る内容が書かれていたりするので、是非読み返していただきたいなと。

ネタバレついでに、「例えば僕が幽霊になって」という歌詞は、ブラフとして用意した歌詞です。
お気をつけて。


さよならまでのあまやどり / 咲花-サカナ。-

【発売日】2024/4/1(mon)

【価格】2,200円(税込)

【収録曲】

4月 さくらの花、咲くころ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

5月 カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 新橋朱里

6月 忘れ物
  作詞 遠藤サカナ 作曲・編曲 新橋朱里

7月 黒猫と花火
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 新橋朱里

8月 夏草の丘
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

9月 枯花-カレバナ。-
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

10月 野良犬に鎖
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 Yuki

11月 ゆめわずらい。
  作詞 遠藤サカナ 作曲 Yuki & 遠藤サカナ 編曲 Yuki

12月 オナジソラノシタ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

1月 魔法が解ける、その日まで
  作詞 遠藤サカナ 作曲・編曲 新橋朱里

2月 うさぎ のち あめ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 Yuki

3月 あめあがり
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

ジャケットイラスト 酢平☆

【販売ショップ】

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