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【十角館の殺人】コミック版のエラリイがイケメンすぎた

ミステリー小説好きの方なら、知らない人はいないであろう名作「十角館の殺人」。
そのコミカライズ版を先ほど読み終えました。

感想を書く前に、ひとつ謝らなければならないことがあります。

もともと原作を読んでいたわたし、この作品がコミカライズされたと知ったとき、こう思ったのです。

「いや、あれは小説で読むから面白いんだし!」
「可視化してしまったら原作のよさがなくなるでしょ」

本当~~~~~にごめんなさい。

結論から言います。
めちゃくちゃおもしろかったです。

興奮冷めやらぬうちに、個人的によかったポイントをなぐり書いていこうと思います。

※以下、一部ネタバレ含みます。


「あのトリック」の再現方法


原作を知っている人なら、コミカライズで一番気になるのはやっぱり
「あのトリックをどうするのか?」
ということだと思います。

その答えは3話で分かるのですが…
なるほどそう来たか~~~!

最終巻のあとがきで、原作の綾辻先生がこのようにおっしゃっています。

原作のメイントリックを生かしながらの「映像化」は、特に実写映画やドラマでは至難の業――というか、ほぼ不可能だろう。しかしながら、これが「漫画化」なら可能であることは、漫画という表現方法の特性を考えれば明らかだった。

本当にそのとおりでした。
物語を伝える媒体は、小説や漫画、映像などなどありますが、
その特性を理解していると、こんな表現方法が可能なのか…と…

すげ~~~~~~~(語彙消失)

コミカライズでこのトリックの再現を成功してしていただいたことで、
小説を読むのが苦手、という人にも「あの衝撃」を味わっていただけるようになったのかと思うと、
とても嬉しいです。

これからは、知人に小説も漫画も貸せるようになるので、
いろんな人に貸してミステリの沼に沈めたいと思います。

とにかくキャラが美しい

コミカライズ版を読む前から、絵を見る機会が何度かあったのですが、
もうとにかく美しいのです。

絵がめちゃくちゃ綺麗で、
今まで自分の頭の中だけにいた「十角館」のキャラクターたちが漫画の中でいきいきと喋っているのを見て、1話でから引き込まれてしまいました。

「わたしがずっと会ってみたかったのは君たちだったのね!」
と、まるで長年ファンだった人に会えたような気持ちに(笑)

特に、女性陣がとても美しい!

オルツィやアガサ、そして千織は小説版より存在感があってとても良かったです。
さらに、原作では男子だった江南が、元気でかわいい女の子に!
かわいい!かわいいぞドイル!

そんなこんなで、読み進めるほどどのキャラクターにも、
小説で読んでいた以上に愛着が湧いてしまいました。

いっそこのまま誰も死なないでくれ…と思いましたが、
原作で死んでしまった人は、例外なく同じ運命をたどってしまうのです…(泣)

エラリイがイケメンすぎる

まずキャラデザがわたしの好みでした()
原作でも「好青年」と書いてはあるんですが、なるほどこっちの路線の好青年なんですね!好き!!

ちなみにエラリイは4巻の表紙になっている彼です。

しかし、ここで言う「イケメン」は、キャラデザだけの話ではないのです。

そもそも、原作を読んでいたわたしの中では、エラリイは
「最後の最後で推理ミスったやつ」
という印象でした(笑)

頭が切れて、終始探偵役として鋭い分析を披露するのに、
一番大事なところで気が抜けて殺されてしまいました。

でも、コミカライズ版ではかなり切れ者の雰囲気を醸し出していたので、
もしかして同じ結末はたどらないんじゃないかな?と思っていたのですが、

エラリイは、犯人をつきとめ追い詰めるところまでいってしまうのです。
原作と違う展開に、読んでいてシビレました。

最終的には一歩及ばず殺されてしまいましたが(泣)

この一連の殺人には千織の死が大きく関わっていますが、そこに犯人の誤解があることがラストでは明かされます。
エラリイはそれに気付いていながら、死の直前に弁解をしませんでした。

さらに最期、原作版では眠ったまま殺されていましたが、
コミカライズ版では、死ぬ直前に目を覚ましている描写があります。

その一瞬の表情が、
探偵の敗北を認め、すべてを受け入れているように見えました。

エラリイは最期まで探偵としての姿勢を貫き、
そして罪を背負って生きたんだなと、
悲しくも美しいシーンだと思いました。

この作品は、主人公がはっきりしていませんが、
もしかして彼だったのかなという気がしています。

エラリイ、原作よりもはるかにカッコよく描いてもらえてよかったね(笑)

さいごに

コミカライズ版では主要なトリックのほかに、リメイクされた部分がいくつかありました。

千織の死因が海難事故になっていたことで、よりキャラクターたちの罪の意識が深掘りされていましたし、
そこからラストで明かされる悲劇的な事実につながるのも、よりドラマティックでした。

ラストシーンも、江南が女の子になっていたことが活きて、より印象的な幕切れになっていたと感じました。

また、終始原作のセリフや言い回しをそのまま使ってくださっている部分が多かったです。
特に最初のエラリイのセリフは、「『十角館』が始まった!」という気持ちになれるので、そのままの言葉で読めたことが嬉しかったです。

漫画を読んでいて、作画の清原先生が原作をよく理解されていること、
そして原作と綾辻先生への敬意がすごく伝わってきました。

本当に読んでよかったと思いましたし、
改めて、今まで先入観で読まずにいたことを謝ります(汗)

「十角館」の原作ファンで、まだコミカライズ版を読んでいない方はぜひ、
読んでみてください!

余談ですが、オルツィの本名「大野由美」は、
もしかして綾辻先生の奥様である小野不由美先生から取られてるんでしょうか?

原作版でも出ていましたが、コミカライズ版で改めて字面に見覚えがあるなあと思いまして…
十角館の「あのトリック」は小野先生の発案だという話も聞いたことがありますし。

まだまだ、いろんな考察のしがいがありそうです。


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