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パリオリンピック2024まであと1年

パリ五輪まで1年余り。
東京五輪が1年延期されたことから、実質活動期間3年で大岩監督率いるパリ五輪代表の強化が進められている。
大岩監督は「A代表経由パリ五輪行き」を唱えており、実際第2次森保JAPANにはバングーナガンデ佳史扶/半田陸/川﨑颯太の3名がすでに招集されている。

パリ五輪1年前の2023年現在の状況で言うと、
U22が3月にドイツ・ベルギー、6月にイングランド・オランダと強化試合を行い、パリ五輪の弟世代にあたるU20はW杯に参加し残念ながらGL敗退で戦いを終えた。
現在開催されているモーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際)にはU19で参加しているが、実質U18に近い編成であり、ロス五輪2028に出場資格のある選手も多い。

上記3大会のメンバー表は以下のとおりである。

パリオリンピック1年前(2023)の選手選考状況

オリンピックの登録人数は従来18人だったが、前回の東京五輪でコロナ禍と5人交代制もあり、22人に拡大したのでパリ五輪でも踏襲されるのではないかと予想される。
さらにOA枠3人使用を考えると本当に一掴みの選手しか選ばれない狭き門である。


ここでパリ五輪の現状を考えるために、東京五輪の1年前(2019)を見てみる。
東京五輪は森保監督がA代表と兼任していたため、1チーム2カテゴリーでのチーム構築が行われた。
4年前(2019)のこの時期には、コパアメリカに参加して東京五輪の選手が多く選出された。さらに同時期にU20W杯2019、トゥーロン国際2019(現モーリスレベロトーナメント)にも参加して、東京五輪代表の選手は3チーム編成で同時並行で活動している状況だった。

上記3大会のメンバー表と最終的に東京五輪に選ばれた選手は以下のとおりである。
(※OAにあたる選手は記載除外)

東京五輪最終メンバー
GK
大迫 敬介  コパアメリカ2019
谷 晃生   
鈴木 彩艶  U20W杯
DF
板倉 滉   コパアメリカ2019
中山 雄太  コパアメリカ2019
町田 浩樹  
旗手 怜央  トゥーロン2019
冨安 健洋  コパアメリカ2019
橋岡 大樹  
瀬古 歩夢  U20W杯
MF
相馬 勇紀  トゥーロン2019
三好 康児  コパアメリカ2019
三笘 薫   トゥーロン2019
堂安 律   
田中 碧   トゥーロン2019
久保 建英  コパアメリカ2019
FW
林 大地   
前田 大然  コパアメリカ2019
上田 綺世  コパアメリカ2019

東京オリンピック1年前(2019)の選手選考状況

最終メンバーで1年前の時期に未選出だった選手は怪我などが原因のため、サプライズと呼べるのは林大地のみで、他の選手は基本的なスカッドには含まれていたことを考えるとパリ五輪代表も現状のメンバーに含まれていない選手が選ばれる可能性はかなり低いと思う。

年齢的に弟組にあたるU20W杯組から選ばれる選手は、控えとして招集はされても主戦力として考えられる可能性は低い。
一方でU20W杯2023では17歳の選手が活躍している国もある。ポストメッシ/ロナウドの時代においてサッカー界全体が若くてもポテンシャルの高い選手に機会を与えている方向に動いているように感じる。ニュースターを生み出そうとしている流れの中で日本からも超新星が出現するのを期待したい。

オリンピックにU23の選手として2大会連続で出場した選手は中田英寿・松田直樹(アトランタ1996/シドニー2000)の2選手のみ。状況が整えば久保建英が3番目の選手(東京2020/パリ2024)になる可能性がある。

鈴木彩艶にも2大会連続の可能性はあるが東京五輪では出場なしのため上記3選手とは立ち位置が違う。さらに東京五輪に招集されているがU20W杯2019の正GKは若原(京都)だった。
コパアメリカに召集されて正GK候補だった小島亨介が大分で控えGKに甘んじてる間に谷晃生に取って代わられえたことを考えると、鈴木彩艶のパリ五輪代表も安泰という訳ではない。

鈴木彩艶は能力の高さゆえに飛び級で上のカテゴリーに呼ばれるが、そこではレギュラーを獲れずに控えGKとしての国際経験ばかりが増えている。もちろんGKはキャリアの長いポジションなので無駄な経験ではないだろうが、正GKとしての経験値はかなり低い。パリ五輪の正GKを本気で目指すのであれば今夏のレンタル移籍を含めてキャリアプランの再考が必要だと思う。

2019 U-20ワールドカップを戦った日本代表メンバーは今どこに?

2019と2023を比較すると2019のメンバーの方が所属クラブでの出場時間を得ている選手が多い印象を受ける。もちろんこれは東京五輪組がレギュラーを確保したからパリ五輪組がレギュラーを獲るのに苦心しているという現象でもあるのだけども。

2019では三笘薫、旗手怜央、上田綺世、田中駿汰あたりの大学生組がプロ1年目で活躍したことも大きい。さらに言うと東京五輪が1年延期されたことも影響がかなり大きく、個人的には2020に開催されていたら三笘薫は東京五輪には招集されていないと思っている。

トゥーロン国際2019時点で筑波大学所属の三笘は5試合中スタメン1、途中出場1の2試合しか出場していない。理由は単純でこの時期の東京五輪代表は3421を採用していて三笘はシャドーで起用されていたため良さが発揮できていなかった。

森保監督はA代表は4231、東京五輪は3421と異なるフォーメーションを使い分けていた。
2019年11月にU22コロンビア代表戦で堂安・久保が五輪代表に初合流した試合でも3421を採用するが機能せず完敗した。その後2020年1月のAFC U23選手権でも3421で臨んでGL敗退し、開催国でなければオリンピックに出場できない状況だった。

コロナ禍で1年延期となりA代表、東京五輪代表が共に4231を共有したからこその4位であり、2020開催だったらつまずいていた可能性が高いと思っている。

パリ五輪に関しては大岩監督が一貫したシステムでチーム作りを行っているので、このような変更の発生は考えづらい。

パリ五輪代表にここからの1年間で求められるものは「海外組の覚醒」と「大学生組の覚醒」の2点だと思う。

1つ上の世代が活躍すると席が埋めるので、その下の世代は活躍しにくくなるのはよくある現象だと思う。
それでもパリ五輪代表は海外組の割合が多いので、海外組の覚醒でチーム力は大きな向上を図れると思う。かなり高いハードルではあるが何とか乗り越えて欲しい。
さらに現在大学生組がここから1年で特別強化指定でのJリーグの試合出場を含めて、どれだけレベルが上の舞台で場数を踏めるかも非常に重要になると思う。


東京五輪では金メダルを公言していたがメダルにも手が届かずに終わった。

あの時号泣した久保建英が来年再び栄光を獲得する挑戦ができるのか?
1年後高みに立つ3選手をOA枠で招集できるのか?
ノーマークだったポスト林大地は出現するのか?

どうなったとしてもパリ五輪まで残り1年が待ったなしで過ぎていく。
コチラは只々応援と期待することしかできないのだけども。


(文中敬称略)

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