Kirk Franklinを見た 19.09.21

(この日のライブは久方ぶりに会う友達と一緒で、終演後に飲みに行ったりしていたので、いつも以上にふわふわした内容となっております)



コンテンポラリーゴスペル、という言葉を聞いたのはいつが最初だっただろうか。そしてそれはカーク・フランクリンの名と共に僕の脳裏に刻まれた。今でもあんまりちゃんと分かってはいない。ゴスペル・ポップス的な認識でいいだろうか。

初っ端から超絶ハイテンションで始まったライブ。時にシャウトを混ぜながら、観客をあおり、スタンドアップ、手拍子、振り、シンガロングを要求し、客席に下りて観客と踊り、マイクを渡して歌わせる。ステージの上ではハイテンションで踊りまくる。底知れぬ体力。疲れ知らず。そして観客も、普段ジャズ系のライブではありえないハイテンションで、振りも歌も完璧。最後までこれほどテンションの高いライブは他にあまり見た覚えがない。


カーク・フランクリンのバンドには、スナーキー・パピーでお馴染みのキーボード奏者、ショーン・マーティンが参加している。個人的には彼の働きにも期待だったが、正直な話、カークのパフォーマンスが楽しすぎて、あまり見ている暇がなかった。まぁ見ていても、メンバー紹介兼ねた一度のソロを除けば目立つような演奏は無く、バックバンドとしての仕事を的確にこなしているように見えた。ジャズ以外のシンガー/ヴォーカリストのバックで演奏しているジャズ・ミュージシャンというのは、まぁ多くの場合そういうものなのだろうと思う。こうしたバックアップの仕事の息抜きのように、スナーキー・パピーで活動したり、あるいはカマシ・ワシントン達のように集まっているのかもしれない(カマシ達の場合、LAのコミュニティという面が大きいとは思うが)。ただそれが、グラスパーや、デヴィッド・ボウイのアルバムに参加したダニー・マッキャスリンらのように、ジャズミュージシャンとしての彼らの音が必要とされ、レコーディング/ライブに参加するようになっている、というのが、現代のジャズミュージシャンのひとつのあり方なんだろう。ショーン・マーティンに関しては、単なるバックアッププレイヤーではなく、カークのアルバムプロデュースなどにも携わっており、現在のバンドサウンドはショーンの手によるもの、とも考えられるのではないだろうか。

(↑せっかくなのでスナーキー・パピーのライブ映像を。42:34〜「Thing Of Gold」でのショーン・マーティンのソロが素晴らしくいいので見てほしい。終盤「What About Me?」でも弾きまくっていて圧巻)

現代ジャズリスナーとして、張り切ってカマシ・ワシントンのTシャツを着て行ったが、ショーン・マーティンがいるならスナーキー・パピーのTシャツの方がよかったな、と駅までの道を歩きながら気付いた。


全くミスのない完璧なバックバンドとコーラス隊。そして歌い踊るカーク・フランクリン。確かにゴスペルなのだが、究極のエンターテイメントとしての音楽ライブを見させられているようだ。最近は現代ジャズのミュージシャンばかり見ていたから、久々にこういう、エンタメとして完成されたパフォーマンスを見た。それから、ここまでハッピーでピースフルなライブも久しぶりだ。
カマシ・ワシントンのライブとはまた違うパワーをもらった日になった。

(↑モーリス・ホワイトご本人も登場する「September」のカバーMV。奇しくも9月21日だったが、残念ながら「September」は演奏されなかった)

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