Christian Scottを見た 19.06.13

久々のライブだぞ、と思ったら前回は5月15日のケンドリック・スコット・オラクルで、ちょうどひと月ぶりだった。本当はヴィジェイ・アイヤーもジョン・スコフィールドも見たかった。でもしばらく仕事が決まらなかったことが仇になって、金欠になっていたのである。

予約しようと思ってて先延ばしにしてたら満席になってたライブとか、まだチケット取ってなくて下手すると行けなさそうなライブとかもあって、戦々恐々としている。失って知るお金の大切さ。いや、知っていたはずなのだ。なにせ給料が低かったことも、前の仕事を辞めた理由だったから。


クリスチャン・スコットのライブに関しては、これは行かねば、という使命感もあって、以前に既に予約していたのだった。新譜『Ancestral Recall』は、『Stretch Music』と、前作の三部作『Ruler Rebel』『Diaspora』『The Emancipation Procrastination』から連なる作品で、すごいアルバムだということは分かるのだが、なんとなく理解しきれていない。

とはいえライブはまた違うし、とにかくクリスチャン・スコットのような、先鋭を走るミュージシャンは“見ねば”という思いが募る。

前回の来日時に続き、今回もアルトサックスのローガン・リチャードソンが参加。そしてまぁそのサックスが果てしなくイイ。高らかにというか、うららかにというか、クリーンな音で響く伸びやかなアルトの音色は、ザラついた印象のクリスチャン・スコットのトランペットと対になっているように感じる。

クリスチャン・スコットのソロは、リズムに捕われず自由、という言い方をするとちょっと違うが、特に終盤の曲で、リズム隊のグルーヴとは別のレイヤーで吹いているような感覚があった。ローガン・リチャードソンのアルバム『SHIFT』と、彼のリーダーバンドでの来日公演が、レイヤーを重ねていく感じだったことを思い出す。

あとはピアノのローレンス・フィールズが結構アグレッシブ。ローズでのソロイントロもすごかったが、テーマリフを途中で崩したり、フロント2管のテーマメロディにオブリガートっぽく入れたり。あの強力なフロントとドラム(コーリー・フォンヴィル)に挟まれながらもかなり気を吐いている感。ローレンス・フィールズってクリスチャン・スコットのバンドでしか見たことがない。他に何やってる人なんだろう、と思って検索してみたが、参加作品もそう多くはない(クリスチャン・スコットのアルバムが半分くらいを占めているくらい)ようだ。謎が深まった。

今まで特に意識してこなかったが、これも“スピリチュアル”と言えるのではないか、という感じがする。具体的に言えばローレンス・フィールズのピアノの音が硬め(印象だなこれ)だったり、アフリカ要素が入っていたり、あとまぁ社会問題への問題意識みたいなものとか、出自(=ネイティブアメリカンやニューオーリンズ)、ジャズの歴史と拡張、みたいな意識とか。単純にクリスチャン・スコットが身につけているアクセサリーや、演奏する姿、更には自分以外のソロの後ろでタンバリンを叩いている姿も、ちょっと祝祭的というか儀式的にも感じる。ただLAのカマシ・ワシントンなどとは方向性とか意味合いとかだいぶ違うし、単純に並べて語れるものではないだろう。ニューオーリンズという場所柄が結構大きな違いなのかもしれない。

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