坂月さかな

星を旅する少年の物語を創作をしています。絵と小説。時々日記。

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  • 星旅日誌

    『星を旅する少年が書いている日誌』をテーマにした短いSF小説集です。

最近の記事

天使を招いた日(日記2023/08/08)

とてもかわいい小さな天使がやってきた。 職業柄、人の信仰、何かを信じたい気持ち、何かに頼りたい気持ち、などについていつも思いを馳せている。 私も心がパワフルというわけでもないので、何かお守りみたいなものが仕事部屋にあったらいいな…とぼんやり思っていた。 そんな矢先、Twitterでこちらの天使に出会った。 作家はozigiさん。 石粉粘土とレジンを使っているそうで、陶器のような質感だ。お花も手作りで、愛らしい丁寧な仕上がり。しかもなんともありがたいことに、受注生産だった

    • 友人と「君たちはどう生きるか」の話をした

      友人と「君たちはどう生きるか」について話した。 ※友人の許可をもらってここに書いている。 友人とは、あるアニメをきっかけに知りあった。放送して20年近く経つのに、根強いファンがたくさんいて、今も新しいイラストをSNSに載せたり、感想が流れてきたりするようなジャンルだ。中でも人気のカプがあって、私も大好きで2次創作などをしていた。 友人は積極的にそのカプを推しているわけではなくて、むしろ「この2人はお互い別のパートナーを見つけた方が良い」という考えだった。それでも私たちは仲良

      • 日記2023/08/06

        今日はブリを買った。刺身にしようと思って、柵を買った。 刺身を買うのは、いつぶりだろうか。 アニサキスが怖くて、なんとなく買ってなかった。 この前広島に旅行に行って、旅館でとても美味しい刺身を食べた。 なんの魚たちだったか…。おしながきの紙をもらったが、帰りのカバンの中で何故か濡らしてダメにしてしまったので、もうわからない。 美味しいと、美味しいことに脳が支配されて情報が入ってこないことがよくある。 旅館の刺身の盛り合わせは、何かの魚のお頭や尾がどんと皿に乗っていて、よく

        • 真夜中のコーヒーハウス

           ある星に旅人向けの空き家があると勧められ、その家にしばらく滞在することになった。二階建ての、少し古いがきちんとした造りの一軒家だ。家の前には真っ白い砂浜と青い海が広がっている。夜になると月に照らされ、遠くの波が細く銀に光り、何か信号を送っているように見える。それを眺めながら真夜中にコーヒーを飲むのがここ最近の日課だった。  ある深夜、キッチンテーブルでこの星の海洋植物図鑑を眺めていると、窓際の風鈴がチリンと鳴った。元々の住人が唯一置いていったものだ。音に耳を傾けながら読書に

        天使を招いた日(日記2023/08/08)

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        • さかさま日記
          3本
        • 星旅日誌
          4本

        記事

          【星旅日誌】移動楽団のお祭り

          ある星に降り立って何日か経った頃。丘の上のホテルで本を読んでいると、どこからか小さく音楽が聴こえてきた。 窓を開けて外を見てみると、丘の麓にある街に色んな色の明かりが灯っている。部屋の鍵とコインを数枚、それからソーダ飴をポケットに入れて、ホテルを出た。 一年中夏の暑さが続くこの星でも、夜は涼しい。ほとんど人の通らない石畳には青いガラスが埋め込まれ、周囲の微かな光を反射している。街へ近づくにつれ、音楽は少しずつ大きくなっていった。 夜の街は人と灯りで賑やかだった。 軒になら

          【星旅日誌】移動楽団のお祭り

          【星旅日誌】旅のひとことノート

           ある星で散歩をしていると、見事な湖があった。磨いた鏡のようにピンと張り、一面に夜空の星を映している。  水際に観光案内板と小さな木の机があった。薄桃色の糸閉じノートと、短くなった銀鉛筆が置いてある。ノートの表紙には『ひとこと』と書いてあり、中を開くと、ここを訪れた人たちの言葉が数ページに渡って並んでいた。  中にひとつ、目を引く風景スケッチがあった。備え付けの銀鉛筆ではなく万年筆で描かれているようだった。 「すみません、そのノートを見せてくださいますか」  不意に声をか

          【星旅日誌】旅のひとことノート

          【星旅日誌】ネオン月光

          宇宙飛行機の燃料補給のため、ある星へ降りた。 ひっそりと静かな夜で、遠くまでまっすぐに道路が一本伸びている。見渡す限り周りには何もない。雲も霧もなく、澄んだ空には月や星がまばらに広がっている。 宇宙飛行機を〈陸上自動運転モード〉に切り替え、道路を走って燃料スタンドを探す。天窓から空を見ていると、月がやけに点滅することに気づいた。 やがて道路の向こうに灯りがひとつ見えてきた。行ってみると小さな珈琲屋で、燃料補給もできるというので立ち寄った。カウンター席しかないこじんまりと

          【星旅日誌】ネオン月光