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Twitterで話題になった、あの作品の作者に、作品の意図などについて聞いた。

あの掲示板は、上智大学にある掲示版。

Twitterで大きな話題になったが、あの作品を書いた想いについて、作者に詳しく聞いた。


あの作品を書いたのは、韓国のカトリック大学(誠心キャンパス)、国際学部 3年生のキム チョンヒョン(KIM CHUNG HYUN)さん。現在、交換留学生として、上智大学の総合グローバル学部1年に在籍し学んでいる。


🔷キムさんが日本に留学するキッカケ

 キムさんが兵役を務めていた頃に、「社会に戻ったら、これからの人生をどう生きるか」について、いつも悩んでいた。そんな時、もっと色んなことを経験することが大事だと想うようになった。

21世紀はグローバルな社会だからと海外に出ることを考え始めた。大学に復学して留学コースを探し、現実的な条件を考えながら、留学するなら、近くにあって先進国である日本に行くことを決意した。また、首都である東京に行って、世界各国から留学生が集まる上智大学を目指すことになった。



一般の留学ではなく、交換留学で1年という限れた期間を有効に活用することを目指し、色々な活動することを考えた。そして最初は、留学生向けの活動に参加することや友達と多くの場所を旅した。

しかし、学生として日本に来た以上、学業を疎かにすることは本末転倒であり、他の学生たちにも負けないように、自分なりに勉強も頑張ろうと決意した。


キムさんが幼い頃に通っていた幼稚園で、日本の書道と同じポジションである書芸をしたことがあり、その思い出を胸に書道部に入部した。韓国は漢字をほぼ使わないため、書道で漢字を書くということは難しかった。

しかし、他の部員たちの作品を見ながら「いつかみんなのように、立派に自分だけの字を書きたい」という想いで、練習を重ねた。やっと学園祭で自分の作品をみんなの作品と一緒に並べることができた。


🔷キムさんの学生生活


日本と韓国はあまり物価の差がなく、日本に留学することで経済的に大きな負担は、特に無いと思った。しかし、留学の準備をする間、色々な情報を見ることで、日本で生活することは、韓国よりお金がかかることに気付いた。

実際、仕送りだけでは生活費が足りないと感じ、アルバイトをすることにした。


そこで始めたのが、居酒屋でのバイトだった。バイトを探す際に第一に考えたのが、日本のひとたちと触れ合うことができる仕事を見付けるということだった。

日本の居酒屋はにぎやかな感じを受けていたので、営業が始まる店のオープンスタッフに応募した。そこで約8ヶ月働いた。居酒屋で働いている時、韓国人ということに拘らずに、分け隔て無く色々なお客さんが声をかけてくれた。

色々な場所での、新たな出会いが、今回の留学で、最も貴重だった。

キムさんは、こう話した。


🔶あの作品への想い


あの作品を書く前に『どのような文章が、みんなの頭の中で印象に残るのか』。これを考えた。そして、『見る全員が共感できる文』ということにテーマを絞った。

ちょうど冬のはじまりだったので、思い浮かんだのが、韓国でも冬によく使われているネタだった。書きながらも、ちょっと緊張し、字が上手く書けなかったが、完成した後、他の部員たちは喜んでくれた。正直ホッとした。

作品を書いたことで、大学でこの作品を見た人が、無味乾燥な日常から解き放たれて、笑いで元気になれたらいいなと思った。


🔷Twitterの反応について

韓国ではツイッターが余り使われて無いので、韓国国内での反応とかはわからないが、特に変わった反応はないということだ。

周りからは、「書道部のくせに字が下手すぎだ」とからかわれことや、友達と作品を見て笑いながら、話題にしていたひとがいたということを聞いた。

みんなの話を聞いて、少し恥ずかしいが、作品の思惑通りみんなが笑えることが出来て嬉しかった。


🔷キムさんにとって日本とは、どんな国?


日本は韓国と文化的に似ているところが多くて、親密感を感じる国でもあるが、日韓の歴史が複雑な関係であるため、いわゆる「近くて遠い国」と感じている。


しかし、過去にしっかりと向き合い、ただ日本を責めるのではなく、韓国人として、21世紀を生きる個人として、日本からいろいろ学ぶことが多いと感じている。

日本に来る前は、いわゆる‘建前’に対して心配していた。しかし、実際に生活で感じる‘建前’は「どんな相手でも尊重する」ということだと感じるようになり、偏見がなくなった。

他にも文化の違いなどを通して様々なことが、ある種、新鮮な衝撃と感じることが出来る国だと思っている。


🔷日本と韓国の対立報道についてどう感じているか?


各国の政治家たちが、世論を反韓・反日に誘導して、自分たちが支持を得るため、更にこの事件を極めて政治的に利用していると思う。しかし、このような敏感な事件は日韓がお互い話し合い、もう少し冷静に解決に導くことがができる問題だと思っている。


幸いにも、周りでは、嫌がらせを受けたというような人はいないし、嫌な想いをしたこともない。



🔶キムさんを取材して


キムさんは、実にクレーバーな学生。キムさん自身を、そして母国韓国も、そして日本をも、冷静に見つめている。そして、周りに対する気遣いも忘れない。笑いを通して周りを楽しませたいというエンターテイメント性を兼ね備えている。


キムさんが、これから世界で活躍していくことを予感させる取材となった。


最後にこの取材が実現した裏に、上智大学の協力があったことに、感謝申しあげたい。


学生の取材に消極的な大学もあるが、上智大学は、実に開かれた大学だ。


文科省は、大学入学人口減少対策の一環として、留学生を増やすことを狙っている。


留学生から選ばれる、そして魅力的と映る大学は、上智大学のようなオープンさを兼ね備えた大学なんだろうなと実感した取材だった。





























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