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電車でそこそこ怖い思いした話


ここ最近私に会った親しい人数人には話したことだけど、備忘録としてまとめておきたい。

似たようなことが起こった時の参考になればなって思う。

他の人に似たような体験はしてほしくないけど。


11月23日

勤労感謝の日で母が休みなので、以前から観に行こうねと話していた劇場版「きのう何食べた?」を観に行くことに。

残念ながら家の近くに映画館はないので、昼頃電車に乗って豊島園へ。

映画を堪能してパンフレットを買って、練馬周辺を母と散歩した。


母も私も若干の帰りたくなさから、乗り換えが必要だけど早く帰れるFライナー急行………ではなく、そこそこゆっくり帰れる準急に乗車。

乗車後、しばらくの間は「西島秀俊はレトリーバーに似ている。」「内野聖陽の演技が女子よりも女子。」などと映画について話し合っていたのだが、


「何考えてるんだよ!!電車内だぞ!!!!」


という近くに座っていたおじさんの怒鳴り声に驚いてそちらの方向を確認した。

おじさんの向かい側の席の方に人がいるらしいが、手前に人がいる関係で状況がよくわからない。
そうこうしているうちにおじさんの隣の人が近くの窓を大きく開ける。

「怒鳴るのは良くないよなぁ…」と小声で母と話していたら、おじさんのすぐ向こうの優先席に座っていた人達がそそくさと隣の車両に移って行くのが見えた。

(大きい声出されたら怖いもんな…)(あんな窓開けたら寒いしな…)と呑気に思っていたが、違った。

おじさんが怒鳴っていたのも、近くの人が窓を大きく開けたのも、向かいの女性が煙草を吸っていたからだった。


目に入った光景に脳みその処理が追い付かず、

(最近は喫煙者の肩身が狭くなってるから、しんどくなって吸い始めちゃったんだろうか)(でも、小さい子もいるし電車内は禁煙だからなぁ。)(おじさんも怒鳴るほどのことではないし普通に注意すりゃええんに。)(一本吸いきったらおさまってくれるかな。)

ぐるぐる考えながら(※1)観察していると、

喫煙し始めた女性は火のついた煙草をわざわざ自分の後頭部近くに持っていったり、自分の周りに灰を落としたり、

危ない行動を続けたのちに一本吸い終わったのか、すぐ近くの空いている席に座ったらしい。

向かいのおじさんは明らかにずっと苛立っていて、さっきまで煙草を吸っていた女性は一見落ち着いたように見えたが、どこか嫌な感じがした。

経験のある人はわかるかもしれないが、暴れ散らしていた家族がもうひと暴れする前に突然大人しくなるアレに近い雰囲気が漂っていた。


嫌な予感的中

突然、先ほど煙草を吸っていた女性がカバンを漁り始める。

ライターを取り出して着火。
彼女自身の頭や髪の周りをカチカチと音を鳴らして何度も火をつけたり消したりし始めた。

今度はおじさんは怒鳴らない。
いや、こんな状況で怒鳴り始めるほど危機感足りなかったらおじさんになるまで生き残れていないと思うが。

私はというと、ライターの火を付けたり消したりし始めた辺りで、

(これは流石に良くないなぁ)(しばらくしたらまた落ち着いてやめてくれるかなぁ)

とまたもや呑気に考えている始末。(※2)

多分、あの時同じ車両内のみんなが、
(しばらくして落ち着かないかな。)
(誰か通報してくれないかな。)
って思ってたと思う。多分。

しかしながら、女性のライターカチカチは止まらない。

ふと、ライターを点滅させる女性の隣の人が目に入った。
完全に怖くて固まっている様子だった。

ライターの火で壁が数センチだけ黒く焦げるのが見えた。

これは誰かが動くのを待っていたら、加害者含め誰かが痛い思いをする。

そう思って、内心めちゃくちゃビビりながらライターを持つ女性の元へ歩いて行く。

今考えると捨て身アタックも良いところだが、一度直接説得を試みた。

「危ないのでしまってもらえませんか?」

女性の目の前まで行き、あくまでも優しくお願いするように、相手の目線に合わせて話しかけてみた。

「は?」

小さく掠れた声で返される。

「貴方も火傷しちゃうし、しまってもらえませんか?」

再度優しくお願いする。
片方の固く握った手にも触れてお願いしてみた。

ライターの熱が少し熱い。

「あんたが怪我するからしまって欲しいんでしょ?」

また小さく睨まれながら返された。
ライターを点滅する手は止まらない。

「うん、私も皆も火傷しちゃうけど、貴方が1番近くにいるから貴方が火傷しちゃうんですよ。」

最後まで優しく話しかけることに努めたが、無視されてしまった。

説得は出来なさそう。どうしたものか。
緊急通報ボタンを押したいが、最悪なことにその女性の頭の上にボタンがある。
同車両内のボタンでの通報は変に刺激してしまう可能性もある。

仕方ないので母を引き連れて隣の車両に移り、頭の中がまとまらずまともに通報できる気がしなかったので母に緊急通報ボタンを押して通報してもらった。
この辺から自分で加害者に近づいて通報を促したにも関わらず、どっと恐怖が押し寄せて強い胃痛が始まった。

勿論、隣の車両の出来事なので通報に使った車両の人たちから一斉に母と私へと視線が向く。

考え過ぎかもしれないが、
「こんな時に電車止めやがって」
「面倒なことになったな」
「早く移動したかったのに」
そんな声が聞こえてくるようでしんどかった。

走り始めた電車が緊急停止し、母の通報後程なくして車掌さんと思しきスタッフが隣の車両に集まる。

幸い、停車駅から出発する直前だったので駅からもスタッフが駆けつける。

スタッフ数人が集まって取り囲むも、女性に降りてもらうよう説得するのには10分以上かかっていた。

先程のおじさんの怒声も何度も聞こえてきた。
駅員さんが集まって気が大きくなったのかもしれない。

(あぁ、そんなに怒鳴らないで欲しい。)
(自分で近づいて行ったとはいえ怖かったな。)
(追い詰められた時の兄と同じような顔つきだった。)
(とても危険なことをしていたとはいえ、そんなに怒鳴らないであげてくれ。)

女性は降り駅員さんが焦げた車両の壁を写真に撮って、運転が再開した。

母が通報したあたりから私は、

・もっと適切な声かけが出来たんじゃないだろうか。電車を止めずとも丸く収められたんじゃなかろうか
・車両の壁も焦げていたし止めるのは必至だったのでは
・あの人は小田急線の事件の模倣犯か、それとも電車の中でしんどくなってしまったのだろうか
・おじさんにも怒鳴らないようきちんと注意すべきだったんじゃないか
・母に通報させて申し訳ないな。私がやるべきだったのに
・というか、捨て身アタックはすべきじゃなかったのでは。また自分のこと大事に出来てなかったかもしれない
・止めた瞬間の車両内の空気がすごく怖かった。今まで自分も同じような思いを誰かにさせていたかもしれない
・兄が家で暴れて家族に暴力振るう時に似ていたな。→フラッシュバック
・ライターを点滅させてた女性のすぐ隣の女性も固まってた。怖かっただろうな。あの人も助けてあげられれば良かった
・自分もある日突然あの女性みたいに見ず知らずの人に加害し始めてしまうかもしれない。そうならない為にはどうすれば良いか
・私の対応は正しかったのか

など、考えても仕方のないことや反省で頭の中がいっぱいになり、脳みそが処理しきれず涙が止まらなくなってしまった。

ありがたいことに近くの席の人たちが席を譲ってくださったり、優しい声かけをしてくださったり、お茶を差し出してくださったり、とても優しく接してくださった。

こんなわけわかんねー女が引き連れた初老の女性に通報させて、電車止めておきながら「怖かったー」「大丈夫かなー」とかほざいて勝手に泣き始めてるのに。私だったら不審者だと思うし即座にその場離れるわ。

本当に周りの人達が優しかったんだけど、
優しくされればされるほど、見ず知らずの他人に危害を加えるまで追い詰められてたのかもしれない人がいる手前、こんな傲慢の塊みたいな私が優しくされて良いのかと思ってしまって勝手にしんどくなってしまった。

一応乗り続けて一駅分移動したものの、胃も痛いし涙も止まらなかったので降りて駅のベンチでしばらく休んでから別の電車で帰宅した。

母には余計な手間取らせたし、すごい心配かけてしまったと思う。申し訳なかった。


反省

まず初めに、

ライターを点滅させて数センチ程度とはいえ壁まで焦がしている人に近づいて説得を試みるのは、今振り返ると大変に危険な行為なので基本的にやるべきではないし、絶対に真似しないで欲しい。
あの時点で私がすべきだったのは、隣の車両に移って緊急通報ボタンを押して通報するだけで良かった筈だ。

これを読んでる人も(絶対あってはほしくないが)万が一、火器や凶器を振りかざす人に遭遇したら真っ先に逃げて欲しい。


今振り返ると、※1や※2のようにぐるぐる呑気に考えを巡らせていたのは正常化バイアスの影響と私なりにパニックに陥らないように、フラッシュバック起こさないように、無意識の回避行動を取っていたのではないかと思う。
結果的にフラッシュバックは起こったんだが。

でも、あの時正常化バイアスかかりっぱなしだったら、丸々一車両こんがりロティサリーチキンになって、今頃入間のコストコに並べられていたかもしれない。


余談は置いといて纏めると、

①危ない人には絶対に近寄らない・逃げる

②余裕があったら安全圏内から通報

読んでる人にもこの2点を守って欲しいし、今度からは私もちゃんと守れるようになりたい。いのち だいじに。


余計な話になってしまうかもしれないけど、見ず知らずの人に危害を加えてしまうぐらい追いつめられる前に、しんどかったり少しでも傷つくようなことがあったりしたときに相談できる人が周りにいることも、とても重要だと思った。

身近にいる人に話すのが難しかったらカウンセリングとかでもいいと思う。

何なら私も話聞くぐらいならできるので、マジで追いつめられる前に相談したり言語化したりしような。




与太話


いや、本当に改めて文字に起こすと私情況引っ掻き回しただけでは……害悪…
通報くらい自分でしろやゴミって思いますね。何母に任せてんの。

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そんなことがあって↑のツイートにつながりました。

TLで突然騒ぎ出してすいませんでした。

母も私も今は「卒論書けないヤバい。」「出張授業の準備してないヤバい。」なんて言い合いながら普通に元気に暮らしてます。


後日譚というか、なんというか、この日の夜に母がYahoo路線アプリの機能使って遅延に関連するツイートを漁った結果出てきた、多分私に対する批判的なツイートを半笑いで見せてきた。

一連の動きの後半部分(母と私が隣の車両に移ってから)を見てた人が呟いたらしき内容だった。

だいぶムカついたけど、晒したりはしないでおく。確かに私の対応とか反応も過剰だったところはあるし、100%皆に認められるような正しいことができるわけではないし。

母からは、「○○(私)が動いてなかったらもっと大変なことになってたかもしれないし、通報促してくれてありがとう。でも、こういうのは二人以上一緒に動ける人がいるときしかできないよね。」とフォローされた。

確かに、母と一緒にいたから行動できたけども私一人だったら通報までできなかったかもしれないと思うと同時に、母も危険な目に合わせてしまったなと深く反省した。


平時より、共感性が高すぎる時があったり、考えすぎて逆に危ない行動をとったり、とにかく自分のことを大事にするのが下手で「良くないな~」と感じていたことが100%出てしまった。

こちらに被害を及ぼしてくる人の機嫌を取ったり、自分を過度に犠牲にしてその場が丸く収まるならいいやと思ってしまったりするの本当に良くないですね。どうしようもないこととか、考えても仕方ないことを頭パンクして涙が出るまで考え続けてしまうのも良くないですね。どうにかしたい。

こういう行動をとりやすくなった原因と思しき、兄が暴れてた頃の話とか父が最近暴れた話も後々まとめられると良いのかななんて思ったりしてます。

それもこれも卒論無事に書き終われたらの話ですが。


他人に危害を加えてしまうに至る経緯もあるし、それを考慮することも重要なことではあると思ってます。

あと、怒鳴ってやめさせようとしてたおじさんも、正常化バイアスがかかった人たちや怖くて固まっていた人たちも、普通の反応の一つだと思います。

怒りの瞬発力が必要な時だってあるしね。不用意に威圧したり不機嫌な態度を示すことで相手を動かそうとするのには同意しかねるけど。


このnote書くまでに会う予定があった一部の人たちに、事のあらましを話したんだけど、皆真剣に聞いて受け止めてくれてありがたかったです。

優しい言葉かけてくださってありがとうございました。

同時に結構電車内で怖い目に遭ってる人が多いと知って、私も少し心配になりました。みんなもいのちだいじにね。



最後に、文章が散漫で読みづらかったと思います。ごめんなさい。散らかった頭のまま碌に整理もせずにまとめようとした結果です。まとまらなかった。

文章化やインターネット上にこういったことのログを残すのもどうかとは思ったんですが、忘れてしまうのも怖いので書き起こしました。

私の視点からの話しかできないし、間違ったこと言ってるかもしれないし、何か問題があったら非公開にします。多分。

世の中の人がみんな健やかで幸せに過ごせると良いね。


【追記】

英雄ぶりたい気持ちが深層心理にあるのか、それとも単に自分のことを大事にできないからなのかわからないけれど、

説得しようと話しかけに行った時も、話しかけてる間も、自分が痛い思いをすることはあんまり考えていなくて、

「(加害者本人を含めた)自分以外の他人が痛い思いするの嫌だな~」

っていうとんでもなくゆるゆるふわふわな考えが頭の中を占めてた。

自分のことをまず先に大事に思うのって難しいね。

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