左桂もも

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桃とカミツレ

りんりんと 咲き誇る「希望」は すでにここにあって走り 「戸惑い」が伴走する 今、エイッとそれらを出しぬいて 透明にひとり 全速力で、駆けだしたなら またたくまに ひらける 景色は 確信の草原だ 朝露がぱちぱちと 素足を濡らす あの本当のことが わたしのすべてになったみたいに 心安く あかるい すこしくして ベルベットのような「恐怖」が草原にさみしく影をおとす あやしく燃えだす ひとつ星 むこうの畑道 鵺の海原 さんざめく 「思い出」は できたての金平糖のように きらきら

    • オリンピック

      あのオリンピックがはじまったころ 酸性雨に怯えながらわたしはひとりブランコをこいでいた ひみつの友だちだった わたしの雨 酸性雨はにんげんのひきおこしたわざわいだと毎日ニュースはつたえている そのことの よるべなさにたじろいでいた 世界のあちこち いたるところで戦争といたましい死。身の毛のよだつようなおぞましい事件。動物殺しや陰湿な脅し合いがうまれつづけていて 学校では「シカト」の気配にたえず固唾をのんでいる まるきり怯えて ガタガタふるえることもできないくらい

      • イタマシーとナヤマシーの冒険 ~鹿の巣

        たそがれどきに、イタマシーが東の台所へゆくと、調理台の前の床に調理台と平行のかたちで、ナヤマシーが長くなっていた。 ナヤマシーは、柔和にまぶたをとじたまま、つかれたので休んでるの。と囁いた。「今まで、台所でつかれてしまったから台所で横になるという発想に至らなかった。台所でヘトヘトになってしまっても、がんばって居間とか寝室とかへ行かないといけないと信じきっていたの。どうしてかな。」「うん。」「でもね、流しの前はいやだと思った。」「ふうん。」「できるだけ、火のそばがいいよ。でも

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          春雨料理

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