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バント再生デッキガイド

 初めまして。晴れる屋ホープス所属の森山真秀です。この度は「バント再生デッキガイド」をご覧いただきありがとうございます。

 本記事は先日のPTQ(プレイヤーズツアー予選)で私自身が使用し、優勝した、バントカラー(白青緑)の荒野の再生を用いたコントロールデッキの解説記事です。

 PTQや12月の大型大会である The Finals 、The Last Sunに参加される方、純粋にスタンダードを楽しみたいという方のお役に立てれば幸いです。ぜひ、最後までお付き合いください。

 自己紹介

 本題に入る前に簡単に自己紹介をさせていただきます。

 私は島根県で競技志向でマジックをプレイしています。14年間慣れ親しんだデュエルマスターズからマジックへ転向して3年目になりますが、地元の先輩方の存在やスポンサード契約を結ぶ晴れる屋様のサポートもあり楽しく真剣にプレイしています。

 主な実績は日本選手権2018優勝とワールドマジックカップ2018Top8で、PTへの継続参加を目指して日夜練習に励んでいます。

 そんな私ですが、今のスタンダードで大好きなカードがあります。それが正しく、今回紹介するデッキの要・荒野の再生です。

 メインでマナを使ってもエンドにアンタップしてカウンターや除去を構える、エンドに2倍のマナを生み出しビッグアクションを可能にする等々、とてもスタンダードのカードとは思えない程のカードパワー。

 このカードに惚れ込み、今年3月のGP京都はティムール再生、9月の日本選手権はシミックネクサス、11月のGP名古屋もティムール再生と、リリースから長らく使い続けています。

 再生デッキのカラーリングについて

 荒野の再生を語る上で、もっとも市民権を得ているティムールカラー(青赤緑)のタイプは避けては通れません。

 ティムール荒野の再生は、主に荒野の再生の緑、ドローとカウンターの青、除去とフィニッシャーの赤から構成される純正三色デッキです。

 成長のらせんのマナ加速から荒野の再生を設置し、ドローとカウンターと除去を巧みに操り、発展//発破で相手プレイヤーに致死ダメージを与えてフィニッシュという動きは他のアーキタイプにはない独特の動き方で、私もかなりの時間を費やして調整してきましたが、以下の課題をなかなか解消することができませんでした。

 ①荒野の再生に依存していてサイドボード後の勝率が低い

 ②フィニッシュ手段の発展//発破が重くて使い辛い

 ③2点火力の炎の一掃(およびコピー呪文の発展)だけでは、ジェスカイ創案の火の騎兵などを流しきれない盤面がある

 これらの課題認識はティムール再生が世に出た当初から存在しますが、一向に改善されていないように感じており、カラーリングを見直すべきなのではとGP名古屋前はナヤ、スゥルタイ、黒抜き4色、ティムールtテフェリー、バントt発展発破など様々試しました。

 ようやくGP前日に今のバント再生が荒削りな状態で生まれましたが、強いという確証は持てず、使い慣れたティムール再生で参加することに。結果は初日7-2から2日目0-2ドロップでした。

 GP後にバント再生のブラッシュアップに取り組んだところアリーナ・MO・リアルで9割を越える勝率を叩き出し、オーコ環境の中開催されたジョニーのお店(広島)のPTQでも内容が伴った勝ちを重ねてTop4に残り、デッキの強さに確信を持つようになりました。

 優勝することとなる島根PTQまでその後も回し続け、土地やカウンターの配分を調整し、最終的に完成したのがこちらのリストです。

デッキリスト

完成形は先のアリーナMCQ初日10-0、GP名古屋準優勝で注目を浴びた青白コントロールに荒野の再生をタッチしたものとなりました。

 再生と非常に相性が良いながらも、再生無しでも充分に活躍出来るカードが詰め込んであります。サイドからは再生を減らすプランも存在する等、再生に依存しないため課題であったサイドボード後の勝率が向上しました

 また、土地(アーデンベイル城)や除去札(厚かましい借り手)がフィニッシャーとなることから、スロットに余裕が出来、カウンターを大量に積むことが可能になりました。

 さらに、盤面を捌く力も時の一掃により担保されていますし、サイドからはアタッカー・システムクリーチャー・PW・置物問わず幅広く対処可能な拘留代理人も追加可能となっています。

個別カード解説(メインボード)

 荒野の再生は言わずもがなデッキの主役です。大量に採用しているカウンターを構えやすくなるのはもちろん、エルドレインの王権で登場したアーデンベイル城、ヴァントレス城、ガドウィック、ケンリスとの相性が非常に良いです。

 比較的大振りなアクションですので、カウンターを入れている相手には、時を解すもの、テフェリーが居る状態で安全にキャストすることが理想です。

時を解すもの、テフェリーは再生と並んでバント再生のコンセプトを担う1枚です。

再生をカウンターから守るのはもちろん、3ターン目に着地させて、相手に対処を迫ることで続く4ターン目に再生を設置しやすくなります。

 また、ティムールとの再生ミラーではテフェリー分、こちらだけ有利になりますし、既存の荒野の再生デッキが苦手としていた青白コントロールにも耐性が付きます。

 また、プラス能力でソーサリーをインスタントタイミングで唱えられるようになるので、時の一掃を相手ターンに唱えて盤面を崩壊させることも可能です。荒野の再生があれば、5ターン目にテフェリーをプレイしプラス能力起動→再生で土地をアンタップ→相手ターン中に時の一掃を構えることが可能になります。

老いたるもの、ガドウィックはこのデッキにおいてはハイドロイド混成体を上回る活躍をします。

 ドロー効率がハイドロイドより良く、ライフゲインがないとはいえ、青いスペルを唱える度に相手の(土地でない)パーマネントを寝かせることができるため、カウンターや眼識、借り手など豊富な青いスペルと組み合わせることで相手アタッカーを無効化してくれます。また、こちらが攻め込む際にはブロッカーを指定してダメージを通しやすくなります。 

(対象に取ることが出来るのは「土地でない」パーマネントなので、ニッサでクリーチャー化した土地やアクティベートされた総動員地区は寝かせることはできません)

 再生が場にある状態で使用することが望ましく、大量ドローから再生で土地を起こしてカウンターを構えれば勝利は目前です。

厚かましい借り手は除去兼フィニッシャー兼「おとり役」。

 速いデッキ相手にはバウンスで時間を稼ぎ、荒野の再生を警戒してカウンターや置物破壊を構える相手には3/1瞬速・飛行で唱えて、カウンター呪文でバックアップしながら、プレイヤーのライフを攻めて相手の動き出しを促します。借り手を除去またはダメージレースを逆転するために相手が動いた返しに荒野の再生を設置すればゲームを優位に進められます。

2マナのカウンターは二種類です。火消しは序盤~中盤であれば対象のスペルのタイプを問わず打ち消すことができますが、後半は腐りやすくなります。

ドビンの拒否権はカウンター合戦に強く、後半でも充分な活躍を見せてくれますが、クリーチャーには当てられません。

序盤は可能な限り火消しから消費し、後半はドビンの拒否権と吸収を使い分けながら相手のスペルを封じ込めます。

吸収はライフゲイン付きの確定カウンターであるために特定のデッキに特に強くなります。

猫及びかまどを用いるサクリファイスデッキやグルールアグロ等こちらのライフを攻めてくるデッキには何枚引き込めるかが勝負を分けます。

しかし、2マナカウンターと違い、先手でもパンくずを、後手ではテフェリーを止めることができないので、過信は禁物です。

このデッキのマナベースは寓話の小道によって支えられています。

 青白コントロールのベースに再生を入れた型になっていますから、緑マナはギリギリまで削っています。再生のための緑マナ、青白の二種類の土地の起動に必要な色マナ、ガドウィックのための3つ目の青マナ、時の一掃のための2つ目の白マナ確保など状況に応じてサーチ先が変わります。

 手札に緑マナを供給する土地が他に無い場合は、手札の再生の有無に関わらず、手札に青2マナ要求の吸収や借り手がだぶついている場合を除いて、2つ目の青マナよりも優先して緑マナをサーチします。緑カウントが10(小道4森1繁殖池4寺院の庭1)に対して青カウントは19(小道4島5ヴァントレス城2繁殖池4神聖なる泉4)用意してありますから、青マナは通常ドローで引き当てる確率が高いです。

また、マナフラッドが苦になりにくいデッキですし緑マナを活用するのは4マナの再生だけですから、最序盤から小道を起動してデッキを圧縮したり森を探す必要は全くありません。3マナまで青白コントロールを装い、4枚目に小道セット起動→森サーチアンタップイン再生キャストで相手の意表を突くことができます。

個別カード解説(サイドボード)

デッキを公開してから有り難いことに多くの質問を頂戴しましたが、特にサイドボード、とりわけ帰還した王、ケンリスに対するものが目立ちました。バント再生をプレイしていただいた配信等でもケンリスの使い方に疑問が残る場面がありましたので、特に力を入れて解説したいと思います。

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