聖者のディセンション3

現象界の貸しを回収するためにアセンション(次元上昇)した聖者がディセンション(次元下降)するなんて、闇金の追い込みのようなことをするわけがないと思う方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、極道も裸足で逃げ出すほどの冷酷な仕打ちをしにやって来るのなら迷惑な話です。
しかしそうではなく、回収されることによって地上に祝福がもたらされるのですから、ありがたい話です。
聖者が現象界に降臨するだけでも周囲を光で満たすことができるのですから、何をか言わんやなのです。

現象界というぬか床の漬物が美味しくなるミラクルは聖者がディセンションして来てくれるおかげと言えます。
現象界を運営するデミウルゴスは、ぬか床の漬物を食べることしか眼中になく、ぬか床の発酵状態を適度に保つことで漬物が美味しくなるということには考えが及びません。

そして聖者はデミウルゴスに気付かれずにディセンションしてはまた去って行くことを繰り返して来ました。
しかし来るたびにぬか床の状態が悪化しているため、最近の回収活動は代理人を通して行うようになりました。それがライトワーカーと呼ばれる人々です。

さて一神教が救世主を待望しているのは、彼等の経典のタイムスケジュール通りにディセンションして来た聖者をはめ込んで、現象界に留めたいからです。

地上に生きる人々は、聖者のディセンションによってもたらされる光が、ぬか床(現象界)の漬物を美味しくし、それを食べるデミウルゴスが喜ぶことで、恩恵がもたらされることを知っています。

そのため、聖者には不定期にやって来ていつの間にかいなくなってしまうのではなく、ずっと留まってぬか床の発酵状態を維持してもらいたいのです。

しかし、先述の通り、最近の聖者は現象界での活動を代理人に依頼しリモートで操作しているため、ぬか床の状況の悪化に歯止めをかけることすら難しくなっています。

美味しい漬物がなくなって来るとデミウルゴスは、ぬか床をごっそり取り替えます。
それが文明の滅亡です。
そうならないために一神教では救世主を切望するのです。



現象界のネタ切れがデミウルゴスの悩みの種です。

その解決策としては、聖者が再臨のパフォーマンスをすることで現象界の活気を取り戻すことが挙げられます。

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