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2024年4月9日(火)「塩むすび」 #3月2日生まれの交換日記

朝イチのクライアントさんとのセッションを終え清々しい気持ちで書斎からリビングに向かう。夫はリビングで打ち合わせ中だったので、特に意味はないのだけれどおどけた顔をして見せた。

乾いた食器を片付け、キッチンのハンドソープの補充を始めた。明日は不燃ゴミの日でタイミングよくつめかえボトルが空になれば捨てられるので、ドバドバと満タンに注ぎつめかえボトルを空にした。空にしたのはいいのだけれど、明らかにポンプを装着すると液体が溢れる量を入れてしまった。なんとなく分かってたのに入れてしまった。

しばらく考えて…と言いつつ何も考えていないのだけれど、じーっと満タンの容器を見つめた後、夫の「終わりました〜」という声と同時になぜか勢いよくポンプを差し込み、案の定ハンドソープはドバドバこぼれ「あわあわ〜お疲れさま〜あわあわ〜」と声をかけた。夫は私がハンドソープをドバドバしてることにも「あわあわ」言っていることにも気づかないまま書斎に移動して仕事を再開した。実はこぼれないんじゃないかとほんの少しだけ思っていた。

冷凍ご飯のストックが切れていたので、お昼ご飯に向けて鍋でご飯を炊くことにした。スツールと古賀乃子さんのエッセイ『気づいたこと、気づかないままのこと』を抱えてキッチンに運んだ。

我が家では鳥羽さんの米の炊き方を取り入れている。米を洗い吸水している間はスツールに腰掛け読書をする。水を流してお米を乾燥させている間に読書、火にかけながら読書、BGMの角銅真実の曲の隙間からボコポコ沸騰し始めた音が聞こえたのでスピーカーの音量を下げ、本を置いて米が炊けていく様子を眺める。

右上だけ火力が強いのか、鍋を置いた位置が悪かったのか、右上だけボコポコ激しく沸騰し他の部分は心配になるくらい静かだった。とりあえず沸騰したということにして弱火にして蓋を閉めるとボコポコ鳴る音も消え、代わりにスピーカーの音量を元に戻した。冷蔵庫に寄りかかって読書。しばらくするとガコボンッと冷蔵庫の音と振動を感じて生命に対する愛おしさと似たものを冷蔵庫にも感じた。私は動物より動く家電の方が好きだ。冷蔵庫に耳を近づけると冷蔵室、野菜室、冷凍室、急冷室、製氷室、庫内の場所ごとに若干音が違うのだ。

寄りかからない方がいいかなと冷蔵庫への思いやりから姿勢を正しているうちに火にかける時間は終わった。火を止め5分蒸らして蓋を取るとやっぱり右上が盛り上がっていた。

冷凍容器にご飯を詰めたあとは「おにぎりを握ってみますか」「炊きたてのごはんは塩むすびでしょ」「お昼ご飯の食卓に塩むすび並べたいな」「あんまりおにぎり握ったことないでしょ」「ふわっとがいいんだよね、知ってるよ」頭の中で自分と会話をしながら手に水をつけ、ろく助の塩を散らしてふあっと軽く握ってみた。炊きたてなのに思ったより熱くなくてひょいひょいっと一つの塩むすびが出来上がった。

適当なまるっこい塩むすびを3つ作り、妹にもらった牡蠣醤油の海苔を巻いて完成。我が家で塩むすびを作ることはあまりないので、夫に見てもらいたくて書斎まで運んだ。

「おいしそう〜」

お昼ご飯のために作った塩むすびだけど、こんなに美味しそうな塩むすびが並んでいたら食べるしかないでしょう。書斎にしゃがみ込んで塩むすびを手に取る。


なんとかまるっこい形に寄せ集められた塩むすびは牡蠣醤油の海苔のおかげでかろうじてくっついているだけで一口かぶりついたらとたんに崩れてしまう。ちょうどいい塩加減で3口で食べ終えてしまった。糖質制限をしている夫も「うまいうまい」と言いながらあっという間に食べ終えてしまった。2つも。これから炊きたてのご飯が食べられる日には塩むすびを握ろう。絶対にそうしよう。糖質制限をしている夫も塩むすびの誘惑には勝てまい。

お昼ご飯を食べ、夫は仕事に戻り、私は知人とオンライン雑談を楽しんだ後お昼寝をした。夕食前に夫と散歩に出かけてお腹を空かせ、カネコアヤノのライブチケットの入金を済ませてきた。

そういえば、以前は米が沸騰する様子を見ると時間を忘れて日々の慌ただしさから離れられるような感覚だったけど今はただ米が沸騰する様子を見る時間になっていることに気づいた。見たからなんだとかじゃなくて「ああ米が暴れてるな」それだけのことになった。

のんちゃんがおすすめしてくれた永井玲衣さんの『水中の哲学者たち』を購入したのであとで読もうと思います。

次回はしんちゃんが4月19日(金)までに更新します。


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