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つわりと私と新婚旅行

というわけで、いきなり妊婦になってしまった私。

そして心の準備などお構いなく、妊娠発覚一日目から容赦無く襲ってきた悪魔...

それが”つわり”である。

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妊娠するとつわりがあることは何となく知っていた。ご飯食べてウッとなるやつでしょ?吐いちゃうのは辛いよね。

....

そんなもんじゃなかった。

冗談じゃない。

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まず地味に辛いのは、つわりには“個人差”が圧倒的にあるところだ。想像してみよう、自分の友人が「私、あんまりつわりないんだよね〜(笑)」と言って妊娠前とほぼ変わらない毎日を送っているのを横目に、何も口にできず一日中吐きソファーにへばりつく自分を。死にたくなる。

だからと言って、つわりが軽かった友人に「え、つわりで吐かなかったの?いいな〜私とか毎日吐いてばっかりだったよ!」とつわりマウンティングを繰り出すのも良くない。一瞬スッキリするかもしれないが、言われた方は何とも言えない気分になる。

まぁそんなわけで私はインスタのストーリーで『また吐いた、全部吐いた。もう辛い、冬眠したい。』と書きたいメンヘラな気持ちをどうにか抑え、己とつわりの辛さと戦う為に初日から「妊娠の記録」という名前の通称【つわり日記】をつけていた。以下に少し抜粋する。

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5/2(木) *妊娠発覚2日目、妊娠6週

めちゃくちゃ悪寒がする。食欲はないけど、お腹は空く。

梅干しご飯なら食べれそうだ、と思い、梅干しご飯を食べる。

梅干しが全部なくなった。明日からどう生きれば….

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5/6 (月)

朝、立て続けに2回吐いた。食べたのはグレープフルーツだけ。

昼は頑張ってめんつゆ作ってそうめん食べた。半分で食べれなくなったけど、頑張って押し込んだ。出汁の匂いが気持ち悪い。

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5/8 (水)

食べるのがしんどい。食べる喜びがない。

昼になってお腹空くけどひたすら気持ち悪い。

水を飲むべきだとわかってはいるけど、不味くて全然飲みたくない。立ちくらみがひどい。

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こんな具合だ。これがこの後70日以上続いた。体重も3kg落ちて、久しぶりにBMIが18を切った。誰にもオススメしないダイエット法だが、情けないことに落ちていく体重の数値に多少喜んでいたところはある。女心は複雑だ。

そんな「つわり the 生き地獄」を分かりやすく例えるなら、ひどい二日酔いに悪寒とダルさと眠気をプラスしたのが24時間ずっと続く上にいつ終わるのか分からない極度のストレス状態ということだろうか。吐きづわりと食べづわりが2セットで襲ってくると、気持ち悪くて食べれないのに食べないと空腹でもっと気持ち悪くなって吐く...と言う無理ゲーになる。一日中ソファーにへばりつき、心は病み、ツイッターでハッシュタグ「#つわり辛い」の投稿を見ては、あぁ自分と同じくらい辛い人たちがいる...ふふふ...と気を紛らわせる毎日。ひでえもんだ。

そんな時に実行した、シチリア島への10日間新婚旅行。

正気の沙汰ではない。

しかし私は「すんませーん、入りまーす!」とお腹の中にいきなり飛び込んできたフライング我が子の為に、すでに何ヶ月も前から計画していた旅行をキャンセルする程できた人間ではなかった。夫は「きつかったらキャンセルしてもいいんだよ?」と言ってくれていたが、その時すでに急な妊娠で数ヶ月後に控えていた秋の結婚式をキャンセルして前払金10万円をドブに捨てていたので(泣ける)これ以上我が家のお金を無駄にするわけにはいかなった。いや本当に、分かって下さい。

そんなわけで無理やり行ったシチリア島。

いやー 吐いた吐いた。

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(*二日目  顔が死んでいる)

イタリアという国はまぁ色々と大胆なので(※個人的見解)道路も大胆にガタガタだ。都市部は違うのかもしれないが、シチリアに関しては車が下道に入ったら最後、常に上下にドコンドコンと飛び跳ねる状態...ケチって一番安いよく分からない車を借りたので、振動がダイレクトに襲ってくる。ついでにリクライニングもフルで出来ない。「ほら、見て!海が綺麗だよ!」と歓喜の声をあげる夫に促されて、ウウ...ウ....と何とか身体を起こしシチリアの青く美しい海を助手席から見る。あぁ涙が出る。吐きすぎて。

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そんな状態でスタートした新婚旅行だったが、調子がマシな時もあり、その時はピザを食べたり海鮮パスタを食べたり...残念ながらワインは飲めなかったものの、それ以外はきっちり贅を尽くした。来たからには楽しまねばならない。震えながら5月の海にも入ったし、たった3分プール遊びをする為に酸欠になりそうになりながらパイナップル浮き輪を膨らませた。本気だ。

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それでも辛い日は一日ゴロゴロ寝てたり、ベッドでひたすら二人でドラゴンボールを観て過ごした。要はバランスだ。楽しみつつも、決して無理はしていない。のんびりノープラン旅行だったから助かったのだ。お子よ、君も美味しいシチリアを体験できて良かったことだろう。

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そんなわけで10日間のハネムーン、改め、ベイビームーンを無事終えて、オランダの我が家に戻ってきた私たち。とりあえず一回吐いた後、真っ先に向かったのはラーメン屋だ。

ラーメン!!

太るのを恐れ、ラーメンに限らず、唐揚げや天ぷらなどの油っぽい揚げ物を執拗なまでに避けてきたこの10年、ラーメンはその最たるものだった。

それがどうだ。妊娠した瞬間、ラーメンを好きになったのだ。

ラーメンに限らず、十数年ぶりにコカコーラを飲んだ。飲みまくった。あんなに毛嫌いしていたのに...酸味があってスパイシーで甘くて最高かよ、と。水が飲めない中、炭酸飲料には助けられたのだ。「つわりで別人のように食の好みが変わる」というのは本当だった。

正直この世から消えて欲しいつわりだが、そのおかげでラーメンの美味しさに気づきソーダ飲料にも寛容になれた。ありがとう、つわり。そしてラーメン、今までごめんよ。

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とまぁ、つわりについてわざわざ語ってる人があまりいなかったので記録も兼ねて書いてみたが、3割くらいは伝わったのではないかと思う。多くの妊婦にとって妊娠初期(妊娠4ヶ月まで)は本当に辛い。それでも仕事を休むわけにはいかず、止むを得ず電車に乗って気持ち悪くなる人もいるだろう。自己責任だ!と言われればそれまでだが、それでも電車内で妊婦マークを付けた顔色の悪い女性が立ってたら席を譲ってみてほしい。きっととても感謝される。色々と賛否両論の多い妊婦マークだが、一度こっちの電車でつわり中立ちっぱで我慢できず盛大に吐いてしまった私は、オランダにも妊婦マークがあればいいのに...と思ったのだ(ちなみにどこも汚さず、誰にも気づかれずに吐いたので怒らないでほしい。)

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何事も経験だと思う今日この頃。今回ひたすら辛かったけど、つわりで苦しんでる人の気持ちが分かるようになったのは良かった。

そしてもう一つ良かったことは、寝たきりでやるべき事もちゃんと出来ず「私何もできてない...なんて役立たずだ...」と自分にイライラして軽く鬱状態だった時に

『今日も、赤ちゃんを育ててくれてありがとうね。』

と夫が伝えてくれたこと。それも毎日。

本当に、ありがたかった。

後生大事にしまっておきたい。

自分は何もできてない...と当時思い込んでいたけれど、見えないところで身体は頑張ってるんだな、もう少し自分に優しくなろう、と思えたのだ。

『あなたは頑張っている。』

同じようにつわりで苦しむ人に、どうか届いて欲しい。

つづき




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