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プレゼント上手な彼女たちについて

タイミングよくプレゼントを渡してくれたり、気の利いたサプライズで人を喜ばせるのが本当に上手な友達が何人かいる。

何人かっていうか、世の中の女の子はみんなそんなにマメなの?ってくらい私と仲良くしてくれる友人にはそういう素敵女子が多い。

おそらく私があまりにもずぼらなせいで、マメな人としか人間関係を続けられないだけなのかもしれないのだけど、自分がてんでそういう気遣いが苦手で、気が利かない自覚があるので、とにかくそういう彼女達のことを私は心から尊敬している。

誕生日とか記念日はもちろん、ちょっとした時にそういう気遣いを見せられるとすごく嬉しいし、そういう人はやっぱり素敵だなぁと思う。


で、なんで彼女達はそんなにうまいことやれるんだろう?というのをずっと考えていて、あわよくばその秘訣のようなものを突き止めて、私もプレゼント上手な素敵女子になりたかった。

そんなことを思っていたら、先日、とうとうその秘訣らしきものを発見したのでご報告したい。


私の友人の中でも、抜群にプレゼント力のあるえみこという子がいる。

彼女は大学のダンス部時代からの友達で、所属していた大学が違うにも関わらず、なぜだかいまだにすごく仲良くさせてもらっている。

卒業して、就職と同時に彼女は大阪に配属されて、東京-大阪と距離があるのだけれど、お互いに行き来するたびに連絡を取って会っているので、東京に住んでいる友達よりもよっぽど身近な存在だった。

ある時いつものようにえみこが東京に出てきたついでに、ダンス部の同期何人かで飲もう!という話しになった。その飲み会の時間まで彼女と一緒にぶらぶら時間を潰している途中、我が家からほど近いある有名なチョコレート屋さんに立ち寄った。

芸術的なチョコレートやかわいいデコレーションのケーキが女子のテンションを上げるのは言わずもがな。

私は近所なので何回か買って帰ったり、イートインのケーキを食べたことがあるのだけど、「今度はこれ食べてみたいな…。」などと考えながらショーウィンドウの中のきらきら輝くスイーツ達を眺めていた。

初めてお店に来た彼女は私より更に目を輝かせながら、チョコレートやケーキの棚を一通り見たあと、かわいいハート型の陶器の器とチョコレートがセットになったギフトを発見して、こう言ったのだ。

「あっこれかわいい!○○の結婚祝いに買っていこう!」

そういえば今日飲むメンバーの1人がつい先日入籍したというニュースを、私はその言葉を聞いて初めて思い出した。

なるほどそうか。

これがプレゼント力の差か、とその時に妙に納得したのである。


彼女はおそらく、単純に自分自身のことよりも、きっと周りの人間に興味があるのだ。興味があるから、ちゃんと大事なことを覚えていて、何かというとその人達のことを思い出す、そういう思考回路になっているのだと思う。

対して、私はというと自分が次に何を食べようか、なんて考えばかりで、人にあげるために買って行こう、なんていう発想はまったくもって皆無だった。

友人の結婚より、自分の食い意地。ああ、なんとも乏しい私の頭の中。



実のところ、私は基本的に自分への興味が人より強く、周りの人のことをともすると忘れて自分の中を深く深く掘って行くような思考をしがちだということは、薄々自覚していた。

まぁだからこそこんな文章を書いている訳だけど、とにかく一番強い興味の対象が、「自分がどのように感じ考えているか」という人間なのだと思う。

私のような思考回路の人間が、彼女のように反射的に誰かのことを思い出すのは、結構な努力を要する。

たぶんそれは、生まれもって、もしくは育ってきた過程で培われてきた脳みその回路みたいなもので、得意な思考法ではないやりかたで頭を使おうとすると、そのためにものすごくたくさんのエネルギーを使うことになるのだ。

結果として、私は細かく誰かのイベントを覚えておいたり、気の利いた立ち振る舞いをすることに心を配るメモリがちょっと、いやだいぶ少ない。(ごめんなさい言い訳です)


それなのに、「結婚祝い、いいね!私も半分出すよ!」なんて言って、何食わぬ顔でそんな彼女の思いつきについ便乗してしまったりして…。

いやはや本当に、彼女達みたいに心から他人を思いやるのって難しいですねほんと。


だけど得意不得意というのはあるもので、やっぱり私は、そういった周囲の出来事に全方位的に思いを馳せていると、他の建設的な活動が何も出来なくなるくらい、エネルギーを消耗してしまう。それはまぎれもない事実なのだ。

であるから、苦肉の策として、せめて彼女のように、いつも私のことを思い出してくれる数少ない素晴らしい友人の大切な日だけは、全力で祝おうということを心に決めている昨今であります。


そんな彼女ももうすぐ結婚するのだけど、どんなプレゼントをしたら喜んでくれるだろう。

気を利かせるのは相変わらず苦手だけれど、それを考えるのはなかなか楽しい時間だ。

プレゼント上手な彼女たちは、ナチュラルに人に与えることによって、自分自身のこともより幸せにできる、そんな幸せ体質の女子なのかもしれない。


やっぱり、そんな素敵な彼女達のように、私もなりたいなぁ。


たのしいものを作ります