10年越しの劇団四季。舞台を観るときくらいは批評的態度を忘れたい、のにな。

日記3日目。

今日は劇団四季のミュージカル「アラジン」を観た。

中学生の時ミュージカルWickedを観て以来、しばらく将来はミュージカル女優になるんだと思っていた。高校の卒論のような課題でも「ロングランミュージカルの構成の分析」みたいなことをテーマにしたくらいには、好きだった時代がある。(ミュージカル女優になるには演劇ができないといけないことに気づいて諦めた。あんな発声でしゃべるのわたしには無理だ。)

舞台女優にならないにしても舞台芸術を学ぶために芸大を受験しようかなどと考えていたこともあった。高校でいろいろ舞台作品を作ってみた後にやっぱりアーティストになるのは無理だなと思って普通の大学進学に方向転換しても、何となく捨てきれずに美学美術史の専攻に行ったりした(結局踊ってばかりいたのでほぼなにもしていない)。

そんな感じで、競技ダンスに出会って狂わされる前のわたしは、忘れてたけど実は割と舞台路線の人間だったのである。それが衣装屋を経由していまIT企業でデジタルコンテンツの運用の仕事をしているのだから、180度の転換もいいところだ。人生はどっちに行くかわからないものだなー。

とにかく今日は約10年ぶりくらいに四季の舞台を観に行って、学生時代と変わらぬ気持ちで楽しめた部分と、今になったから見方が変わった部分とあってなかなか面白かった。

まず、変わらない部分として、ダンスと歌と鮮やかな舞台装置の転換はやっぱりミュージカルの醍醐味という感じで素晴らしかった。このレベルの群舞のリハーサル芸の素晴らしさってやっぱりそんじょそこらでは見れないよなぁ、このために1万円払う価値があるよなぁ、と思う。

カップルダンスの素晴らしさはそれはそれとしてあって、競技ダンスのトッププロの踊りが舞台のバックダンサーとは単体だと比べ物にならないくらいの完成度の高さなのは確かなんだけど、舞台は個としてはまだ完全なスターではないとしても全体の作品としてそれ以上のものに仕上がることがあるというのが面白さなんだよね。

学生の頃の自分は大勢で何かを作る、というのに苦手意識があったから、ミュージカルにハマりつつも最終的には「自分1人でコントロールできる範囲が極力大きく、かつ共同作業で掛け算の結果になる」最小単位であるペアダンスに惹かれたと思うし、その延長で仕事では個人事業主をやったりした。でも今はそれを辞めて結局チームで何かやるほうが楽しいよね、というモードになっているので、舞台表現やっぱいいよなあみたいなところに立ち戻っている気がする。


見方が変わったなぁと思うのは、ミュージカルのシンプルなストーリーをそのまま受け取ることができなくなってきたなぁと。

ミュージカルって基本的にストーリー展開はあまり重要ではなくて、ミュージカルナンバーとナンバーの間をいかに緩急つけて自然に繋ぐのか、みたいなところに重点がある。だからそもそもストーリーに意識が行くのはナンセンス、というのがわかりつつ、それでもどうしても気になってしまう。。

「アラジン」はディズニーのあのアラジンが原作なので、舞台用のアレンジはちょいちょいあれど基本はそのストーリーに沿って進むわけだけど、多様で複雑なプロットのコンテンツを摂取しすぎて、もはやボーイミーツガール的急展開とかキャラクター同士が衝突して仲直りしてハッピーエンド、みたいなものが違和感でしかなくなってしまった。

えっそこそんな雑な描写で心変わりしちゃうの?!とかいやいやお前都合よすぎだろ、とかつい突っ込みたくなっちゃう。(それがミュージカル上のお作法とは知っている、のに!)

ディズニー原作のファンタジー作品だから、というのは大いにあるしそれを差っ引いても十分楽しかったんだけど、なるほどもはや自分はそういう風にしかコンテンツが受け取れないのか…と実感した。悲しいやらなんやら複雑な気持ち…。舞台を観るときくらい本当は批評的態度を忘れたい。

2000年代くらいには社会派ミュージカル、というストーリーやそこに込められたメッセージに現実社会の複雑さを組み込んだ作品が流行っていたと思うんだけど、今のミュージカル最新作シーンはどういう感じになっているんだろう。

最近の作品に対してまったく感度がないので調べてみたくなってきた。近々いろいろ見てみたい。


と、いろいろ書いたけど1番は、ジーニー役の俳優さんがめちゃくちゃに上手くてとても良かったです。すべてがそれでどうでもよくなるくらいには良かった。これを観るために来ているよねという感じ。そう思わせるスターの存在、本当にすごい。何年たってもカリスマ的なトップが亡くなってもそういう人が現れる劇団四季やっぱすごい。

帰りの電車の中で、12月のキャッツのチケットを取った。舞台のチケットを躊躇なく取れるの、めちゃ出世という感じがする。

完全に舞台沼に再ハマりする気しかしないが、また半年後が楽しみ。

#日記 #ミュージカル #劇団四季 #アラジン

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