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引っ越しで浪費する女

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話

という本を最近読んだのですが、他人の愛に溢れた消費活動についての話、めちゃくちゃ面白かった。(最近第二弾が出版されたそうです、おめでとうございます!)

それに影響されて、自分の浪費生活について考えてみました。


私は間違いなく「引っ越しで浪費する女」。これです。

おいおいひさしぶりに書く(約1年ぶり…)文章がこれかよ、とお思いかもしれませんが、だって書きたくなったんだもん。自分の過去の金遣いについての懺悔でもある。ええ、そうです、無駄遣いですよ!


7年間で5つの家に住みました。1年半に1回引っ越すよりも更にハイペース。

ここに過去に住んだ家の変遷を書いてみます。

1回目:池袋 16平米 ロフトつき1R 新築 65000円
はじめての一人暮らし。プロダンサーで14万/月の極貧。高い家賃は払えず、しかしスタジオの近くに住まなければ身体が持たないので、落ち着いて座るスペースすらない、驚きの狭さの物件になった。

2回目:代々木公園徒歩4分 35平米くらい? 2DK たぶん築十数年 200,000円
一人暮らしを始めてから1年足らずで、結婚により二人暮らしを開始。元いた家には夫の妹がそのまま住むことになり、家具家電類は置いていって改めて購入。物件自体は普通の分譲マンションだったが、場所柄急に家賃が跳ね上がる。

3回目:代々木上原徒歩10分 25平米1DK 築35年 75000円
諸事情により別居、再び一人暮らし。自営業のドレス屋は自転車創業状態で、精神的にも余裕がまったくなく、もっとも金がなかった時代。金がないなら工夫で乗り切ろう、とDIYに目覚め、築35年のボロいアパートの床にクッションフロアを引いたり、壁にベニヤを貼ってペンキを塗ったりしていた。

(散らかった写真しかない)

4回目:代々木公園徒歩5分 吹き抜けありメゾネット50平米デザイナーズ(床面積はたぶん35平米くらい) 築20年 210000円
離婚後に付き合った人と、半年足らずで勢いで再びの二人暮らしを開始。会社に勤めて働く比重が上がったこともあり、定期収入があることに油断し、その前の貧乏からの反動でこのときが一番の浪費生活をしていた。壁がカーブした変な家。

5回目:代々木上原徒歩1分 33平米 1R 築40年リノベーション 130000円
現在。2年ほど付き合った人が、将来の展望がまったく考えられない人間と知り、それでも一緒にいるべきかどうしようかともやもやしている間に唐突に別れを告げられる、というありがちな理由で破局。3度目の一人暮らし。

こんな感じです。

代々木公園上原エリアに住んでから、徒歩10分圏内で4回も引っ越していてさすがに頭おかしいですね。家賃の上下も激しすぎるし順番も意味がわからない。

合計で少なく見積もってもざっと200万くらいは初期費用と引っ越しだけにかけている。うち3回はもろもろの事情により家具家電をわりと大規模に買い換えているし、更に細々したインテリアグッズなども買ったことを考えるとその額はもはや計算不可能、考えただけで恐ろしい。
家賃も含めるととんでもない金額を住環境に投入してきた20代でした。

当然、毎回引っ越しの度に貯金を使い果たすことになるので、30歳目前にして現在の私の貯金額なんて雀の涙をぞうきんで拭いて絞ったくらいしかない。まあつまりはすっからかんだ。

なんでそんなにしてまで引っ越すの?というと、その時々で引っ越さざるを得ない事件(結婚とか別居とか同棲とか別居とか…)が発生したから、というのっぴきならない事情が多くを占めますが、でも私の住環境についての探究心がひとつの場所に長く住むことを拒否していたのでは?と言われたらまあそれも否定できないと思う。

もしそこを妥協できれば引っ越しそのものは仕方がないとしても、実家に帰るとかいままでの家具家電をそのまま使うとかいろいろやりようはあったわけで…。

そうしなかったのは何でかと言うと、素敵な住まいへの憧れ。それだけです。

いつからそんなに好きなのか、と言われるといつと明確に言える時期がないのだけど、気づいたら物件情報を四六時中ながめ、Instagramのおしゃれな海外のインテリアアカウントを軒並みフォローし、Pinterestで出てくる関連画像に延々とPinをし続け、BUYMA、ヤフオク、メルカリ、楽天、Amazonをくまなく見てイメージどおりの商品がないか常にチェック、街で素敵なリサイクルショップを発見したら絶対に入らないと気がすまない人間になっていた。渋谷エリアの中古家具や海外発のショップはだいたい把握しているし全部一回は入ったことがある。数百メートルずっとインテリアショップが立ち並ぶ目黒通りなんてもう天国、行くだけで幸せな気持ちになれるのです。

私生活に問題が生じたとき、いつも私を支えてくれたのは美しい家を作り上げる未来に対するワクワク感でした。その度に心地よい空間に癒やしを求めて、あらゆる家具やインテリア商品を買っては捨ててきたのです。


さて、そんないろんなごっちゃりした過去の思い出すべてを家とともに置いてきて、三度目の正直の一人暮らしを最近開始した現在の私ですが、いまのところ、やっと住んでいる部屋のコーディネートや環境に100%ではないにしても合格ライン程度には満足しています。

さすがに5回も引っ越すと素敵なインテリアコーディネートのコツや自分の好みがかなり把握できてくるので、何事も金をかけて数をこなせばそれなりになるもんですね。雑誌、東京グラフィティの今月号の特集に載せてもらったり、それなりに「おしゃれな部屋を作る人」としてのセンスを身につけられたかなと思っている。

いつの間にか部屋を見てあーだこーだ考えるのが完全にライフワークのようになってしまったので引き続きチェックは欠かしませんが、自分の部屋はさすがにもうやりようがないので、最近は友人の部屋を訪ねていってあれやこれやとアドバイスする活動をしています。

これは自分のお金を使わなくていいし、引っ越しという重労働もないし、なんか感謝されるし、なかなか良いね。

ということで、もしお部屋をいい感じにしたいけど何をどうしたらいいかわからない!という方は、ぜひご相談くださいw

もうしばらく自分の引っ越しはいいです、たぶん。


ああ、でももし仮に次に住むとしたら、改装可能物件をリノベーションして天井をぶち抜いて、壁をブルーに塗ったりしてみたいなぁ……。

たのしいものを作ります