見出し画像

ITサービスの「オペレーション企画」職に必要な性質やスキルって?に答えてみます

最近書籍の宣伝ばっかりになっていたので、たまには別の話も。

先日、マシュマロでこんな質問をいただきました。

ご質問ありがとうございます!!

特に隠しているわけでもないのですが大々的に所属を書いてもいない、という微妙な塩梅でインターネットと付き合っている私ですが、せっかくご質問いただいたので珍しく本業の仕事について書いてみようと思います。

ものづくりフリーランスからITスタートアップへ

ここまでの私のキャリアについては、だいぶ前のものになりますがこちらの自己紹介記事を読んでもらえるとなんとなく流れはわかるかなと思います。

https://note.com/sakihaya/n/n375a893dce60

社会人最初の数年は趣味の延長のドレス屋さんとしてフリーランスでフラフラしていていました。

その後の会社員としてのキャリアは、一貫してITスタートアップのビジネスサイド、最近だと「オペレーション企画」などと呼ばれはじめた職種です。

長らく適切な職種名がなく、名もなきIT企業のなんでも屋、なんて名乗ったりしていたのですが、今年に入ったくらいからなんとなく職種として定着してきた雰囲気を求人などを眺めていて感じています。時代が進んできた感がある。

「職種」欄にどんぴしゃなものがないと悩んでいたITサービスのなんでも屋が、エニグモに転職して1年間でやった出品審査の仕事を紹介します

こちらは現職入社1年目の終わり(1年半くらい前)に書いた記事。



26歳の時に縁あってIT企業でアルバイトとして働きはじめ、28歳のときにフルタイムの正社員になりました。実質の業界歴は33歳現在で7年目くらいです。
つい最近7月からは産休に入ったので会社仕事からは離れていますが、直近の2年間はいちおうチームを持ってマネージャー的仕事も経験しました。


個人としては、この記事で書いているようなオペレーションフローの自動化・効率化を得意としています。

BigQueryAirtableGASZapierで自動連携してNPSアンケートチェックを効率化した話

が、ここがメイン業務かといわれるとそういうわけでもありません。

あくまで主軸はサービスの適切な運用のために社内の人間のオペレーションやサービスそのものの仕組み、ルール設計をどうしていくべきか?ということを考えて、必要な施策を決めて実行していく、というふんわりした立ち位置です。

具体的には、たとえば

  • 毎日新しくサービスに登録される情報をどういう基準でチェックしてデータベースに反映していくか

  • サービス上に公開されている情報に問題のあるものがないかチェックするために、どこをどの順番で見ていくか

といった、データと情報を人が判断して取り扱うためのいろいろなフローや基準を決めていくのが仕事です。

データの操作は専用の管理画面を開発してもらって行うこともあれば、スプレッドシートとかエクセルで手元でなんとかすることもあり、状況によりけり。

そういったことを進めていく過程で、リソースの関係上、手作業でコストになっていたところを自動化する必要があったり、使用するツールを置き換えて業務内容を組み替えたり、みたいなことが発生していくのでそれは都度やっつけている、というようなイメージです。

うーん、なるべく噛み砕いたつもりですがやっぱり分かりづらいですね。笑

ITサービスの「オペレーション企画」とは

なんらかの事業、サービスを運営するにあたっては、会社内の人員の誰が、どういった手順で、どんなツールを使って何をしていく必要があるのか、という人間のオペレーションが必ず発生します。

ITではない業界であれば、モノやサービスを提供するために人のオペレーションが必要、なんてことは改めて言う必要もない、ビジネスに必須の機能かと思います。

たとえば飲食なら、店舗の接客のオペレーションや調理のオペレーションが発生するので、それをどういう手順でどう日々の行動として落とし込むのかを決めていく役割があるはずです。
モノを作る工場だったり、ホテルなどの宿泊業だったりでも同様で、価値を生み出すために働くひとが日々何をするのか?はサービス運営の基本になる部分。

それなのに、不思議なことにITサービスの中で、この部分が専門職として存在感を発揮することはここ最近まであまり多くなかったような気がします。

ITサービスの主役は、システムそのものを生み出すエンジニアリング、さらにはサービスを広めるためのマーケティング。どんな技術を使って、誰に、どんなビジネスモデルのサービスを提供しどうリーチしていくのか、という部分でした。

その裏で、日々社内で発生するオペレーションをどう組み立てて設計し、スムーズで発展性のある安定した運用をしていくか、というところは、ユニコーン企業になるようなある意味で「成功した」と言えるITスタートアップの中にいても、後回しになっているという印象を長い間持っていました。

悪く言ってしまえば、作ったら作りっぱなしになることが多く、その後の継続運用をどうするかは作ってから考える、みたいなことがよくあったわけです。

そういう時に、私がやってきたようななんでも屋的な立ち位置の人間が、「そういうサービスができるならこういう情報の入力作業が必要になるよね?」とか「こういう部分のチェックが必要だよね?」ということを、いよいよ新機能ができる!ってことが決まってから慌てて調整したり仕組みを作ったりしてなんとかしてきた、というケースも、意外と少なくないんじゃないかなーと思っています。

そこを担ってきた人材は以前からきっと各社の中にいたはずですが、適切な名前もないしあまり表に出てこないばっかりに、社内で局所的な仕事をしている裏方、なんだかいろんなことをやっているんだけど何をしているのかよくわからない人やチーム、という立ち位置になってしまっていたりして……。

(実際、似たような仕事をしている人たちと、私たちの仕事は他の場所に行った時にも役に立つのだろうか?という不安感を共有する機会はよくありました。)


しかし、ここ何年かそういう状態が続いていたのが、2021年あたりから、なんとなく風向きが変わってきたのかな?と完全な主観ですが感じています。
「オペレーション企画」や「オペレーションスペシャリスト」のような名称の求人が、どどどっと増えてきたのです。(計測したわけではないのであくまで印象ですが)

これは、いろいろなITサービスが立ち上げ期を通過して、いよいよ安定したオペレーション構築やサービスの継続・発展について取り組まないとやばい、というフェーズになってきたからなのかなーと勝手に考えています。
ITサービス、というのが一発当てるための博打の業界ではなくなってきて、あって当たり前、続いて当たり前、安定的に運用されて当たり前、にようやくなってきたのかもしれません。

冒頭のようなマシュマロを受け取ったことも、実はちょっとした驚きでした。職種自体に興味がある、なんて、数年やってきて言われたことなかったので……。(そもそも、そんな職種名がなかった)

Trust&Safetyという領域のお仕事

ひと言でITサービスのオペレーション、といってもその対象によってやることは多岐にわたると思いますが、私の担当領域は、これまたちょっと新しい概念の「Trust&Safety」という部分です。

Trust&Safetyって何よ?というのはこの方のnoteの記事かわかりやすいのでよく引用させていただいています。

世の中から信頼されるサービスを目指すために、サービスを利用するユーザとそれに関連する人々の安心・安全を守るための取り組み
https://note.com/operando_os/n/n1541ed812f90

ITサービスに乗っかって世の中に流通する、情報・モノ・人と人のやりとり、などがいろんな意味で適切な状態になっているのか、管理・調整するような役割と個人的には捉えています。

現職はCtoCのECサービスで、やることはいろいろありますが、いちばんわかりやすいものとしては偽物商品や法令違反に当たる商品の流通防止の取り組みや、さまざまな不正行為の検知・防止のための施策をしています。

サービスが扱う対象は最終的にはモノではあるのですが、私たち運営側が実際の商品を目にする機会というのは限定的。あくまでモノを流通させるために付随する「情報=データ」からいかに異常を検知して対応するか、というのがポイントになってきます。

(ちなみに前職は、サービスの商材そのものが「情報」だったので、よりデータとしての情報をどう取り扱うのか、という側面が強かった。)

何が適切な状態なのか?の基準についてはたいへん難しい観点なので詳しく書くことはしませんが、サービスを作って行き当たりばったりでやりっぱなしにするのではなく、「世の中から信頼されるため」にはどういう姿勢が必要なのか?という思考と、それをどうスタッフの日々の具体的行動に落とし込むのかという技術が、専門の能力として求められる世の中になってきた、というのは言えるのではないかと思っています。

変化の多い企業の中での球拾い、がスタート


そして冒頭のご質問への回答です。まずはこの仕事をやりはじめた経緯について。

私がこの仕事を始めたのは2016年、今はかなり大きくなっているITスタートアップのサービスいくつかが、まだまだ立ち上げ間もない時期でした。

ただ、正直なところ、自分で能動的に選んだ仕事、というわけではありません。

その頃は、フリーランスに行き詰まりを感じており、とりあえず働ける会社にどこでもいいから入らねば!という気持ちで、入社したのがたまたま成長期直前のITスタートアップだったのでした。(なんとなく入るならWebメディアの会社、と思ってはいましたが。)

最初は本当に単純な作業要員としてアルバイト採用されそれをこなしていたのですが、次第に「誰かがやらないといけないけど、誰にも拾われていない仕事」が目の前にどんどん積まれていく環境になっていったので、成り行きでやることが増えていってこうなった……というのが実際のところです。

これは完全に結果論なものの、流動性が高くて、全体を見渡せる規模感で、やることがどんどん発生してリソースが常に足りていない、という環境に身を置いたのはすごくよかったなーと思っています。

新卒以下のペーペーのアルバイトでも、自分で考えて手を出してみて、その方向性が大きく間違っていなければ、戦力として数えられてスキルや実績になる、という場所でした。

手取り足取り教えてもらえることは何一つないけど、やってみて発生した具体的な質問や課題については立場関係なくすごく丁寧に解説してもらえました。
そういった、フラットで積極的に情報をシェアしていくITスタートアップの独特のカルチャーは、右も左もわからなかった私にとってはすごくありがたかったなと思います。

そこそこのITリテラシーと、そこそこの対人スキル、のバランス

成り行きで始めたものの、この仕事けっこう向いてるな、と思う要素として、自分の以下のような性質があると思っています。

  • 物事を構造化して理解することに興味がある

  • 無駄が嫌いで、効率よくすることそのものが快感

  • そこそこのITリテラシーとそこそこの対人スキル

まず、IT企業での仕事はその前にやっていたドレス屋さんや、今並行してやっているインテリアコーディネーターという「ものづくり」系の仕事とぜんぜん違うもののように思われるかもしれませんが、本質的にはかなり近しい要素があると感じています。

ものを作るのは、突き詰めると「構造」を再現することなので、ものごとを抽象化して理解する構造化のスキルが不可欠です。

ITサービスのオペレーション業も、取り扱う対象が主に「データ」「情報」である以上、仕組みや構造を正しく理解してロジカルに捉える発想が欠かせません。

さらに、私の行動原理は基本的に「嫌なものを排除したい」が中心なんですが、そういう個人的好みも効率化・自動化が必須のこの仕事には向いているんだろうなーと思っています。面倒や無駄の排除とITはすこぶる相性が良いのです。

そして最後に重要なのが、とはいえ最終的にこのポジションは「人」と向き合う仕事だということ。

この立ち位置でいちばん大切なのって、「インターネット・テクノロジーのリテラシーやサービス理解」と「リアルで人間とうまくやっていくソフトスキル」の掛け合わせなんだな、と思っています。

IT技術は扱えるけどメンバーがどう動いてるかとか興味ないです、というのだとなかなか難しいし、逆に人を動かしてよしなにするのは任せて!でも技術についてはさっぱりです、というのでもダメなわけです。

必要に応じてエンジニアと会話してこちらの業務の要件を正しく伝えて開発をしてもらわないといけない時もあるし、そうかと思ったら「ブラウザってなんですか?」くらいの知識レベルのメンバーに合わせた説明やフロー構築ができる必要もある。

みんながみんなデジタルネイティブな会社だったらそこまで必要ないのかもしれないけど、多くの人の力をあわせて仕事を進めていくオペレーション部門である以上、どうしてもそこらへんのスキルやリテラシーにばらつきが出るのは仕方ありません。
それでもきちんと間に立って、技術と人のギャップを埋めていける人材が求められているのかなーと思っています。

なんだか漠然としているのでそういうシーンの例を上げてみると、たとえば、なんらかサービスに問題が発生した!という場面。

そういう時、現場のオペレーション担当が異変に最初に気づくことが多かったりするのですが、一次請けの対応として、問題の原因の切り分け(人のオペレーションミスなのか、システムの異常なのか?の判断)とエンジニアへの現象のエスカレーションをしつつ、オペレーション担当者に当面の対処法(管理画面からこの操作をしてとりあえず問題の部分を取り下げておいて、など)の指示をして、さらにユーザーへの適切なご案内文面を考える、みたいなことを同時進行でやったりする感じなのです。


いくらITサービスといっても、結局使っている人も作っている人も人間。サービスが成長して大きくなるほど、人間の要望通りにシステムが動くように仕組み化して伝えることや、機械の仕組みを人間が理解できる言葉に落とし込むこと、両方をやれる翻訳家のような存在になれると、いろんな場面で役立てるんだろうなと思います。(私もぜんぜんそこまでなれてはいないですが……。)

インターネット上で自分で何かを作ったことがあるかどうか

ちなみにこのポジションにどういう人が多いかというと、すっごく狭い観測範囲の中の話ですが、「htmlとcssがなぜか元から書けたアラサー〜アラフォー女性」が活躍していることが多い気がしています。笑

インターネット黎明期にテキストサイト作ってた、とか掲示板に入り浸っていた、みたいな人。(私もインターネットの原体験が夢小説サイトとお絵かき掲示板、という人間です。そこにピンと来る方、仲間ですね!)

また、私はフリーランス時代に、自分のWebサイトをWordpressで構築してphpいじってテンプレを改造したりしてたのですが、その経験も地味に効いてるなーと思います。

とにかくインターネット上でデータを扱うことを自分の手で試行錯誤したことがあるかないか、は大きい。

もしそういった経験があまりないな、と思ったら、入門のもので構わないので、何らかのプログラミングの本を読んで何でもいいから作ってみる、というのがおすすめです。

日々のオペレーションを定量データに手間なく落とし込む

人のオペレーションを最適化していく時に大事なのが、きちんとそれがIT化されて未来に活用可能な形で溜まっていくこと。あまりにもアナログ頼りだったり、人が見ないとわからない自由記述の形式だらけだったりすると、せっかくのITサービスなのにもったいないことになります。

AIを使って課題解決していこう、というのはずっと近年のスタートアップのトレンドですが、AIだってもちろんなんでもできるわけではなく、「機械学習させるためのきれいなデータ」が不可欠。それを用意できる可能性がいちばん高いのは、他でもない現場のオペレーションなのです。

表記揺れだらけの自由記述のデータをいくら集めても分析も活用もなかなか出来ないけど、それを一定の基準で振り分けてフラグ付けしていけば、定量的なデータとして活用可能になっていきます。

たとえば、「問題のある商品のリスト」を問題の種類に分けて1000件ずつ集められれば、それをAIで自動検知するシステムが作れるかもしれません。

また、開発に役立てる以外にも、こういった問題が多そうだからこの手順はこう変えましょう、とか、サービスのルールを変更したほうがいいのでは?など、日々のオペレーションをきちんと計測できる形で残して分析することで生まれる価値はたくさんあります。

ただし、オペレーションにフラグ付けをするにしても、新しく作業を増やすのではなく、どうやって既存のフローの流れで負荷なくブレなく勝手にデータが貯まるように仕組み化していくか、という発想が大事。

というのも、測る作業が大変だと、その計測するオペレーション自体が目的化してしまって本来の業務の効率を落とし、結果的にサービス水準が下がってしまうことがあるからです。

本来の目的を見失うことなく、いかに日々のオペレーションを自動的に今後の改善につなげていくか、という考え方が大切になってきます。

必須のスキルはSQLとリレーショナルデータベースの理解

ここまでつらつらといろいろ書いたんですが、ひとつだけこれからのオペレーション企画職に必須のスキルを上げるとしたら、それはSQLだと思います。

まずは、ITサービスでは取り扱う対象物が「データ」なので、サービス内のデータをある程度自力で自由に扱えないと、できることがかなり狭まってしまいます。
自社サービスのデータベースから必要なデータを引き出すためにいちいちエンジニアの手を借りているようだと、やはり出せる価値には限界があるので、手を動かせるスキルを身につける必要はあると思います。

さらに、直接SQLでデータベースを参照するシーン意外にも、SQL的発想を体感で理解しているかどうか、がオペレーション構築でもとても大事になってきます。

先ほども触れたように、オペレーションをIT化して定量データとして残していく、という時に、使うデータ形式は圧倒的に表形式のリレーショナルデータベースです。

リレーショナルである、というのが特に大切で、エクセルやスプレッドシートのVLOOKUPだとどうしても限界があったりします。

私は業務で「Airtable」というデータベースサービスをヘビーユーズしているのですが、これはエクセルのような手軽な使い勝手のまま、自分で自由にデータベースを設計して活用できるツールです。
ここに業務に使うほぼ全ての情報をデータとしてつっこんで、参照したりステータス管理をしながらフローを組み立てています。

どんなふうに便利なのか、というのはここで書ききれないので割愛しますが、これがないと業務が進まない、というくらい便利に使っており、そしてそれが便利に使えるための条件というのがやはりSQLがある程度使えてデータベースという形式に慣れていること、かなと思います。


まとめ

だいぶ長くなってしまったので、本記事のまとめ。

  • オペレーション企画、という職種が確立されてきた

  • ITと人の中間に立ってギャップを埋める役割

  • まずはインターネットで何かを作ってみることがスタート

  • オペレーション内容を手間なくデータ化して、リレーショナルデータベース形式で管理する

  • 身につけるならSQL一択!

そんな感じです。

まずは身の回りの業務の課題解決に取り組みつつ、自分のやっているところと似た領域のオペレーション企画職の求人があったら話を聞いてみたり、面接を受けてみたりすると、どこが評価されて何が足りないのか、がより具体的に見えてくるかもしれません。

(私は現在不在ですが、弊社の該当ポジションも募集中なので興味があれば調べてみてください!)


あと、採用とかぜんぜん関係なく、同じような仕事をしている方との情報交換もしたいな〜と常々思っているので、もしこの話にピンと来た方がいたらぜひお話ししましょう。
なんせまだ希少職種なせいで、なかなか出会えないので……。


ではでは!

たのしいものを作ります