下田美咲さんの記事をシェアしたら、ベビーフード警察に絡まれた話

cakesで連載中の「下田美咲の口説き方」の、「私は離乳食を手作りしない主義」をTwitterでシェアした。

料理好きで上手な母に育てられ、手作りできるものは手作りするのが当たり前だと思って育ってきたので、市販品や加工食品、外食にはうっすらとした抵抗感があった。けれど、大学で食品加工について学び、最近の食品メーカーの努力、技術の進化を垣間見、食べてみたらけっこうおいしく使いやすいことを知り、根拠のない抵抗感はさらっとなくなった。今は、お金と時間と幸福を天秤にかけて、うまくバランスが取れるやり方でやればいいじゃん主義。

で、下田美咲さんの記事。

私は育児経験はないけれど、経験者から聞いた話によると離乳食というのはたいそう手間暇がかかる上、食べてくれないことも多くて心折れるものらしい。今後自分が子育てする時が来たら、できるだけ病まずに続けられる方法でやりたいなと思っていた。

下田さんのように100%市販のベビーフードにすることは多分ないけれど、でも、そういう選択肢もあるし、別に一時的にそういう時期があっても大丈夫かもしれない、と自分の中で「逃げ道」ができたのが嬉しかった。

ので、気楽に「こういうのも悪くないかもねー」くらいのテンションでシェアし、それを下田さんもRTしてくださった。

すると、ぜんぜん知らない人から非難やら、求めていないベビーフード情報やらがやってきた。

私のTwitterアカウントは、フォロワー140人ちょっとしかおらず、ZOZOの田端さんだったか幻冬舎の箕輪さんだったかに言わせると「死んでるのと同じ」アカウントだ。リアルな知人と、私がフォローしたくてした人が返してくれたのと、あとは商業的な匂いのする実態のなさそうなアカウントばかりの、ちいさなコミュニティ。

知らない人からのコメントが来ることなんてほとんどないので、びっくりしてしまった。これが噂のクソリプというやつか…

罵詈雑言とベビーフード警察からのコメントを要約すると、だいたいこんな感じ。

○間違った育児論を真に受けるアホがいる
○下田さんのやり方は極端すぎる
○市販のベビーフードは濃いめに味付けがされているので、子供にそればかりをあげるのはよくない
○素材の味を生かした手作りの離乳食はおいしいですよ
○こんなふうに離乳食作りしてみては?(以下、離乳食作りの心得いろいろ)

私のツイートに下田さんへの意見を書いたところで、彼女には届かないはずなのだが、なぜ私に言うのか。下田さんの記事をシェアしたツイートにも、「私には育児経験がない」と書いたのに、なぜ私に離乳食の作り方を教えるのか。仮に離乳食の作り方を知りたい(=育児中)としても、どこの馬の骨かもわからない、見ず知らずの人のアドバイスは必要ないのだけれど。体験談という意味では、下田さんの記事も見ず知らずの人の話も同じだが、顔も名前も出して、リスクをとって発言している下田さんの方がまだ信用に足るかどうかの検討の余地はある。

きっと、世の中の子育て中の人たちは、こういう謎の「これはダメ」「こうしなさい」「これがいいよ」に翻弄されているのだろうなぁ、と思い、心が暗くなった。

写真家の幡野広志さんが、がん患者に対する善意の助言、励ましは迷惑だ、ということをおっしゃっている。

確かにそうだろうなぁ、と思ってはいたが、そして幡野さんの状況とは大きさも全然違うが、それでも今回の経験からかなり腹におちた。

見知らぬ人からの助言は、必要ないし、迷惑だ。そして、時に暴力だ。

私がもし育児中で、離乳食に悩んでいたら、「知らない人からクソリプきてびっくり」なんかじゃ済まなかっただろう。下田さんの記事に心救われたのにそれを非難され、「こうしろ」と押し付けられたら、離乳食悩み以上に思い詰めただろうと思う。

誰もが誰かに気軽に助言できてしまう時代だからこそ、その助言が相手にとってどんなふうに受け止められるか注意深くあらねば。善意の助言が人を殺すことだって、大げさじゃなくあると思うのだ。

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