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未来は明るい、と信じること【小泉今日子著:小泉放談】

今年、32歳になった。

私の母が妹を産んだ年齢で、うっすらと記憶にある母は、とても大人でしっかりしていて頼もしかった。ところがどうだ、自分がいざその年齢になってみると、全然大人じゃなくて驚く。

それに、32歳って、オバチャンの年齢だと思っていた。確かに体力の衰えを実感することはあるけれど、肌の調子やボディラインや、考え方や頭の動きなんかは、イメージしていたオバチャンとはかけ離れている。自分だけでなく、周りの人たちを見ていてもそう思う。結婚していようがいまいが、子供がいようがいまいが、どんな仕事をしていようが、まだオバチャンではない(ときっぱり言わせてもらう!)。

それでも、40歳、50歳、60歳…自分より上の年齢については、まだまだ凝り固まったイメージがある。知力・体力の衰え、瑞々しさが失われて干からびる、しわしわ、たるみ、頑固になる…そんなネガティブなもの。母が60歳になった時には「もうオバアチャンの年齢やん!」と少々の恐怖を感じた。

さて、小泉今日子さんは、今51歳だそうだ。51歳?ほんとうに?

だって、小泉今日子さんはキョンキョンなのに。かわいくてかっこよくて、頼りになりそうだけれど”上”過ぎず、身近な感じもするアネゴなのに。ドラマ「監獄のお姫様」ではオバチャンオバチャン言われてるけど、でも、全然オバチャンじゃないのに。

そして、『小泉放談』で小泉さんが対談するメンバーも、50歳を経験した方ばかり。ほんとうに?

江國香織さんや吉本ばななさんは、私、中学生の時からずっと著書を読んできたお姉さんだよ?中野明海さん、今も昔も変わらずファッション誌のメイク術特集で見かけるお姉さんだよ?浅田美代子さん、片桐はいりさん、渡辺えりさん、たしかに年上なのはわかるけど、でも、50歳超えているの?

数字がよくわからなくなる。だって、みなさん、全然オバチャンでもオバアチャンでもない。

体力の衰えや更年期で辛いタイミングはやはりあるようだけれど、越えたらいっそ清々しく、しなやかに、でも一層パワフルに暮らしておられる様子が見えてくる。50歳以降って、こんな感じなの?

老いって、もっとしなびていく、弱っていく、希望がなくなっていくもののように思っていた。けれど、なんだか楽しそう。ゆるやかに、楽に生きていかれるみたい。残りの時間に限りがあると、かえって覚悟が決まってきっぱりできるみたい。

32歳の今、目標にしていたことができてなかったり、かつて思い描いていた通りじゃないこともたくさんあって、自分のダメさ加減にうんざりすることがある。今できていないことを数え上げて、将来がまっくらに思えることもある。

けれど、今できていないことは、50歳になってもできない、とは限らないのかもしれない。今思い通りにいかないことが、60歳になったときに実を結ぶのかもしれない。年齢を重ねることは、干からびていくことではなくて、むしろ経験値をたくわえて、豊かになっていくことなのかもしれない。

きっと、未来は明るい。そう信じて年齢を重ねていかれるって、結構幸せなことだ。

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