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ジュニパーベリーを識る。植物の特徴表示説。

アロマテラピーをいとなむ方なら、誰もがしる「ジュニパーベリー」
針葉樹の実から採れる精油は、浄化作用、クレンジング作用、といったものに優れ、解毒、むくみをとると言われています。
お酒のジンの香りづけに使われるのが有名なので、お酒好きの方はアロマテラピーや精油に詳しくなくてもご存知だったりします。

ニコラス・カルペパーによると、太陽が支配するとされる。著者によっては、木星や土星であることも。星座だと支配星と繋がる獅子座、射手座、山羊座。私的には山羊座、あと文献で見たことはないけど魚座も親和性がある気がしています。

そんなジュニパーベリーはどこから精油が採れるのか?というと、最初に述べた通り「実」なのですが、著者によって、あるいは精油メーカーによって、書いていることがそれぞれに異なり、何が正しいのやらと混乱したので、覚書です。

「実」
「熟した果実」
「実つきの小枝」
「球果」
「液果」

手元にある書籍や、精油メーカーのサイトを確認したところ、そのように書かれています。

まずいちばんに、「球果」と「液果」という言葉に馴染みがなさすぎたので、調べてみました。

球果
裸子植物、特に針葉樹がつくる実のこと

液果
果実の一種で、ものすごく漠然とした言い方をすると、水分たっぷり

なるほど、だとするとジュニパーは針葉樹なので、その実が「球果」であるのは正しそう。
そして、ジュニパー「ベリー」の名の通り、果実であり、ブルーベリーみたいな実なので、「液果」であるのも正しそう。

どっちも正しいなら、どっちなの?と首を傾げていると、とあるブログにこんな言葉が載っていました。

受粉後に球果は緑色になり、翌年の秋に成熟します。その球果は、木化せずに青黒い「液果」となりました。それはまるでブルーベリーのようです。

https://sakata-tsushin.com/yomimono/rensai/standard/eastasiaplants/20230307_008551.html

この記事は、ネズミサシという植物について書かれているのですが、ネズミサシの学名は「Juniperus rigida」
ジュニパーベリーの学名は「Juniperus communis」
ちなみに和名は「セイヨウネズ」
いわばこのふたつの植物は兄妹のような存在。なのでしょうか。

何にせよブログには「球果」であり「液果」になる。と書かれています。
なるほど
ジュニパーベリーというのは、植物の分類上は「球果」であり
実(あるいは果実)の分類としては「液果」なのでしょう。

同じ針葉樹でも、松の実は「球果」だけど、乾いているので「液果」っぽくはないですもんね。

そして、「球果」も「液果」も「実」には変わりないので、「実」というのはそれらの総称であり、書き方として間違いではない。ということがわかりました。

また、「熟した果実」というのは「実」であり「球果」であるジュニパーベリーが「液果」になった状態。ともいえますので、「熟した果実」や「液果」というのは、ジュニパーベリーを表す上で、より詳しい丁寧な言い方ですね。

同じ「実」でも、柑橘系の果実と、ジュニパーベリーの「球果」では大きな違いがありますし、精油の作用としても異なります。

また、同じ針葉樹の「球果」でも、水分を含む「液果」であるジュニパーベリーと、パインやサイプレスは、植物としても、精油の作用としても、やはり異なります。

中世の医者であり錬金術師のパラケルススが残した言葉に、こういうものがあります。

神は人間が植物の特性を理解できるように、植物の姿かたちに特性を知らせるためのヒントを託した

人の歩き方や声色に内面が現れるように、植物もまた、その姿かたちに作用をしるためのヒントが存在する。というものです。

Doctrine of signaturesと呼ばれるそれは、日本だと以下の言葉に置き換えられています。
「特徴表示説」
「特徴類似説」
「象形薬能論」
「薬能形態論」
などなど

ここでもまた、てんでばらばらの言葉、、、
翻訳というのがいかに、翻訳者に委ねられているのか。ということがよく分かります。
これは言語の翻訳に限りませんね。政治や経済、宗教や医学、学問、あの人の噂話、などなど、あらゆるものは誰かの手によって翻訳されて、わたしたちの耳に届きます。
それをすべて何でもそのまま鵜呑みにするというのは、少しこわいことかもしれません。

選び、決めるのは自分でありたい。最終的にいつもそんな話になってしまいます。
今月の星読み調香スタンドでは、この「特徴表示説」に基づいて、精油を選び、アロマミストをおつくりするワークも始めていく予定です。


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