ライナスを生きる和希そら

私はWSSのそらアニータを観られなかったことをめちゃくちゃ後悔しているぺーぺーのそらちゃんファンですが、例えば私が今よりも未来にそらちゃんに出会っていたとして、その時にオーシャンズ11のライナスをこの目で観ていなかったらめちゃくちゃ後悔しただろうな、と私的初日に感じました。

そらちゃん演じるライナスは、口をへの字に曲げてて、周りの人間は誰も信用できないみたいな顔をしていて、父親と比べられるのは嫌いでも父親のことは嫌いになれない、そんな空気をまとったちょっとやさぐれた10代後半の男の子って雰囲気。
電車のドアから登場して「Mr.pickpocket」を歌うライナスは軽やかに踊って歌っているけど、ダニーに名前を呼ばれた瞬間にゲームを楽しんでいたような表情から、ちょっとオドオドしてるような、それでも虚勢を張っているような表情にガラッと変わるのが印象的でした。
父親と比べられたくない、それでも自分は父親のようにはなれない、そんな10代の男の子独特の劣等感が滲み出てくるようなライナス。めちゃくちゃ庇護欲を刺激してくるライナス(個人の見解です)
男になりたかったら来い、とダニーに言われてエルチョクロに足を踏み入れたライナス。父親の昔馴染みであるソールに父親の話をされて、ダニーに挑発されて、やっぱり帰る!ってなるライナスに向けて歌われるナンバーが「JUMP!」ここ、全公演泣きました。
ライナスに向ける表情がめちゃくちゃみんな優しくて、ずっとふてくされて体をぎゅっと強張らせていたライナスが「一緒に跳んでみるよ!」ってなるとこまでの流れが最高すぎて本当にずっと泣いてた。
澄輝さん演じるフランクがライナスにトランプを1枚渡すんだけど、それが「スペードのエース」で、そのカードには「お前はエースになれる」って意味が詰まってるとか知ってしまったら泣くやつやん???
お茶会でそらちゃんが「JUMP!の時に、あっきーさんとりくさんが左右から笑顔を向けてくれるのがすごく嬉しくて、お二人自身が私にエールを送ってくれてるみたいに感じる(意訳)」とか話してるの聞いたら、その以降の公演はさらに泣くやつやん???
ずっと体を強張らせて、全ての人間に対して毛を逆立ててる猫みたいだったライナスがみんなと肩を組んで踊るのとか泣くやつやん???
仲間になった後もわりとダニーとソール以外にはツンケンしてる(特に対ラスティー)ライナスだけど、それも表情や細かいお芝居で表現してて、もちろん今までのお芝居でもずっとそうだったけど今回のライナスでますますそらちゃんのお芝居を好きになりました。
そらちゃん自身はライナスという役を作り上げるまでに「とても苦労した」「誰よりもめちゃくちゃダメ出しされた」「男役として積み重ねてきたものが逆に邪魔をした」と話してて。
その話を聞いて私は「男役として積み重ねてきたものが邪魔をした」っていうのが、めちゃくちゃ意外でめちゃくちゃ胸に刺さりました。
私はタカラヅカを見始めてまだ1年のぺーぺーなので、星組オーシャンズも花組オーシャンズも履修しないまま宙組オーシャンズを観劇しました。星組公演でライナスを演じたのは宙組現トップの真風さん、花組公演でライナスを演じたのは宙組現2番手の芹香さん。お二人がライナスを演じたのはいわゆる新公学年と言われる学年で、今年研10であるそらちゃんがライナスを演じるというのはわりとイレギュラーというのは観劇前からわかってました。
でもその「研10」なのが、若さ故の屈折したライナスを演じるには邪魔をした。そらちゃんも言っていたけど、もう少し下級生だったら勢いで演じられた。10年積み重ねてきたものがあるからこそ、ライナスを演じるのが難しかった。
配役発表があった時に「研10のそらちゃんがライナスなの意外だけど、そらちゃんならぴったり」「そらちゃんなら違和感なさそう」って諸先輩方も言ってたけど、正直そらちゃんもそう思われてるのが分かってるからこそ、めちゃくちゃ悩んでめちゃくちゃ苦労したじゃないかな、と勝手に思って、お茶会の翌日に観た公演ではライナスの登場からめちゃくちゃ泣いた(すぐ泣く)

私はそらちゃんのダンスや歌はもちろん、お芝居が好きです。黒い瞳でトリオを演じたそらちゃんはストーリーテラーな立ち位置なこともあって、踊るシーンがめちゃくちゃあったけど、今回のオーシャンズ11は一本物なこともあってお芝居で魅せることをより意識したのかな、とぺーぺーなりに感じました(もちろん踊るシーンもめっっっっちゃくちゃかっこよかった)
まだ東京公演が始まったばかりだけど、本人がめちゃくちゃ苦労したライナスという役を経たそらちゃんが次の作品でどんなお芝居を魅せてくれるのかとても楽しみです。
千秋楽まで無事に走り抜けられますように。

#宝塚 #タカラヅカ #宙組 #オーシャンズ11