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【ぺしゃんとつぶれるのを待ってる】

先日、佐久穂町内の空き家を1軒、内見させてもらいにいったときのこと。

「おらっちとこは売る気も貸す気もねー。
ぺしゃんと自然につぶれるのを待ってる」


その家の亡くなった名義人のいとこで手入れだけを任されているという
おじいさん(80代)の言葉。


名義人死亡

相続放棄

遺品が片付けられない

一族の同意が得られない

体裁

などなど・・・

空き家対策の前に立ちはだかる様々な理由たち。

家を壊して更地にするにも、荷物を片すにも、お金がかかる。

それも数十万〜場合によっては数百万…


何にもしない
が労力的にも金銭的にも楽のは当然。
まして高齢者にとってはなおさらのこと。

で、出てくるのが冒頭の言葉…


太く立派な柱や梁のある大きな古民家が、
自然に朽ちるのにはどれくらい年月かかるのでしょうか?


そうして、空いたまんま、朽ちていくのを待つのみの家ばかり増えていく。

町や集落の景観は、どんどん損なわれてゆくしかないのか・・・


「(佐久穂には)空き家少ないですよねー」
「なんでこんなに少ないんですか?」

経緯を知らぬ(知ろうとしない?知り得ない?)方々からかけられ続ける言葉。

確かに、佐久穂をこれから知る人皆が皆、まず真っ先にそう思うだろうし、
これからも聞かれ続けるであろう当然湧き出る疑問ですよね。


その問いへの答えは・・・

空き家はあるんです。
ただ、住める(よそ者に売ったり貸したりしてもいいという)状態の空き家は少ないのが現状です。

と答え続けるしかないのか。というジレンマ。


いい加減そろそろ、

佐久穂に住みたい人 > 住める空き家

という図のバランスを崩したい。。。



我々地域おこし協力隊が佐久穂町から委嘱されている「空き家対策」任務。

どのように取り組んでいるのか?
空き家の持ち主の方個々それぞれにスピード感もまったくバラバラなので
こちらも慎重にならざるを得ず、
不透明性高くなり活動状況も伝わりづらくもあり、
かつ思うような(ニーズにマッチする)結果がなかなか出ないものでもあり、
この変わらぬ現状に何にもしてないように映るみたいで。

そもそも一筋縄に進まぬ問題を我々のようなよそ者が声を荒げてもしょうもないというか、
よそ者の我々にできることは限られているということも薄々分かってきました。

ただ、ここで諦めず、町の未来のためにも
循環を促すという発想を持ってもらうきっかけ
に我々がもしもなれたらそれでいいと思って、やるしかない。

区長さんや役場の方、こちらの思いに聞き耳を立ててくれやすい地元の人の力を借りながら。

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ある地区の区長さんと役場担当と朝から歩いて空き家調査したときの写真


H 28年度全町調査の際に炙り出された空き家のうち、
比較的状態の良いものに送付した活用希望有無のアンケートに対し、
返信があったもののほとんどが

「活用希望なし」

との回答でした。

その理由は主に、

物置利用、年に数回利用、いつか利用する・・・

そんな簡単に手放してもらえる空き家はあまりありませんでした。


でもあれから3年ー

状況は少しずつ変わり、佐久穂に移住してきたい人が現実に増えてきている。
それでもニーズに反比例するかのように活用されない空き家ばかり増えていく…

「佐久穂町に移住してきたい人がいる」
という地元の人たちにとっては未だに到底信じ難い事実を
自分自身の体をもってして実態として存在していることを見せ、
「ほんとうなんだよ」と信じてもらい、
実在するニーズの声を一人一人に届けていくしかない。

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ある地区の朝の体操にお邪魔して現状説明と空き家の活用を訴えているときの写真

足を使ってこちらから地域に下りていけば皆さん話は聞いてくれます。
なので、限りある任期を使って各地区、各地区へせっせと赴き、
地道に啓蒙を続けていきます。

「明日へ種をまこう!」
パプリカの歌詞にまったくもって共感しかないよw


でもジレンマの解消への道はなかなかまだまだ遠そうだわい…

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