福祉

僕の地元には日高屋が各駅停車で並んでいて、2~3駅間違えても問題ないセーフティーネットが敷かれている。

田舎駅には不釣り合いなほど明るく、それでいてどこか優しいその暖色の灯りを見つけると、まるで蛾のように身体が引き寄せられていく。

両隣が空いた丸椅子を選んで、今日も片言で運ばれてきた野菜たっぷりタンメンに手を合わせる。

昔はしょっちゅう汁なしラーメンをモリモリサービス券で麺増しにして食べていたっけ。
思い出を湯気に溶かしながら、食欲とは裏腹に飢えていくものに蓋をした。

一日分の野菜と塩分を摂り終え、お釣りと共に何枚目かもわからないサービス券に一瞥もくれることなく財布にしまう。
かつてそれを「むげんのチケット」と呼んで指折り数えていた僕はもういなかった。

これでいいんだ。

言い聞かせるように強引にしまおうとすると、先に入っていたむげんのチケットで指を切ってしまった。

背後のラ・餃・チャセットに笑われたような気がした。

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