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要らんもん買わへんかったらええねん!

「明日の帰りに、柿の葉寿司のネタを買いに行ってくるわ」
「ほな、晩になんか買うてきて!」
 デパ地下モノが大好きな夫が喰いついてきた。

「何がいい?」
「任せるわ」
「それが困るねんな・・・」

「たこ焼きとかイカ焼きは?」
「それは晩ご飯と違うやん」
「そやな、ソースのかかってないたこ焼きは天満橋にはもう無いねんな」
「アスカのたこ焼きな、あれは守口に行かな」
「そうか・・・」

 昨夜の会話を思い出し、早めに仕事を切り上げ天満橋まで歩きながら迷いに迷って・・・
「ええいッ!」
天満橋のシティーモールには寄らず、京阪電車に乗って守口へ。

 天満橋で買い物をすると雨の中、歩いて帰らなければならない。守口だと電車で京橋まで戻り、タクシーに乗れば、家の真ん前まで連れて帰ってもらえるのでこのコースはかなり気に入っている。

 ちょっと前まで守口に住んでいた私の母は、神戸の妹へと移り住み、今はもう住んで居ない。母の居ない守口駅は、雨のせいもあり淋しさをいっそう募らせた。それでも、夫の好きな〈アスカのたこ焼き〉を買う頃にはそんな気持ちも吹っ飛び、魚屋さんで「小鯛」を見つけたときには有頂天になっていた。

 次の休日に、孫③と孫④の七五三のお祝いをすることになっていて、お鯛さんで何か一品と思っていたのだけれど、これだ!
『小鯛寿司』にしよう!全部買っても600円!安い!

 夫と約束をしていた『柿の葉寿司』の材料も揃えたし、晩御飯は・・・と思いながらエスカレーターの方へ歩くと「551」が目につき「豚まん」と「焼売」これでいいや!

 守口にも京橋にも「551」はあるのに、なんで天満橋にはないのだろう?
不思議だ。

 家に帰り着き、テーブルにアスカのたこ焼きを出したら夫の驚いたこと!
「守口まで行ったんか?」
「うん、雨降ってたから京橋からタクシーに乗って帰ろと思て」
「それは賢明な方法やな」

「そやけど、タクシー代が1000円にもなってたから、この方法も勿体無いしもうでけへんわ」
「あんたが要らんもん買わへんかったらええねん」
「・・・」

あっさりカワされてしまいましたとさ。

(2017年11月の記録より)


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