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〈究極のそばがき〉

 昭和の大阪人の蕎麦というと、うどん屋のメニューにある「たぬき蕎麦」が一般的だったのだが、ある時を境に、関東風のざる蕎麦が流行りだし、たちまち二八蕎麦だの十割蕎麦だのと通の店が増え、大阪の有名処ろでは『そば切り凡愚(閉店)』『守破離』『なにわ翁』『土山人』『縁(えにし)』『そば切り蔦屋』『そば切り天笑』などなど、蕎麦だけではなく店舗内装にもそうとう拘った手打ち蕎麦の店が流行り出した。

 その中で、京阪枚方駅近くに、知る人ぞ知る「そば切り 天笑(てんしょう)」がある。ここはご夫婦で始められ、店舗外装内装インテリア共に店主自らがお友達の作家さんたちと一緒に時間をかけて進化していった店である。

 ある時、仕事で枚方へ出かけたので、喜び勇んで蕎麦を!と久しぶりに立ち寄れば、その日打った蕎麦がもう売り切れていて閉店(まだ午後7時過ぎよ!)の看板が・・・。
 がっかりしていると、ガラス越しに見えていたのか店主が現れて立ち話となった。四方山話のなかで、思い切って、

「天笑さんの〈蕎麦がき〉を作りたくっていろいろ試すけれどどうしてもできない」
と言えば、

「遠いところ来てもらったのに閉店で申し訳ないから、蕎麦がきの作り方教えましょう」
と、厨房へと招き入れてくださった。厨房ですよ!厨房!!ラッキーでした!!

そこで蕎麦がきの作り方をば。研究に研究を重ねられた秘密があるので、大丈夫なところだけちょこっとおすそ分け・・・

①そばがきはそば粉が命!粗挽きのそば粉を使うこと。上等のそば粉では、ネタネタしたダンゴ状態になるので気を付けて。

② 三層のステンレスでできた雪平に水を入れ沸騰させる。

③ そば粉をパラパラ入れながら混ぜる。少々ダマになっても気にしない。気にしない。
3回ぐらいに分け入れ固さの調整をする。

④ 熱くてやわらかい(冷めると固くなり美味しさが半減します)うちに形を整え皿に盛り出来上がり。

さっそく粗挽きそば粉をいただき家に持ち帰り、即キッチンでさっき見たとおりに雪平でそばがき作り。ほぼほぼ思ったとおりのそばがきが出来上がり、わさび醤油でいただいた。

新蕎麦ならではの浅緑色が美しい。
わさび醤油でいただくのが美味しいが、辛味大根が手に入ればそれもgood!

 まさに、新蕎麦(秋新)の時期は今。粗挽きそば粉もNETで買えたので大量注文。届けば久しぶりに作ってみようと思っているが、はてさて、思うように作れるだろうか?



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