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花火

こんにちは😃
今回も他の方の写真から拝借しました。
だいぶ季節外れですが、最初の頃に書いた小説を記載します。
いつもの佐助と、さくらの登場です。
お時間ある方は是非読んでみてください(╹◡╹)

葉月(八月)初旬。
あたしは、甲賀流忍術の創始者の愛弟子で幼馴染の佐助さんに逢いに紀州九度山迄来ていた。
信州戸隠山をでて途中麓の村に一人で暮らしている佐助さんの母上さまにお逢いして、お言葉に甘えて一晩泊めて頂いて、修行中の事や母上さまの近況とか沢山お話出来て嬉しかったな。
あたしの母上さまは、あたしが生まれて直ぐに死んじゃったから、厳しい中に優しさが溢れている、こんな素敵な母上さまがいる佐助さんが少し羨ましくなっちゃった。
 
九度山に着いて、まず真田のお殿さまにご挨拶にお伺いしてからお殿様の娘の雪乃姫さま、佐助さんの相棒の三好清海さんと雑談。
雪乃姫さまは、優しく、清楚で随所に育ちの良さが滲み出ているのよね。佐助さんが憧れて好きになるのも無理はないかなって思う。
三人で雑談していたら、佐助さんが、薪割りを終えて戻って来て、これから大阪の街中に情報収集に行くと言ったから、あたしも一緒に行く事にした。

大阪の街中に着いてから不穏な動きがないか、一通り見渡して、なんともなさそうだったから、佐助さんとあたしは、街中散策と花火を楽しむ事にしたんだけど。
 
「あ、あの髪飾り綺麗、佐助さん、ちょっと見て。」
そう声をかけたのに佐助さんったら、
 
「おっ、可愛い女の子。」
 
 なんて鼻の下をデレ〜っとのばしているから頭にきちゃって。
「もう、いいっ!」
「ゴメン、さくら待って。」
「何よっ!さっきの可愛い女の子誘って花火でも見れば良いじゃない!」「まあ、そう怒るなよ。どうせ、この人混みじゃ、ろくに花火なんて見れないさ。
オレがとっておきの場所を教えてやるから一緒に来いよ。」      
佐助さんは、ニコッと人懐っこい笑顔で、あたしにそう言ったの。
この笑顔にあたしも。
ううんっ、何でもない。
あたしは佐助さんに誘われるがままに付いて行ったの。
 
「此処だよ。」        
佐助さんに案内されたのは、一本の木の下。
「え?此処?」
佐助さんが、木の枝に飛び乗ったから、あたしも飛び乗った。
「見ろよ、遮る物が何もないから、凄く良く見えるだろ。」
「本当、綺麗。」       
その時、一際明るく大きな花火が空一面に広がって思わず、あたしと佐助さんは顔を見合わせたの。 
目が合って、そのまま口付け。
あ、あたし‥目、目開けたままだったかな。
夏の終わり、あたしの初めての口づけ。  
 
 
       終わり

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