記憶の残骸

文化祭に行ってきた

子どもが選んだ高校は、私が通った女子高から徒歩3分くらいの本当にすぐ近くで、文化祭の途中、校舎の3階からは私の母校の教室の中まで見通せる

私には高校生活の記憶が断片的にしかない

摂食障害で手一杯だったところに、性犯罪に遭ったことで私の脳細胞はかかえきれない様々な感情でパンク寸前で、学校生活のことまでは記憶できなかったのだと、自分では思っている

子どもは友達に挟まれて、わらび餅ドリンクなるものを販売していて、私に気付くと照れくさそうにしながらも「どれ飲む?」と聞いてくれた

抹茶黒糖のわらび餅は、タピオカみたいでなかなか面白い

どの展示もどの販売も、みんな活気があって楽しそうで…私もこんな風な高校生活を過ごしてみたかったとふと感傷的な気分になりながら飲み終えた容器をゴミ箱に捨て、再度展示を見て歩く

我が家に泊まりに来たり、よく遊んでいる子どもの友人たちが「桜瑚ちゃん、こんにちは」と声をかけてくれる(子どもの友人たちは、ちゃんづけで私を呼びます。理由はよくわかりません)

「◯◯さんのお母さん」と先生方も声をかけてくれる

私と違って、子どもは人付き合いはまぁまぁできている様子がみえて安心しながら学校を後にした

車に戻りエンジンをかけた時に、ふと、あの場所に行ってみようかと思った。あの性被害を受けたあの場所に。

きっともう、あの場所も変わっているはず。それを見れば、あれはもう過去のことでどこにもそんな形跡はないと確認したら、私も記憶に蓋ができるような気がした

でももし、まだそこに私がいたら…
記憶の残骸がリアルに集結して、あの日のそこにうずくまった、かつての私の姿が見えてしまったら…

そう思ったら、一刻も早く帰りたくなり家に向かって車を走らせた

家に入り、鍵をかけてもう私は安全なんだと確認した途端、急に眠くなりそのままソファに倒れこんだ



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