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再度の高見山

<監督補佐>
大阪から奈良を通り、奈良と三重の県境の高見山トンネルをくぐり抜けて奥伊勢にログ倉庫を作りに行って20年余り経つ。

遠くにそびえる高見山は車中から何度も見ていて、「高見山登山口」の標識もいつも目にしていたことから、一度は登ってみようと、数年前、ログ倉庫作りを早めに終えた帰りに登ってみた。

もちろん、麓から登ろうなどと分不相応なことは考えず、かなり標高の高めなところまで車で行って登り始めたのである。
その時の経験は以前に投稿してあるのだけれど、頂上と思って喜んだ場所は頂上ではなかったので、いつか頂上をきわめる、との思いで、先日、再度の登山をしてきた。

<現場監督>
ついに念願の高見山に登った。監督補佐が背後に来ると、何となく追い立てられているようで落ち着かない。そこで先に行ってくれと言ったら、ズンズン先に行って、やがて姿が見えなくなった。

熊が出て来て、彼女が先に食べられてはいけないと、必死で後を追うと、上の方でじっと待っていてくれた。


どういうわけか「山」の標識がある
確かに山には違いないのですが・・

それを繰り返すこと十数回。

昔は2000mの山でも何の苦もなく登れたのに、今は1240mでフウフウ言わねばならない。長年の事務職の成果が足腰の極端な衰えである。それでも病気らしい病気は経験していないので、マァマァの現役維持を続けている。

高見山の頂上には小さいお宮がある。今も現役で働けることを神々に感謝します、と呟いてお祀りをした。

高見山頂上の小さいお宮

日本は神様が多い。沢山の神様に守られている日本人は幸せである。そんな国はそうないよナ。一神教なんてアブナイ、アブナイ。ウクライナもイスラエルも一神教同士の闘いではないか。

それはそうと高見山に登れば大和の国と伊勢の国の両方が一度に見えるぞ、と思っていたのは甘かった。山々の連なりが見えるだけで、広大な大和盆地も伊勢平野も、どこにも見えない。

遠くに連なる山々
    頂きに雪をのせている山も

やっぱりなぁ。この高さでは無理だったのだ。

それでも良いことが1つあった。帰り道で鹿の親子と黒い頑丈そうな青年カモシカと尻尾が身体より長い、立派な赤いキジをほんの間近に見ることが出来たからだ。とても嬉しくなった。

カモシカは10年目ぶりだし、赤いキジも5年ぶりくらいの僥倖である。高見山山系は日本狼が最後まで生き延びることが出来た野生生物の最適地である。カモシカもキジも最後まで生き延びるはずだ。

百田尚樹と有本香の2人が創った日本保守党も成長しそうだし、来年はきっといいことが多いはずだ、と1人満足して帰阪した。

現場監督に枝の杖を進呈した監督補佐

枝の杖をついて登山中の現場監督
             行き交う登山者はスマートなトレッキングポールで軽快に歩く

<監督補佐>
久し振りに登山をして楽しかった、で済まさずに、一神教だの多神教だの、あちこちの紛争の話だのを持ち出して、ウンチクを垂れるのが現場監督のクセである。

勿論、登山中は、さすがにウンチクを垂れる余裕はなかった。監督はフーフー、ヨラヨラと歩を進める。ところが、すれ違う人や追い越して行く人は杖のようなものを両手に持って、ホイホイと足取り軽く歩を進めているではないか。

私は現場監督を補佐すべく、あちこちに落ちている枝の中から、頑丈そうで、でも軽そうなのを2本選び、余分な小枝をへし折って、杖として監督に進呈した。

その2本にすがって、何とかまともに歩き出した監督は「これはいい、これは有り難い」といつになく有り難がってくれた。

こういうふうに有り難がってくれる時は恩を押しつけることにしている。

「鶴でも恩返しをするんですよねー」
「カメなんて竜宮城見物にまで連れてったし」

勿論、監督は馬耳東風である。今まで機会あるごとに、見返りを暗に(暗にでもないか・・)催促してきたけれど、成果はない。監督はツル以下か・・カメ以下ではないか・・と虚しく思うばかりである。


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