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枯葉には躓かない

プラタナスの大きな枯葉がいくつも滑るように走るのを、無意識に踏んだり蹴ったりしながら歩道を歩いた。

プラタナスというと、「♪ プラタナスの枯葉舞う冬の道で プラタナスの散る音に振り返る」という歌詞を思い出す。あれ、なんという歌だっただろう。思い出せない。うう、思い出せない。

そんな時には便利な検索。ああ、なんて便利なんだろう。
……はしだのりひことシューベルツの「風」だった。1969年!

もっと古い歌も知っている。
「鈴懸の径(すずかけのみち)」
これは第二次世界大戦中に作られたらしい。あまりに暗い歌詞だったので、学校(立教大学)を歌った歌詞に替えられたとか。

「♪ 友と語らん 鈴懸の道 通い慣れたる 学校(まなびや)の街…」

この「スズカケ」と「プラタナス」がイコールだと知ったのは、だいぶ大人になってからだった。「鈴懸」というのは修験者がつける法衣のこと。その飾りに、プラタナスの実(お借りしたタイトル画像のもの)が似ていることから、鈴懸の木と名付けられたんだそうだ。

むかしむかし新宿御苑で、プラタナスの大きな枯葉を踏みながら歩いた甘い思い出がある。あれはまだ11月の、文化の日の周辺だったはず。
今年は枯葉が落ちるのが遅いということかな。それともあの年が早かったのか。

そんなこんな思いながら(大半は「なんだっけ、この歌…」とモヤモヤしながら)の、美容院からの帰り道。風が冷たかった。