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あの頃の私の強さと弱さ

まあ
私の20代前半の話なんて
興味ある人は少ないけど

読んでる人もいないだろうし
なんとなく思い出したから書いておこう

私は一時期
ブランド品を持っていることがステータスで
海外に旅行に行くのが好きだった

自分は特別
他の人とは違うって思いたくて

そういうもので着飾って
いわゆる武装をしていた

当時SNSがあったら
私は今仲良くしてくれてる人から
どんな風にみられたんだろうか

もしかしたら
仲良くならなかったかもしれないね

飲み会で知り合った男の子に
君はさ、私は特別ですって思ってるもんね

そうやって言われた時

人を傷つける言い方で
気を引くしか出来ないなんてカッコ悪いね

そう返事をして
お会計を全部支払って

ガラケーから連絡先を削除した

次の日が休みで
小さい頃住んでた商店街に電車に乗って行った
なんでそこに行こうと思ったか分からない

10㎝のピンヒール
くるくる巻いた髪
手には当時限定だったブランドの鞄

おばちゃん、ありがとー
そんな声のするほうを見る

濡れた髪には三角の小人みたいな帽子
プールのバッグ
足はビーサン

夏休みのプールの帰り
ここでコロッケ買うのって今の子もするんだ
あ、おばちゃん作ったコロッケあるのに
また揚げたてを渡してる

そんな姿を見てみていたら
おばちゃんが私に気がついた

一瞬分かんなかったよ
笑った顔で分かった
何年振り?美味しいから食べな

あったかい声は
ずっと変わらなかった

職場では

ピンヒールじゃなくてナースシューズ

いくら手を綺麗にしたくても、消毒で荒れていく手

爪は彩られることもなく、深爪ほどに切り揃えてる

髪はお団子にまとめて、結ぶ高さまで決まってる

そんな自分を
私は一時期格好悪いと思っていて
だから
着飾ることで強さを覚えた
まあそれが本当に強さかって言われたら
別の話だけどさ

相変わらずおばちゃんは
私にも揚げたてのコロッケをくれた

あそこの病院で働いてるんでしょ?
近所の人が入院して
お世話になったって聞いたよ

すごくかっこよくて、綺麗だって聞いて
やっぱりなって嬉しくなった

働いてる姿なんてボロボロだよ
綺麗なわけないじゃん

おばちゃんが私をじっと見る

あのね
一生懸命働いてる人は格好いいの
おばちゃんみたいにね

誰かのために真剣な顔ができたらね、
その人はとびっきり綺麗なんだよ

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