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指差喚呼について

指差喚呼って何?


指差喚呼(しさかんこ)。一般的には指差し確認と呼ばれる。発祥は明治時代の鉄道であるが、現在では鉄道業以外でも他運輸業、建設業、製造業、医療現場等でも行われている。会社によって指差確認喚呼、指差称呼、指差呼称等、呼び方に違いはあれど意味合いは変わらない。

特に鉄道を利用されたことのある方ならば一度は見たことがあると思います。列車の進入前、また進出後にホームに立っている駅員さんが線路を指差している姿と言えば想像しやすいでしょうか。

"喚呼鉄"について

さて。

私はこの指差喚呼が大好きです。

突然何を言い出すんだといった感じですが、要するにこれからこの動作を(勝手に)紹介していこうというわけです。
実はこの指差喚呼、会社によって、ひいては同じ会社の中でも違いが見られます(具体的には後述)。
その面白さを知ってもらいたい、そう思ってこれを書き始めました。

なんなら同じような趣味を持つ方と情報の共有ができたらな…とも思います。現状、私の知っている中で指差喚呼に興味を持っている人間は私の友人1人とTwitterのFFさん1人のみで、どうにも数が少ないのです。興味の対象がニッチすぎることは重々承知しているのですが、さすがにもう少しはいるはずですので、その方々がもしこの記事を見てくれたら…なんて思っています。

指差喚呼に関する記事は【指差喚呼シリーズvol.0】といった形でタイトルに記しておくのでよろしければご覧ください。会社ごとに紹介するつもりです。

具体的な指差喚呼の違い

どれだけの方が興味を持っていただいているか分かりませんが…
例として、列車のドアが閉まってから発車するまでの車掌さんの一連の動作をまとめてみます。
紹介するのはJR北/東/海/西と(いずれも在来線)、東武/西武/小田急/京王/東急/京急/相鉄/東京メトロ/名鉄/阪急/Osaka Metroの計16社です。
立番合図やホームドア、ITVは全てなく、また中乗り等でなく最後尾に乗務している設定です(この辺は追って紹介したいですね)。

~JR北海道~
※鉄道事業本部(本社)
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「車側灯(しゃがわとう)滅灯(めっとう)よし」<指差対象:車側灯>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
「発車」<指差対象:なし>
(出発合図ブザー扱い)

所見:他社では側灯(そくとう)と呼称するところが車側灯(しゃがわとう)となっています。またJR北海道は乗務員区所によってこの喚呼が相当変わります。旭川支社と函館支社とこの本社では全部違います。面白いですね。

~JR東日本~
※東京・八王子・大宮・千葉・新潟支社(他多数の支社)の電車
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出した状態で車掌スイッチ「閉」扱い)
「側灯(そくとう)滅」<指差対象:側灯>
(列車状態注意)

所見:特筆すべきはやはり出発合図が知らせ灯式であることでしょうか。閉扉後の確認は側灯のみ。「側灯滅」の喚呼はどこの支社でも必ず聞くことができます。側灯確認の後に他の確認があるかどうかで分かれます。今のところ横浜支社と高崎支社は行っている模様です。

~JR東海~
※東海鉄道事業本部(本社)
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「滅灯、ドア、ホーム、オーライ」<指差対象:側灯、車両側面上部から下部、ホーム黄線の順で逆L字状に連続>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
「接近なし、発車」<指差対象:無し>
(出発合図ブザー扱い)

所見:有名な「ドア、ホーム、オーライ」ですが、最近どうやら「滅灯」が追加されたようで、少し長くなっています。またいつの間にやら「接近なし」も追加されています。同じ支社内でも「滅灯」が「滅」になったり、そもそも言わずに「ドア、ホーム、オーライ」に入ったりと個人間の差異が目立つ印象です。

~JR西日本~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「ドアよし」<指差対象:側灯?>
(出発合図ブザー扱い)
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)

所見:参考資料がとてつもなく乏しいです。指差対象は車両側面かと思いきや、どうも側灯付近を指差しているように見えます。そしてこれまでの3社とは異なりブザー扱ってから乗務員室扉を閉めるというのが特徴ですね。

~東武鉄道~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「側灯滅、発車よし」<指差対象:側灯、車両側面の順>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
「車側(しゃがわ)よし」<指差対象:車両側面>
(出発合図ブザー扱い)

所見:「発車よし」と言ってから乗り込みます。顔を出してから合図です。こちらも参考資料が乏しいです。乗務管区ごとの違いは無いように思います。車側は「しゃそく」ではなく「しゃがわ」の模様。閉扉後と合図前の2回側面を確認するようです。

~西武鉄道~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「滅よし、側面よし」<指差対象:側灯、車両側面の順>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
「出発よし」<指差対象:車両側面?>
(出発合図ブザー扱い)

所見:差異は見られません。こちらも顔を出してから合図です。
駅がカーブしていたりする場合は箱乗りの状態で合図を送ることがあるようです。

~小田急電鉄~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「閉扉よし」<指差対象:L字帯を左上から右下にかけて斜めに実施>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
(出発合図ブザー扱い)

所見:L字帯というホーム黄線から車両にかけての部分に旅客がいる場合は動かせないようです。また、乗務区ごとの差異があるようで、中には指をささず「気をつけ」の姿勢で称呼する方もいます。

~京王電鉄~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「消灯、側面よし」<指差対象:側灯、車両側面の順に逆L字状に連続>
(出発合図ブザー扱い)
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)

所見:ブザーの方が早いです。なんなら自身が乗り込む前から鳴らしています。

~東急電鉄~
※長津田車掌区
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「側面よし」<指差対象:車両側面>
「発車」<指差対象:なし>
(出発合図ブザー扱い)
「よし」<指差対象:なし>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)

所見:「発車」のあとの「よし」のタイミングが乗務区によって微妙に違います。全駅にホームドアがついてこの喚呼も見られなくなりました。

~京浜急行電鉄~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「側面よし」<指差対象:車両側面>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
(出発合図ブザー扱い)

所見:さすが京急といった感じですね。未だに乗務員室ドアを閉めずに箱乗りの状態で状態監視を続ける人も結構います。安全は確保しつつとにかく時短といったところでしょうか。

~相模鉄道~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「よし」<指差対象:側灯?>
(出発合図ブザー扱い)
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)

所見:まさかの「よし」だけっていう(笑) ITVついていても変わりません。ブレない「よし」。

~東京メトロ~
(車掌スイッチ「閉」扱い)
「車側(しゃそく)よし」<指差対象:車両側面>
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出して列車状態注意)
(出発ブザー扱い)

所見:最近ではホームドアの設置で色々変わりましたが、ホームドアの無い駅では基本これです。「側面よし」ではなく「車側よし」。

~名古屋鉄道~
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出した状態で車掌スイッチ「閉」扱い)
「ドアよし」<指差対象:車両側面上部→下部→上部の順に連続>
(出発合図電鈴扱い)

所見:窓から顔出した状態でドアを閉めます。乗務員室に乗り込む時間を短縮するためでしょうか。JR西日本と同じく「ドアよし」ですが、確認内容は結構違います。個人や乗務区での差異は見られません。

~阪急電鉄~
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出した状態で車掌スイッチ「閉」扱い)
「発車よし」<指差対象:車両側面?>
(出発合図電鈴扱い)

所見:こちらも窓から顔を出した状態でドアを閉めます。基本的にずっと乗務員室から出ないですね。差異は見られません。

~Osaka Metro~
(乗務員室ドア閉、窓から顔を出した状態で車掌スイッチ「閉」扱い)
「出発よし」<指差対象:側灯?>
(出発合図電鈴扱い)

所見:阪急と相当似ていますが、指差対象が側灯に見えます(不明確)。差異は見られません。

おわり

以上です。長々とお付き合いいただきありがとうございました。
確認内容は側灯もしくは車両側面で概ね統一されているものの、喚呼や指差対象、また乗務員室ドアを閉めるタイミングに各社の考え方が出ていて面白いです。
扉を閉めてから出発合図を送るたった数秒間でも各社これだけ違いが出ます。
これにITVやホームドア関連の確認を入れると本当に複雑なので、会社別で紹介しようと思います。次はいつ更新するのやら。

また、これはいずれも個人調査ですので、誤りを含む可能性があります。もし新たな情報がありましたらコメントに書いていただけると助かります。


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