ラン2タイトル

愛猫ランは、目下のところ「庭だけ外出OK」

ランには、面倒なクセがある。
キャットフードを食べるとき、「一緒に来て」と催促する。そして、背中をなでることを求める。そうしないと、エサを食べないという甘えグセがあるのだ。
それは、拾ってきたばかりのころ、高カロリーの栄養食を食べていたときに身についたもの。体重が増えないと安楽死させられるかもしれなかった(嵐の日に出遭った、子猫の「ラン」参照)ので、頑張って食べさせた。
その際、栄養食を食べるランを「いい子だねえ、もっと食べなさい」と家族が代わる代わるなでた。
それが染みついて、元気に成長してからも、キャットフードを食べるときには、いつもなでられることを求めるようになってしまった。
困ったのは、他の猫もそれを真似しだしたこと。我が家には、先住の猫3匹がいた。それらが「いいなあ」と思ったのか、こっちもなでて、と体をすり寄せてきた。ちょっとしたブームになってしまったのには笑ったが、4匹もなでるのは大変だった。
今は、もう飽きたのか、ラン以外の3匹は黙々とキャットフードを食べている。

1ヶ月で受け入れられたラン

ちなみに、ラン以外の3匹は、家の縁の下で生まれた兄弟。最初はエサをあげるだけ、そのうち、昼間は家に入るようになり、雨の日は夜も家の中で過ごす。もう、半分「家猫」になっちゃうか……で、現在に至る。3匹は、自由に家の中と外を行き来しているので、「外に出る」のが当たり前だ。
なお、我が家が猫屋敷になるのは困るので、すべて避妊・去勢手術を受けさせた。
その3匹が居る空間に、生後1ヶ月程度のランを連れ込んだので、最初はパニックだった。シャーだの、フーだの大ひんしゅくである。
なので、顔見せ程度から徐々に慣らしていったら、1ヶ月程度で仲よくなってくれた。3匹のうち、ツンデレタイプのシロ(女の子)が意外に面倒見がよく、後見役になってくれたので、ランは短期間に受け入れてもらったようだ。

出入り自由の年上猫をみて……

縁の下で生まれた3匹は、自由に家の中と外を行き来しており、「外に出る」のが当たり前だ。
これに対し、ランは基本的に「家猫」。できれば、外に出したくないのだが、まわりの3匹が自由に出入りするのを見て、外に出たがるようになってしまった。
「猫が窓から外をみているのは、縄張りを見張っているだけ。外に出たがっているわけではない」とされるが、ランは窓ではなく玄関ドアの前に行き、ドアをカリカリ掻いてミャウという。
「ダメだよ、外は」
ニャーウウ
「嫌なの?だけど、ノミがいるし、迷子になるかもしれないでしょ」
アーウ、ワウ
「もう、しょうがいないなあ」
で、一緒に庭に出る。用心深い性格なので、庭から外に出ようとすることは滅多にない。
庭で何をするか、というと、しきりに虫を捕まえようとしている。

庭遊びくらいは、いいよね

蝶やガは、羽の柄が怖いのか、身構えするだけで、飛びかかりはしない。一度、アシナガバチをうっかり拝み捕りしてしまったのだが、その際肉球を刺されたのか、慌てて家の中に戻ろうとした。
10分か20分遊ぶだけで満足し、家に入ると、夏の間は「あちーっ」とばかりに床に腹ばいになる。後ろ足を伸ばした変な格好が、ランの得意ポーズだ。


そんな猫だから、「飼い猫は、外に出してはいけない」と言われても、たまに出してあげたい。外に出て、夏の暑い日は強い日差しに目を細めるし、風のある日は空を見上げて風の臭いをかいでいるかのよう。そんな様子を眺めるのが、たまらない。常に付き添い、庭から外に出ることを防ぎながら、これくらいならいいよね、と思っている。

ペットには個性がある。だから、楽しい

だいたい、外に出さないで済むかどうかは、猫による。外に出さなくてもストレスが溜まらない猫がいる一方、「外に出たい」と懸命に訴える猫もいる。
犬だってそうだ。
半世紀近く前に家で飼っていたマルチーズ(犬)は、家の中で暮らし続けて、まったく問題なかった。たまには外の空気を吸いたいのではないか、と公園に連れ出し(といっても、公園まで抱っこして行った)、芝生に下ろした。
いきなり走りまわることを予想し、追いかける準備をしていたのだが、その場から動かない。それどころか、「芝生がチクチクして気持ちわるい」とばかりに交互に足を上げて、抱っこをせがんだ。結局、走りまわるのはおろか、歩きまわることもせず、再び抱かれて家に帰った。
一方、10年ほど前まで飼っていた猫のアビシニアンは、家のなかにおさまらず、外の生活を謳歌し、ついに帰ってこなくなった。
アウトドア派のアビシニアンと、芝生も嫌がるインドア派・マルチーズの中間に位置するのが、猫のラン。ペットには、それぞれ個性がある。それが愛おしくて、ペット好きは繰り返し飼ってしまうのだろう。
ランのように道端でないている子猫がいたら、また拾ってきちゃうなあ、きっと。

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