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サイパン 珊瑚の産卵観察プロジェクト2021 第32話 サンゴの同調産卵の合図についての研究の話を聞いた話

こんばんは。珊瑚プロジェクトのAKARIです。

今日は、調査ダイブのご報告があるわけではないのにブログアップ。

報告があるときはなかなか更新しないくせに、何の用もないのに更新するサンゴプロジェクトのブログを更新する・・・すみません。

いやいや、何の用もないってことはなくて、今日は皆様にシェアしたいお話があります。

前回の今年5回目の調査ダイブの2日目に、我々は島の東側と西側のポイントの同じ種類のサンゴが同じタイミングで産卵をするのを観察できて、大感激をしたのですが。

電話もネットもないのに、一体サンゴたちはどうやってタイミングを合わせているんでしょう。

もちろん、産卵は種を残すことが目的ですから、タイミングを合わせて行うのが一番効率的ということはわかります。だとしても、それをそろえるための要因は一体何なのかというところは、今までもいろいろ議論されてきました。

水温、日射量、サンゴに共生している褐虫藻の光合成能力など、いろいろ観察されてきましたが、今回ある研究成果が発表されました。

台湾中央研究院の野澤洋耕博士、Che-Hung Lin博士、Aziz J Mulla大学院生と琉球大学熱帯生物圏研究センターの高橋俊一教授との国際共同研究チームによる研究です。

簡単に説明しますと、

台湾の緑島のキクメイシ(フィールド実験)

通常は満月から6日後に産卵するキクメイシ

①満月の3日前

②満月の1日前

③満月の翌日

上記の3つのタイミングで18時から翌朝の6時まで遮光カバーをします。

なんと、いずれもカバーをかけ始めてから5日後の夜に産卵。

研究室内のタンクで同じ条件で実験

なんと、フィールド実験と同じ結果が得られたそうです。

夜間の光の強さを分割してみた実験(研究室内)

①遮光カバーをかぶせたら、5日後に産卵。

②薄暗い光を18時から翌6時まで4日間あてたのち、遮光カバーをすると4日後と5日後の夜に産卵がみられた。

③18時から0時に薄暗い光、0時から翌6時に明るい光を4日間あてたのち、遮光カバーをすると2日後から5日後の夜に産卵が見られた。

④③とは逆に18時から0時に明るい光、0時から翌6時に薄暗い光を4日間あてたのち、遮光カバーをするとカバーをかけた当日の夜に産卵が見られた。


これは一体何が言いたいのかというと、月光が産卵を抑制する(止める)働きをしていることを示唆しています。これは、これまで満月の時期の月光が産卵を誘導するという考えと全く異なります。

さらに、昼間と夜間の光が連続的な場合、夜間の光によって産卵が抑制されること、またその間に光のギャップ(暗い時間帯)があるとその抑制効果が失われて産卵が誘導されることを示しているのです。

実に、おもしろい!!

これはどういうことかというと、満月の日は太陽が沈むころには月は昇っていて、常に海の中には光が届いているのです。

その満月の翌日から月の昇る時間は50分ずつ遅くなっていくので、海の中には毎日50分ずつ「光のギャップ(暗闇)」が増えていくのです。

それが、産卵を誘導するんだって。

これは、あくまでも「何を同調産卵の合図にしているのか?」という部分に着目した研究なので、これだけをもとに産卵のタイミングを予想するのは難しいですが、予想日を考える上では非常に助けになる要素かもしれません。

例えば、満月の前日から夜はずっと雨だったとしたら・・・、きっと海の中は暗いはず。そうしたら、通常は下弦の月前日が大産卵の目安なのですが、もしかしたら1日早まる可能性もあるってことよねぇ。

実に、おもしろい!

この情報を教えてくれたのは、S2クラブのソナちゃんです。今は日本にいて残念ながら珊瑚プロジェクトの調査ダイブには参加できないのですが、応援してくれています( ;∀;)ありがたやーーー。

はやく、ソナちゃんにもこのサイパンのサンゴの産卵を見せてあげたい!!

そして、ゲストの皆様とも、この感動的なシーンを一緒に共有したいです!!

それにしても、サイパンのインストラクターって本当にかっこいい。サイパンを盛り上げるために、皆さん全面協力体制なんだもん。本当にありがたいです。

ワタシができることは精一杯、力を尽くします!!


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