見出し画像

中国の詩、「同水部張員外籍曲江春遊寄白二十二舎人」韓愈

詩🌸
「同水部張員外籍曲江春遊寄白二十二舎人」韓愈
漠漠轻阴晚自开,青天白日映楼台。曲江水满花千树,有底忙时不肯来。

解説🌿
淡淡的阴云薄雾迟些时便四散开,万里青天白日朗朗映照着楼台。
曲江上春水弥漫两岸繁花千树,你有什么事那么忙啊一直不肯来?

意味⛅️
最初の3行は、雨が上がって、青空が出て、楼台が輝いている。花がたくさん咲いて、千本の木が揺れている…という風景の美しい変化を描いているのかな。
4行目で転換し、君は忙しいから来ないの? と質問しているのかな。
友人の詩人、白居易が来ると言ったのに(忙しくて?)来なかったことに対しての詩のようです。最初の3行にがっかりした心や相手への思いが投影されていて、四行目の質問(疑義)に繋がっているのかな?

【追記】
白居易も韓愈に返事を書いたようです。

「酬韩侍郎张博士雨后游曲江见寄」白居易
小园新种红樱树,闲绕花行便当游。
何必更随鞍马队,冲泥蹋雨曲江头。

白居易はどうして韓愈と約束してたのに来なかったのかな…?
「雨が止んだばかりだから、足が泥で汚れるのが嫌だった」という中国語の解説もみつけたけど、「いやいや、そんな理由で来ない人いる!?」と思い、別の解説を読んだら、「自分は韓愈から軽く見られていると判断し、行かなかった」とありました。
「小さな庭にも花が咲いている」というのは白居易自身の自負のことなのかな…
まだわからないので、これも結論を保留します…(保留にしてるものが多くて、もう保留でできた部屋に住んでる)

でも、この事件の後のほうが、二人は相手のことを考える時間が増えたのではないかと思います。韓愈は相手の理屈がわからないから「どうして?」と考え続けてしまうし、白居易には相手に伝えたい自分なりの正論があるし…

そして、このあと二人の友情がどうなったかはわからないです。いろいろ読んでいたらまたわかるかもしれません。


文学的な教養は、時にロマンチックですね…

【追記2】2024.4.11
(知人とこの詩について話したことをSNSに書きました。そのコピペです↓)

韓愈の「同水部張員外籍曲江春遊寄白二十二舎人」が最高だ、という話もしました。
四行の詩だから「起承転結」になるはずだけど、

昨夜の雨はもう止んだ
空は青く、塔も光ってた
花の木が千本も咲いてた
忙しくて来なかったの?

と、三行目になってもまだ風景の話を続けて、最後の四行目で急に「なぜ来なかった?」と責める。つまり、構成の斬新さによって、疑問の強さを表現している。そこが最高だ。
また、韓愈は「嫌だったの?」などの感情ではなく、「忙しくて来れなかったの?」と理屈について質問している。これこそが漢詩らしい、中国語圏らしいところではないか? わたしはそこも好きで、この詩を愛しいと思う…(と、感想が日本的?に感情表現になっていく。好きとか愛しいとか。やはり異文化なのか…)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?