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THE GUILD勉強会#3「データ×UXデザイン」 第1部:山田さん(アドビシステムズ)

この記事は、THE GUILD勉強会#3「データ×UXデザイン」の 第1部で登壇された、山田さん(アドビシステムズ)の講演内容のレポートです。
実際に使われたスライドはこちら↓

では講演内容です。

UX/UIを高度に改善!AIを有効活用するためのポイント

web制作会社で10年ほど、経験と勘で制作するスタンスでいた山田さん。今ではアドビでデータを使って企画を考える仕事をされています。

実はアドビのコンサルタントは、UX/UI設計や改善に関わる業務が多いそうです。その際にどのようなデータをどうやって活用しているのか?という疑問に応えるべく、今回の講演をされたそう。

作り手にとって、アドビのイメージは以下のようなCreative Cloudや、pdfを読むためのDocument Cloudが強いのではないでしょうか。

最新のアドビには3つクラウドのソリューションがあり、上記の2つに加えExperience Cloudというものが存在します。

これら3つのCloudにはAdobe.ioという技術が使われており、オープンプラットフォームなAPIとして提供されています。つまり、adobeの技術をAPIを通じて一般の人が使えるようになっています。

また、Adobe SENSEIと呼ばれるAI、機械学習を用いたサービスがあり、そこに対してコンテンツを提供したり、データを蓄積したりするようなプラットフォームが存在します。

山田さんは、Experience Cloudのコンサルタントとして仕事をしており、Experience Cloudの中には3つのCloudが存在します。

Marketing Cloud、分析用のAnalytics Cloud、広告配信のAdvertising Cloud。デジタルマーケティングの施策の分析からその実行までの領域をカバーしています。

山田さんの業務は非常に幅が広く、具体的には、各製品の導入から活用の支援、マーケティング施策や分析の代行、事業推進の支援まで行います。

ここまで説明すると、なんとなく山田さんは仕事の中でUX/UIに関わっているんだな、というイメージが湧くのではないでしょうか。

ではここからが本題です。UX/UIの改善の際にAIを有効に活用するには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
まず、山田さんがコンサルタント業務をやっていく上で、UX/UI改善に定量データを用いた分析が重要だという前提があります。

その上で、今回のテーマである「AI」を組み合わせると深堀がしやすく、効果的な改善ができるようになるそうです。

ちなみに、今回お話された「UI/UX」や「AI」の言葉の定義が以下の通り。
「UI/UX」:ウェブサイトやスマホアプリに関するもの
「AI」:機械学習を用いた分析・最適化施策

今回の「UI/UX改善にAIは、どう使えば良いか」という主題に対し、結論が以下の通り。

AIのテクノロジー機能は「手段」です。使い方のイメージが描けなければ効果は出ません。

AIを使う時には、活用前に、改善する目的の分解、改善目標を設定、目標達成のための課題特定のための思考プロセスを踏むことが重要です。

機能を使う前にこのプロセスを踏まないと、何も効果が出ません。
では具体的なポイントの話です。

ポイント① AIでカバーする改善プロセスの範囲を狭める

サービスの改善・分析をするとき、改善目的と目標の定義→改善仮説の事前定義分析と改善の企画施策の実施事後評価→…のループが必要です。

このプロセスの中で、以下のプロセスは人力で行えるそうです。
 ・改善目的と目標の定義
 ・改善仮説の事前定義
 ・事後評価
AIの使い所はこの部分。
 ・分析と改善の企画
 ・施策の実施

AIを使って改善しようとしたとき、ループの一番初めからAIを使おうとしがちだそうです。なんらかの施策や分析をするときは、このプロセスのループを描いてから、どこでAIを使おうかというスコープを狭めることが重要です。

ポイント② 目的と目標の間を言語化し、指標化することでAIの使い所をわかりやすくする

指標ディメンションという言葉、使い分けられていますか?関係者の中で、これらのもつ意味の理解がバラバラだったと言うことがよくあります。

ちなみに意味は以下の通り。
指標:ページビューや購入数、離脱率、再生数などの数の話
ディメンション(セグメント):指標を見るための軸。例えば、流入経路(twitterやyoutubeなど)、デバイス(スマホやPCなど)、性別などもセグメント。

そして、これら2つに関して、AIの使い所は以下の通り
・指標の良し悪しの判断・予測
・何のセグメントが、指標に影響を与えるのかを探す

ポイント③ AIを活用する領域を分析と施策に分けて発想する

AIの話をしていると、それが分析の話なのか、施策の話なのかがよく分からなくなることが起こることがあります。

ここの区分けがついて初めて、AIの使い所がわかります。アドビの機能も分析と施策、それぞれに対応したものが存在します。分析と施策のどちらを行いたいのかが分からないと、適切なツールを使うこともできません。

分析や施策、それぞれに対してもAIを用いた機能がたくさん存在するため、「AIを使いたい」だけだとどうしても迷走しがちです。

ポイントだけ話していると想像がつきにくいので、例えば、ヘルプガイドサイト(adobeのマニュアルページなど)でAIを活用して改善することを考えてみましょう。

先ほどの改善プロセスの1つ目、まずは改善目的を定義します。

ヘルプサイトの目的は「ユーザーの課題(困りごと)を解決する」こと。
もう少し具体的にすと、ユーザーが適切なページにたどり着ける、ヘルプの詳細ページだけで十分な情報を与えられること、などが目的としてあります。そして、それらの目的を達成するための目標に分解していきます。

次に、分解して出てきた改善目標を、その目標を測るための指標と、その指標を改善するために必要な施策の方針(指標ベースのアクション)にまで落とし込みます。

ここまで特定すれば、AIを活用できる分析(指標の計測)と施策(指標ベースのアクションを行う)の話に分けて考えることができます。

では、話のまとめです。

・AIでカバーできるUI/UX改善プロセスの範囲は、プロジェクトが始まる前にメンバー間で区分けをしておく
・大きな目的をブレイクダウンしていくことで、AIの使い所がわかりやすくなる
・分析と施策に分けて、AIをどう活用すべきかを考える


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