見出し画像

本日の一曲 vol.224 イエス マシン・メサイア (Yes: Machine Messiah, 1980)

1970年代前半に一世を風靡したプログレッシヴ・ロックですが、そのプログレ・ムーヴメントの中心にいたバンドがイエスです。代表作は、「こわれもの(Fragile)」、「危機(Close To The Edge)」、ライヴ・アルバム「イエスソングス(Yessongs)」ですが、さてそれからどうするかというのが、プログレ・バンド共通の悩みだったと思います。イエスも試行錯誤、紆余曲折を経て、今から振り返ると、感慨深く、とてもいろいろありました、ということになると思います。

本日ご紹介する「マシン・メサイア」は1980年にリリースされ、スタジオ録音10作目になるアルバム「ドラマ(Drama)」のトップを飾る曲です。この前作が「トーマト(Tormato)」だったのですが、このアルバムを制作した後、キーボードのリック・ウェイクマン(Rick Wakeman)さんだけでなく、ヴォーカルとソングライティングをしていた中心メンバーのジョン・アンダーソン(Jon Anderson)さんまでも脱退してしまったのです。

そこで、マネージャーだったブライアン・レーン(Brian Lane)さんが同じくマネージメントをしていた音楽ユニットで、「アウア、アウア」のコーラスで有名な「ラジオスターの悲劇(Video Killed The Radio Star)」という大ヒット曲を出していたバグルス(The Buggles)のトレヴァー・ホーン(Trevor Horn)さんとジェフ・ダウンズ(Geoff Downes)さんをイエスに加入させ、トレヴァーさんがヴォーカル、ジェフさんがキーボードを担当することになりました。

ただ、イエスのデビューから前作「トーマト」まで、イエスのサウンドを支え、イエスの顔でもあったジョン・アンダーソンさんが脱退してしまっては、その後のイエスの音楽はどうなるのかと思いきや、「ドラマ」を聴いてみると……

「え、歌っているのはジョン・アンダーソン?」と思ったほどそれまでのイエスからの違和感はなかったのです。

しかし、「ドラマ」リリース後、イエスはツアーに出たのですが、観客の反応があまりに冷たかったことから、トレヴァーさんは「ドラマ」のみでイエスを脱退してしまい、バグルスでもう1枚のアルバムを制作し、その後はプロデューサーとして活動していくことになりました。

ただ、この「ドラマ」の後、ジョン・アンダーソンさんが復帰し、1983年に大ヒット曲「ロンリー・ハート(Owner Of A Lonely Heart)」が収録されたアルバム「ロンリー・ハート(90125)」がリリースされたのですが、このアルバムのプロデューサーは、トレヴァー・ホーンさんだったのです。「ロンリー・ハート」では、サンプリングの手法が効果的に使われ、特に「ジャン!」というオーケストラ・ヒット音はこの曲で有名になったと言えます。

トレヴァーさんは、その後、プロデューサーとして、イエスだけではなく、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(Frankie Goes To Hollywood)、アート・オブ・ノイズ(Art Of Noise)、ABC、バンド・エイド(Band Aid)などを手掛けました。

(by R)

読んでくださってありがとうございます!サポートしていただけるととても嬉しいです!