屋上通いたくなってきた

 故郷に一番近い場所。帰りたくなってきた。だって好きだったもん。いくらクレーターが増えたって、穴が増えたって、あそこが好きなのだ。だって好きなんだもん。
 夜、月を見上げると私ってあそこにいたんだよなと思う。君と同じものを見上げるのもとても魅力的だが、いつか君に見上げてもらうことも同じくらい魅力的なのだよ。

 というのは建前で、地球に飽きちゃった。地球は重力があるから。苦手だな、嫌いだななんて思っている。この感覚はずっと地球にいた君にはわからないことだろうな。まぁいいや。誰にも会えなくなっちゃうけど、もう、誰にも何も伝えられなくなっちゃうけど、勝手に帰ったら処刑されちゃうけど、そんなことはどうだっていい。帰りたい。帰りたい。罰なんていくらだって受けていい。もう帰りたい。今の幸せ、ここにいるリスクと、月で処刑されちゃうリスクでかろうじて今の幸せを守りたくてここにいるだけなのだ。だから、もしかして、すごく生きにくくなってきて、ここにいるのも嫌になって月で処刑される方がましだって思ったら。ここにいられなくなっちゃう。寂しい。君も寂しいって思うだろうけど、私の痛みだ。私だけのものだ。私だってすごく寂しい。もっと君と色々な思い出を作りたかった。好きだと言ってみたかった。月が綺麗だと、君となら死んでもいいと。言いたかった。
 わあ、後悔ばかりだ。あれがしたかった。これがしたかった。全部叶えたかったけど、怖くなっちゃった〜。ほら私社会不適合者だから。
 こういう時に言うもんじゃないけど、ごめんね。謝罪するくらいなら帰らないでって話なんだけど。
 ありがとう。

 ごめん、呪詛。
 またね。

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