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映画「クワイエットルームにようこそ」

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閉鎖病棟を舞台にした映画です。

〈あらすじ〉

恋人との大喧嘩の果て、薬の過剰摂取(オーバードーズ)で精神病院の閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、事情を抱えた患者やナースと出会う。普通と特別、正常と異常……境界線をさ迷う明日香がたどり着いた「場所」とは一体、どこなのか?悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた本作は2007年、松尾スズキ自身の監督・脚本で映画化された(主演・内田有紀)

引用元↓

この映画、最後の最後でどんでん返しがあって面白かったです。

主人公の明日香は、死ぬつもりはなかったけどちょっと量をミスって薬を飲み過ぎただけだから、退院させてくれと懇願するのですが、看護師が淡々と明日香のお願いを却下していくところがリアルです。

ほら、あの人達って医師の命令が無いと基本的に動けないので。

で、その淡々とした対応に明日香はイラつくのですが、これは精神科病棟あるあるでしたね。

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目が覚めたら拘束されて管が繋がれているとか吃驚ですよね!

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明日香は病棟内で、まともそうな女の子のミキと仲良くなります。

そのときのミキの台詞が印象的でした。

「泣くわよ、そりゃ。こんなに人間が集まってるのに、こんなに孤独な場所、他に無いもの」

ー静かで、狂騒的で、寂しくて堪らない、閉鎖病棟ー

いやー、これ分かりますね。

私も入院する度に感じています。

沢山人はいるのに、患者の中でもまともに意思疎通の出来る人、更にそこからウマが合う患者なんてほぼいないわけで、私は基本的にいつも一人で過ごしています。

そもそも患者同士が心に余裕が無いから、お互い気を遣って話すのもハードルが高いんですよね。

で、このまともそうに見えたミキが実は拒食症でビックリな発言をします。

「明日香だけに教えるね。私が一食食べた分世界のどこかの価値のある誰かの食事が一食減るんだ。そのシステムに気づいちゃったからだから私は食べられないの。私が食べないのは意味があることなんだよ。明日香と同じだよ。まともなのにここにいるの。システムが悪いだけ」

……うん。ミキも立派に患者やってましたね。

登場人物の入院患者の中でも比較的ミキは正常に見えたので、この発言のシーンは衝撃的でした。

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そして、問題児患者西野。

演じているのが大竹しのぶさんなのですが、女優さんって凄いと思いましたね。

しっかり基地外を演じているんですよ。

西野は金にがめつい患者で、私が入院したときもがめつい患者はいました。

そいつは他人がお菓子を食べていると「美味しそうだね」と話しかけてきて、遠回しにお菓子をよこせと催促するタイプだったので、一部の患者はそいつの前ではお菓子を食べないという徹底ぶりでした。

因みに、そのお菓子くれくれ患者はナースステーションに100万円程お小遣いを預けているという噂があり(精神科病棟では、自分で管理してもいいお金に上限があるので、上限を越えた分はナースステーションに預ける)そんなにお金があるのなら自分で買えや、と思いました。

閑話休題。

精神科の閉鎖病棟ってほんと不便で、まず自由に売店にすらいけないから、看護師に代わりに買ってきてもらうんですね。

映画でもそのようなシーンはあるのですが、一刻も早くテレカを手に入れて旦那と連絡を取りたい明日香は西野からツケでテレカを購入します。

しかし、西野はとんでもなく高い値段で売りつけるわ、利子までつけるわで、最終的にいつまで経っても金を払わない明日香の荷物を漁ってしまいます。

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荷物の中には明日香の旦那からの手紙があり、西野はそれを勝手に読み、明日香は大激怒。

西野はそれに対し、「でも、生きるって重いことよ」と言い返します。

西野、ぶっ飛んでいるのにたまに真理を言っちゃうのね。

そして、明日香は本当は自殺未遂で病院に運ばれたことを思い出します。

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ここも衝撃的でしたね。

私はてっきりまともな人が無理矢理意味不明な理由で強制入院をさせられる映画かと思ってたら、そうじゃなかったっていう。

最後は、明日香は退院出来るのですが、それと同時にチラッと以前退院した患者がまた救急車で運ばれてきたのもリアルでしたね。

一度でも入院したことのある患者は入退院を繰り返すイメージです。

今までに何個か精神科病棟の映画を観てきましたが、この作品が一番現代の在り方に近いというかリアルかな?と思ったので、精神科に入院するか悩んでいる方は観てみると何かを掴めるかもしれません。

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